キスをせがむ彼女
コーラーを飲んでると制服姿の学生がちらほら見える。
うちの学校の生徒も多いが、K高の学生達の姿も見えた。
その中に星子さんの姿を見つけると俺は祐介達にもう行くと言い、店を出た。
余談だが、祐介と亜美さんはまだ店にいる。どうやら2人の世界に入ってしまっているらしい。
後ろから私服姿の星子さんに声をかける。
「こんにちわ」
彼女は少しびっくりするが、すぐに俺と解ると笑顔を見せてくれた。
「潤平さん、今日はどうしたんですか?」
「迎えに来たんだよ」
俺が言うと星子さんの爽やかな笑顔が少しデレデレとした笑顔に変化した。
「嬉しい」
そう言って俺の手を握ってくる。
でも、駅で人が多いときにはやめて欲しい、少し恥ずかしいから。
「自分の勉強だって忙しいはずなのにいつも悪いね」
「そんなことないですよ、教えながら復習にもなっていますもの」
復習か、予習はしたことあっても家に帰って復習なんて宿題でしかしたこと無いな、俺は。
こういう姿勢が俺と星子さんの違いなのかもしれない。
そう思い、少し見習おうと思った。
実行できるかは別として。
「それにこうやって潤平さんが迎えに来てくれるなら毎日だって行きたいぐらいです」
「そう言ってくれると嬉しいかな」
ホントに嬉しい気持ちになる。
こういう時に俺は間違いなく星子さんに惹かれてると自覚してしまう。
今日は運が良いことに地下鉄に乗ったら座ることが出来た。
いつもなら、つり革につかまって立っていることの方が多いのに。
「今日は良いことばかりね、潤平さんが迎えに来てくれるし、席だって空いてるし」
「そうだね、こうやって2人でゆっくり座るのも悪くないよね」
座れたといっても、車内は混んでるので僕と星子さんの距離はかなり近い。近いというかくっついている。
「うん、なんか恋人同士って感じがする」
「ホントだね」
素直に答えられる自分が居た。
俺たちはそのまま目的の駅で降りて自宅まで歩いている。
手をつないで。
「ねぇ、潤平さん。キスして」
星子さんが上目遣いで俺を見ている。
近道として少し大きめの自然公園を歩いていて、周りに誰も居ない。
「っえ、でも・・・・」
「したいの、いいでしょ?」
逃げ道がない。
でも、付き合ってから2ヶ月たっている。キスをするのに早すぎるってことはないと思うけど。
「潤平さんの意気地なし」
結局、星子さんにキスは出来なかった。
それでも俺たちはくっついて道を歩いてた。




