告白
いつかは来ると思っていた。
俺と星子さんは釣り合わないことは最初から解ったいたことだけど、それでも別れを告げられることはショックだった。
「星子さんが望むなら」
俺は今、どんな声をだしているのだろうか?
きっと絞り出すように女々しい声を出していたに違いない。
「潤平さんは私のこと好きじゃないの?」
「好きだよ」
「なら、どうして別れたくないって嫌だって言ってくれないの?」
「だって、星子さんが別れたいって言うから」
「理由も聞かずに、私が別れたいって言えばあなたは別れるの?」
星子さんは怒ってる。
いつも笑みを見せている星子さんの顔からは笑みが消えていた。
「潤平さんは私がどうして怒っているか解っていない、私はあなたに心を開いているのにあなたは私に心を開いてくれていない、私を解ろうとしてくれないのね」
「だって、俺と星子さんは不釣り合いだから。だから、星子さんが別れたいって言えば俺はそれに従おうとずっと思ってた」
「不釣り合いってなにが?」
「星子さんは綺麗だし、頭も良い、何だって出来る。俺にとっては高嶺の花だよ、まぶしすぎる存在なんだから」
「まるで星のように?」
そういって星子さんが星空を見上げた。
俺も釣られるように空を見上げる。
星が綺麗に輝いていた。
「私は星じゃない、普通の女の子なのよ。好きな人とキスもしたいし、甘えたい。潤平さんは女の子に甘えられるのが苦手だと思っていたけど佐織ちゃんには甘えさせあげてた」
「そんなことは・・・」
「私だって、潤平さんに甘えたいし、頭を撫でてもらいたい。名前だって呼び捨てで呼んでもらいたいのに、どうして佐織ちゃんにはしてあげて私にはしてくれないのよ」
鈍感な俺はようやく星子さんの気持ちがわかった。
なら、俺がすることは。
「きゃっ」
突然、俺に抱きしめられ彼女がちょっとした悲鳴を上げる。
俺はそのまま自分が下になるように彼女を抱きしめたまま草原に倒れた。
「星子さんの気持ちを考えなくてごめんね。
それでもあなたは眩しい星なんだ、だから俺がそれを包む夜空になれないかな?」
彼女は何も言わない。だけど、俺は続ける。
「俺と付き合ってくれないかな?
星子が好きだから君の隣にいる資格が欲しいんだ」
彼女に惹かれているけど、釣り合わないと思っている。
だから、俺は彼女に心を開いていなかった。
無意識のうちに。
でも、ようやく俺は理解した。
彼女が好きだと言うことを。
「私のこと好き?」
「大好きだよ」
「抱きしめたり頭を撫でてくれたりする?」
「うん、する」
「私、寂しがり屋だよ。側にいてくれる?」
「ずっと、側にいる」
「絶対に?」
「うん、絶対に」
そして俺は望んでることを口にした。
「ねぇ、キスしてもいい?」
答える代わりに彼女が俺の首に手を回した。
彼女の唇は柔らかく温かかった。
読者数を見てこんなに読んでくれる人が多いと驚いています。これからも愛読していただけると嬉しいです。
私は話を書くときに音楽を聴きながら書いています。出てくる主人公達に曲を当てはめ、その曲を聴きながら書くことが多いですね。
主人公の潤平ですが松本英子さんの「Squall」をテーマ曲としています。もし良かったらそれを聞きながらこのお話を読んでもらえれば幸いです