大監獄はヤバい奴らばっかり。
監獄で目を覚ましてから三日目の夜。
刑務員が見回りをする時間がやってきて、罪人達は皆眠りについたふりをする。
自然に見える鼾や寝返り。
本当に寝ているのでは?と思ってしまうほどの演技派ばかりで俺は気づかれない程度に表情を緩めた。
毛布が一枚支給されているのだが、かけているのを忘れてしまうくらいに薄いため、あまり意味がない。
ただ地下だからか、地熱によって地上よりも寒さをあまり感じずにいられるのが救いだ。その代わり湿気が凄くて、ところどころにカビが生えているのが目に入るけども。
刑務員の見回りがいつも通りの時間に終了して、俺たちは寝たふりを止める。
「よし、それじゃあ作戦開始だ。」
小声でそう言うとベイルは自らの下着の中に隠していた鍵を取り出し、牢屋の中から手を出して鍵を鉄格子の鍵穴に入れた。
カチッという音とともに鉄格子が開き、ベイルは牢屋から出ることに成功した。
大きな図体を揺らしながらベイルは次々と牢屋の鍵を開けていく。もちろん俺の牢屋も開けてくれた。
これで自由の身とまではいかないが、ようやく薄暗く陰気な牢屋から解放されたのは喜ばしいことだ。
ただこれからが問題になる。無事に地上まで帰還できればいいが。
「よし、これで全員だな。」
ベイルは次々と牢屋の扉を開けていき、B5の総勢五十人の囚人を解放した。
見るからに粗暴な連中が大勢いるこの空間はベイルを中心に案外とまとまりを見せていた。物音を立てずに五十人が身振り手振りで意思疎通を図っている。
未だに見張りの連中に気付かれていないのが俺には予想外だった。
いやだって普通気づくでしょ?この階層の囚人全員が牢から出てるんだから。
ベイルが先頭に立ち、進み始める。
囚人服以外に身に付けているものはない。それは全員同じだ。素手でどれだけやれるのか、または魔法を使える者はいるのか、俺には全てが未知数だったけれど、今はただ前に進むことしか考えていなかった。
ベイルは人差し指を唇に当てて、こちらに静かにするように合図した。もうすぐそこにB4へと上る唯一の階段がある。
もちろんそこには階段と共に刑務員が数名い常駐している。
ベイルがこっそりと覗き見ると何やら刑務員達はテーブルを囲んでカードゲームに興じているようだった。かなり熱中しているみたいで、ベイルの存在にもまったく気づく様子はない。テーブルの上には数多くの硬貨が散らばっている。
どうやらお金を掛けてゲームをしているらしい。これは好都合だ。
ベイルはタイミングを見計らい、後ろに合図してから飛び出した。俺も囚人らと一緒に刑務員に向かって駆け出した。
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「よっしゃあ!これで俺の3連勝だな!」
刑務員の男の声が響く。同時に他四人の溜息に似た声が漏れる。
「マジかよ。もう手持ちの金が無くなりそうだぜ。」
「そりゃあ俺もだ。給料前借りしたい気分だよ。」
「何でお前がそんなに強いんだ!?」
「ちっ!もう好きなだけ持ってけ!!」
男達はだらしなく突っ伏したり、もう一度だと意気込んで散らばったカードをまとめたりと様々な反応をしている。
三連勝していた男は総額でどれくらい勝ったのか、自分でも分からないくらいに勝っていた。今日はツイている。あまりこういう経験をしたことがないので男も内心驚いている。
しかしそろそろ見回りに行かなければならない時間だ。
面倒だから本当はこの場にいる誰も行きたくはない。
誰が好きでこんな陰気臭い地下深くの牢獄なんかの刑務員などしているか。理由はただ一つで貰える金が多いから。本当にそれだけのことだ。
個人的には脱獄なんて馬鹿な真似をする奴らがいるとは到底思えない。なぜならここは地下5階だ。ここを突破してもどちらにせよ地上まで行くには多くの難関が存在する。断言しよう、脱獄は絶対に不可能だと。
男が思っていることは他の刑務員が思っていることと同じ。脱獄なんて無理だと考えているからこそ仕事が億劫になり、ほとんどの時間こうして賭け事をして過ごしているのだ。
よっこらせっと。
賭け事連勝男は椅子から腰を上げて、見回りに行こうとする。
「ん?何だ、勝ち逃げか、この野郎。」
