夏休み開始
「これ、読んでね」
亜美さんから本を一冊手渡され、俺はそれを読んでいた。
恋愛小説だと思っていたら、内容は思ったよりもショッキング。ドロドロの修羅場があれば、恋敵を陥れるために罠を張ることもある。結ばれない愛に終止符を打つために無理心中で話が終わっていた。
「こんなのにはまってるんだ・・・・・」
軽くショックを受けながらも、明日からちゃんと普通に接することが出来るかなぁ。と不安になってしまう。
もしかしたら、星子もこういった本を読んでいるのだろうか・・・・。
「おまえ何読んでるのよ?」
少し本を読むのに夢中になっていたらしい。
後ろに祐介がいるのに気づかなかった。
「別に普通の本だが」
「普通の本に不倫や心中などの単語がはいっているのかよ」
鋭いところをついてくる。
ここは亜美さんの名誉のために彼女から借りたことは隠しておくべきだろう。
「たまにはこういうのもおもしろいと思ってね」
無理矢理言い訳しておいたけど、これが俺の趣味だと思われるのはいやだった。
明日から夏休みになるということで今日は学校が早く終わった。
学校が早く終わって暇なときは、祐介の家に行くのが恒例になってしまっている。
まぁ、学校から近いから楽でいいんだけどね。
「この後、亜美達が来ることになってるぞ」
おまえらってホントに仲が良いな。感心してしまう。
まぁ、優子と佐織もいつも一緒にいるほど仲が良いか。
「で、集まってどうするのさ?」
「決まってるだろ。休みの計画を立てるんだよ」
「計画ってなにさ?」
「もちろん、海に行く計画だよ」
そういえば、祐介は夏休みになると海に泊まってると話をしていたのを思い出した。なんでも祖母が海の家と民宿をやっているらしく、手伝いというかバイトに行っているらしい。
「一週間になるけど問題ない?」
一週間?休みの1/4じゃないか。
「私達は別にかまわないけど」
そう答えるのは如月姉妹。
「潤平も来るなら一週間といわず一ヶ月でもかまわないかな」
星子、さすがに一ヶ月も海にいたくないぞ。俺は・・・・。
「まぁ、拒否されても連れて行くつもりだったからすでに連絡はしてあるんだよね」
やっぱり、祐介は祐介だよ・・・。
何となく、俺は拒否出来ない予感はしていたんだよ。
「用意する物とかってあるの?」
「水着と学校の宿題だけかな、あとは普通の旅行道具で。日中はバイト漬けだけど、休憩時間は海で遊んでも良いし」
それで日給も良いとなると確かにいい話かもしれない。
だけど、うまい話には裏があるんだよね。絶対に。
「まぁ、炎天下の中動き回るから。終わったら風呂に入ってバタンキューだけどね。いつものパターンなら」
やっぱりね・・・・・。
「そう言うわけで予定あけておけよ」
「私、来週でも新しい水着買ってくるから楽しみにしててね」
星子と一緒の帰り道。彼女は楽しそうに言った。
「俺もつきあおうか?」
「当日までのお楽しみだよ」
そう言って俺の前に回り込みニコッと笑う。
その仕草が可愛らしい。
「なら、俺も買ってくるから当日までの楽しみにしててね」
「そうね、でも、ビキニパンツとかはやめてよ」
「しないよ」
突然に出来た予定だったが、夏休みが楽しみになってきた。
毎週更新する予定が、先週はいろいろあって更新できませんでした。楽しみにしてくれている方、どうもすみませんでした。っと書いてるけど、楽しみにしてる方がいなかったらそれはそれで寂しいかな。
これからも毎週更新を心がけていきますが、更新が遅れることがあったらそれはそれで多めに見てくださいね、