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夜空と星  作者: 小田桐
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泳げない海の中で

『私たち水着に着替えてくるから待っててね』


 そう言われてから10分以上立っている気がする。

 俺と祐介の着替えは早い、別に化粧とか身だしなみを整える訳じゃない。

 女性陣だってこれから海にはいるのに化粧とかはしないはずなのに何故か遅かった。


「お待たせ」


 後ろから声をかけられて俺たちは振り返る。

 まず目に入ったのは真っ白なビキニ姿の由美さん。普段は気づかなかったけど結構胸が大きいみたい、それでいて腰回りは細く文句のつけようのないスタイルだ。

 次に由美さんと同じ色のワンピースタイプの水着を着けている亜美さん。双子だけあって由美さんと同じぐらいにスタイルが良かった。

 一番後ろにいたのは星子。花の柄の入ったワンピースの水着姿、細くて折れてしまいしょうな印象を受けてしまう、それでいて俺だけが知っている。彼女の柔らかさを。


「あんまりジロジロみないでよ。恥ずかしいじゃない」


 由美さんが照れながら言う。

 でも、星子は


「潤平、私をずっと見ててもいいよ」


 と俺の前に来て抱きついてきた。

 柔らかくて暖かい。


「いちゃついてないで泳ぎに行こうぜ」


 祐介が言った。

 そういえば、3人の水着姿に見とれていて大事なことを忘れている気がする。


「そうね、気持ちよさそうだし」


「うん、せっかくの海だしね」


 どうしよう、言い出しにくいな・・・。


「俺はここで体をやいてるから4人で泳ぎできたらいいよ」


 実は俺は泳げない。

 学校のプールで息継ぎをしないで数メートル進むぐらいしか。


「ダメよ、せっかくだから一緒に泳ごうよ」


 星子が腕の胸を押し当てて一緒に行こうとせがんでいる。

 そんな顔されてもダメなんだよ。俺だって一緒に泳ぎたいけど、おぼれるところなんて見せたくないよ。


「午前中の仕事で疲れてるし、ちょっとだけ休んでから行くよ」


「なら、私も潤平と一緒にいる」


「星子は泳いできたらいいよ。こっから見てるから」




 助けて・・・・・・。

 周りに誰もいないし、俺このままだと死んじゃうよ・・・・。

 俺は今誰もいない沖にいる。

 沖って言ってもそれほど海岸から遠い訳じゃない。

 ちょっとした岩場があってそこにいるだけだ。


「お〜い、星子」


 星子が遠くから見えた。

 俺は思いっきり手を振る。

 足が付くからと海に入っててくてくと歩いていたら何故かこんな所までたどり着いた。

 海の水が満ちてきて足が付かない。

 少しでも泳げたらすぐに帰るのに・・・・。


「由美さん、星子〜〜〜」


 今度は2人が見えた。

 必死に俺は手を振るが、2人ともこっちを見て手を振り替えした。

 どうやら、俺が遭難してることに気づいていない。

 横に振った手を今度はこっちに誘うようにふり直す。

 そしたら、2人に同じようにこっちに来てというような仕草で返された。

 しばらく途方に暮れながら2人を眺めていた。


 っあ。祐介が見えた。

 祐介にも手を振るがあっちからは気づいていないらしい。

 その祐介は星子と由美さんを呼び寄せ、砂浜に戻っていく。

 そして誰もいなくなった。

 俺はこのまま、遭難して死んでいくのかな?


 しばらくすると星子がまた戻ってきた、遠目だからわからないけど手に何か持ってる。

 俺は思いっきり手を振って星子を呼び寄せる。


「潤平、おまたせ」


 女神に見えた。

 いや、昔から女神に見えていたけどね。


「これ、祐介から預かってきたよ」


 差し出された浮き輪。

 子供用のアニメの絵がかかれた浮き輪・・・・。

 まさか、これを俺に使えと?


「泳げないなら言ってくれたら良かったのに」


 恥ずかしい浮き輪を身につけ海の中に入る。


「私に捕まって良いよ」


 星子の肩に手を当てる。

 星子はそのまま泳ぎ陸に向かう。

 俺は星子に引っ張られるように泳ぎ始めた。


「なんか、周りの人の目が痛いね」


「そう?私は気にならないわ。だって潤平とこんなにくっついて居るんだもん」


 確かにお互いがほぼ裸の状態で密着している。

 でも、俺は浮き輪をつけて助けられるように引っ張ってもらっている。

 星子は恥ずかしくないかもしれないけど、俺は恥をさらしている。

 その証拠に他のメンバーはこっちに寄ってこない。


「おかえり」


 陸に戻ると3人が待っていた。

 待ってるぐらいなら助けてくれてもいいのに・・・・。


「祐介はどうして俺が泳げないことを知って居るんだ?」


「優子ちゃんから聞いたから」


 そか・・・・・・。

 どっと疲れが出てきたよ・・・・

さて、海の話ですが私自身も実は泳ぎは苦手です。

というか、実際にあったエピソードを脚色して話にしました。

私の時は両手につける小さな浮き輪みたいなモノでしたが。

同じように手を引いてもらって戻ったんですが、助けてくれた女の子以外の友人は他人のふり。。。。

あれから二度と海へは行ってません・・・・・。

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