罰ゲームと自分の気持ち
恥ずかしい・・・・。
今の俺はきっとトマトのように真っ赤な顔をしているだろう。
「星子さん、もうやめない?」
「ダメですよ。星子って呼んでください」
端から見たら俺たちはバカップルに見えるだろう、いや、やってる行動はバカップルそのもののはずだ。
ビリの俺の課せられた罰ゲームはトップである星子さんの言うことを何でも聞くことだった。
「一緒にいる私たちまで恥ずかしいわ」
「別にいいんじゃないの?潤平だって楽しそうだし」
「そうね、私がトップになれなくて残念だわ」
そんな俺たちを見て3人は勝手なことを言う。
俺だって男だし、こんな美人とラヴラヴなのは望むところだけど、人前では恥ずかしい。
「ほら、アーンして」
言われるがままに口を開ける。星子さんはスプーンですくったパフェを俺の口に入れてくれた。甘くて美味しい。
「楽しいのはいいんだけどさ、いつまでたっても食べ終わらないぞ?」
冷静な祐介のつっこみで少しは救われた。ような気がした・・・・・。
またしても自分が恥ずかしいと思った。
「潤平さん、デュエットしましょう」
次に来た場所はカラオケだった。
正直に言うと俺はかなり音痴な部類に入る。だけど、他の四人は天使の歌声とまではいかないがかなり上手だった。
「デュエットしてもいいけど、俺のほうがかなり下手だから浮いちゃうよ」
やんわりと断ってみる、だけど俺の主張が受け入れられるとは思ってもいない。
「この曲いれるね」
やっぱりね・・・・。
星子さんがいれたのはラヴソング。
二人で一つのマイクを持って歌った。
「ふふふ、楽しいね」
星子さんはとてもご満悦、そんな表情を見てると許せると思ってしまう自分が居た。
考えてみたら女の子とデュエットするなんて生まれて初めてだ。
恥ずかしいと思う前に俺も楽しめばいいのかもしれない。
「つぎ、私歌うね」
と、思ったが他の人の歌を聴いてしまうとやっぱり自分の音痴が恥ずかしい・・・・。
でも、それほど彼女たちの歌は上手だった。
だから、歌を聴いてると気持ちがふわふわしてくる。
「今度は2人きりで来たいですね」
そんな状況で言われたら思わず「うん」って答えてしまう。
だから彼女が「約束ですよ」って念を押されたときにほんの少しだけ後悔した。
「っあ、俺が入れた曲だね」
それでも、俺は星子さんに惹かれている。
俺は自分で気障だとは思わないが、少しだけ気持ちを込めて流行のラヴソングを歌ってみた。もちろん、彼女のためにとは口にせずに。
「私、潤平さんの歌好きですよ」
歌い終わった後に星子さんは俺にだけ聞こえるような小さい声で言った。
「ありがと、嬉しいよ」
俺も小さな声で彼女に返事をする。
このまま彼女の恋人となったらきっと幸せなんだろうなぁって考えてしまう。
だけど、不釣り合いの俺に彼女がいつまでも惹かれてくれるとは思えない。
俺は俺にあった恋人を探すべきだとなにかが警告している。
そういえば俺が好きな女の子タイプってどんな娘だったのかを思い出してみた。