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夜空と星  作者: 小田桐
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夏祭り〜佐織〜


 得意なモノから片付ける。それが俺の宿題のやり方であり、たぶん俺の生き方。

 学校の勉強というのは複雑な計算式を必要とする割にはめんどくさい計算を必要としない、せっかく電卓という文明の利器があるのにそれを使うことがないのが少し苛立たしい。

 ある程度進んで一段落付いたので冷たい物でも食べたいと思い冷凍庫を見るがアイスクリームは入ってない。

 そんな時だった、佐織が遊びに来たのは。


『ピーンポン』


 今、家には俺しか居ない。両親は買い物に出かけ、妹は友人の家に遊びに行っている。

 仕方なく玄関まで足を運ぶ。


「ジュン君、こんにちわ」


 なぜか浴衣姿の佐織。


「可愛らしい浴衣だね」


「そうでしょ?縁日に行こうと思って買ってきたんだ」


 つまりお祭りに誘いに来たらしい。


「今日は優子はいないよ」


「なら、ジュン君。2人で行こうか?」


「昨日も一昨日も行ったんだけど・・・」


 毎日お祭りに行くほど祭り好きって訳ではないのに、俺は。


「私に1人寂しくお祭りに行ってこいっていうの?変な男の人にナンパされて、ついて行ってなにかあったら責任とってくれる?」


 なんで俺が責任とらないといけないのさ・・・・。

 それに変な男にナンパされたらついて行かなければいいじゃない・・・。


「わかったよ。準備するから待ってて」


「うん、2人きりのデートだね。5分後に迎えに来るから」


 そう言って佐織はいったん自宅に帰った。

 宿題を片付けた俺は部屋から上着を出し、佐織が迎えに来るのを待っていた。



 あれ、さっきと何かが違う。

 迎えに来た佐織を見てそう思った。

 さっきと同じ浴衣を着て、髪の毛は後ろでお団子にしたままだ。


「手をつなごう」


 佐織が俺の手を取ったときに違和感に気がついた。

 指輪をつけていることに。


「それ、まだ持ってたんだ?」


「うん、私の宝物だからね」




 幼い優子が指輪をねだって買ってあげた話には続きがあった。


「お兄ちゃんに指輪買ってもらった。これで優子は大人になったらお嫁さんになれるんだよ」


 なにを勘違いしたのか、優子は指輪がないとお嫁さんになれないと思い込んでいた。確かに、そうかもしれないけど俺が買ってあげる物でもないだろうに。

 でも、幼い佐織はそれを信じてしまった。

 佐織よ、おまえは本当に優子よりも年上なのか?


「ジュン君、私も欲しい。大きくなったらお嫁さんになりたい」


「指輪がなくてもお嫁さんになれるよ、佐織なら絶対に可愛いお嫁さんになれるから」


 幼かった俺は当たり前のように佐織をなだめる。

 だけど、佐織は納得しなかった。


「それでも欲しいの。ジュンくんのお嫁さんになってあげるから買って、買って、買って」


 佐織に俺のお嫁さんになってもらいたい訳じゃないけど、仕方がなかったから佐織にも指輪を買ってあげた。

 子供だった俺はたいしたお小遣いをもらっていなかった。理由もつけずに母親にお小遣いをおねだりしたら、あっさりとお金を渡してくれた。もしかしたら、理由を知っていたのかもしれない、と今になって思う。


「佐織、指を貸して」


 翌日、俺は佐織の指に指輪をはめてあげることになる。


「ありがと。大切にする」


 満面の笑みで答えられ、俺も嬉しくなる。


「今度はちゃんとした物を将来のお婿さんに買ってもらいなさいよ」


 そしたら、さっきよりも嬉しそうな笑みになった。


「なら、今度はちゃんとした指輪を買ってね」



 夏祭りって独特な雰囲気を持っている。普通なら白い目で見られるはずなのに、縁日を歩いているっていうことで後ろに子供のキャラクターモノのお面をつけているのに何も言われない。佐織のように。


「今年はこれないと思っていたけど、これて良かった」


「そうか、良かったね」


 昨日、一昨日と通った金魚すくいの出店の前を横切る。

 毎日別の女の子を連れてなにしてるんだ?という目で見られたがそれは気にしない。気にしたら負けだ、きっと。


「不思議だね、いつまでも回ってるのかな?」


 出店の一つでおもしろいコマを売っている店を見つける。


「どうなんだろ?」


 普通のコマと違ってヒモで回している訳ではなさそうだ。興味を示した俺たちはそのコマに釘付けになっている。


「欲しいの?」


 一応聞いてみる。


「ううん、不思議だなぁって思って。それに私にはジュン君に買ってもらった指輪があるから他はいらない」


 終始、俺の袖を掴みながら佐織はコマを見ていた。

 さすがにずっと見るわけにもいかないし、飽きてきたところで他の店を見て回る。

 今日も夜から花火大会があるらしい、昨日よりも盛大な花火大会が。だけど、そろそろ帰って夕食の時間。

 見たいような帰ってご飯を食べたいような気持ちになるが、食欲には勝てなかった。


「さて、帰ろうか?」


「うん、帰ろう」


 佐織に袖をつかまれながら俺たちは家路についた。


コマのエピソードですが、幼い頃に連れられて行った縁日においてあったモノです。たしか「地球独楽」という名前だったかな?正直名前を思い出せません。当時の私は本当に欲しかったですw

残念ながら結局は買わずじまいでしたけど。

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