「仕方ねぇだろ。もう見回りの時間だからな。戻ったら続きをしてやるよ。まあ俺が勝つと思うけどな。ははははは。」
「くそ、調子に乗ってやがるな。」
愉快な表情で足取りもなんだか軽く、楽しげだ。
男が囚人のいる通路へと顔を出した瞬間、男の体は吹き飛んだ。
刑務員の間に沈黙が訪れる。
••••••••••••一体何が起こったのか。意味が分からず、男達は数秒の間ずっと固まってしまった。
「お、おい!な、何だ、何が起こったんだ。」
一人の男から当然であろう疑問が呈された。だがその問いに答える者は当然ながら誰もいない。
まずは状況把握を、と言っても把握も何もないのだ。ただ通路に出ようとしたら吹き飛んだ。それしかないし、それしか分からない。
意を決して大丈夫かと吹き飛んだ男の様子を見に行った他の男は突如として飛び出してきた何かにいきなり殴りつけられて、すぐに気絶した。
そこで残った刑務員三人はようやく何が起こったか理解した。そしてそれは同時に理解するのが遅すぎたことを意味する。
「な、どうやって牢から出たんだ、貴様ら!!!」
刑務員はテーブルに立てかけておいたサーベルを抜いて構えた。
「そんなこと言う必要ないだろ。ただ俺らは地上を目指すだけだ。」
ベイルを先頭に舌なめずりするほどウズウズしている連中が目を血走らせている。
目の前の刑務員に威張り散らされた鬱憤が溜まっているのだろう。
こりゃあ血の気の多い奴らの集まりだな、やっぱり。
「こ、ここを通すわけにはいかねぇ。」
逃げることなく刑務員はサーベルをベイルへと向ける。五十人の囚人を相手にたった三人で戦うのはたとえ武器を持っていたとしても困難だろう。案の定、刑務員の手は小刻みに震えている。致し方ないことだ。いきなり訪れた命の危機に逃げ出していない勇気だけは立派だと思う。
「ベイルよぉ、こいつらやっていいのか?」
右拳を左手に打ち付けながらはやる気持ちを抑えられないでいる囚人の男は今にも刑務員に飛びかかりそうだ。
「ああ、好きにしろ。ただ上の階から援軍を呼ばれないようにな。」
「よっしゃあ、行くぜ?カス共!!」
囚人の男は思いきり駆け出した。見た目は髭面のおじさんにもかかわらず、移動速度は目を瞠るものがある。シオリの訓練を受けていなかった俺ならば、絶対に追いつけないであろうスピード。
俺と同じ感想を抱いた刑務員は戸惑いを見せる。それは致命的な遅れとなり、サーベルを振り抜いたのだが、囚人の男に上手く躱された。武器を持つということはそれだけ攻撃の後に隙ができるということだ。
刑務員は今更学習した。
見事なほど綺麗な角度で顔面に入った右拳。刑務員は強烈な一撃で吹き飛び、そのまま視界はブラックアウト。
今気づいたけどおじさんの腕の太さ半端ない。俺は自分の腕と比べて少し虚しくなった。うん、これからだ、これから。
上に行って助けを呼ぼうとした刑務員を同じようにぶん殴って気絶される。もう一人も同じように殴って。
合計五人の刑務員を気絶させ、縄でぐるぐる巻きにして牢屋に放り込んでおく。
これはなかなか酷いことしてるなと自覚はあったが、実質気にしていられない。
何としてでもここから出なければならない。今の俺の思いはそれだけだった。
よし、意を決してB4階へと進もう。そう思ったのは俺だけで他の四十九人は何の決意も気概もなく、余裕な感じで階段を上っていく。
その様子を見ながらそもそもの心の作りが違うんだろうなぁと思い、俺は深くため息をついた。
B4。
一度地上まで上がっているので初めて見た光景ではない。階段を上ったすぐ目の前に刑務員がいると思っていたのだが、人っ子一人いなかったので、俺は拍子抜けした。
でも考えてみれば階段近辺に刑務員がいれば下の異変に気付いてすぐに駆けつけてきただろう。
「これまた好都合だな。よし、先に進むぞ。」
B5とB4で何が違うのかと言うと、実際何も変わらない。牢屋の配置は若干異なるが、それ以外で変わったところはない。
ここがB5だと言われても気付かない自信が俺にはある。まあ威張っていうことではないが。
もちろんこのB4にも総勢五十人の囚人が収容されている。しかも皆相当悪い奴らばかりで外に放してはいけない人間が大多数だ。
「ん、おい?何だ、お前ら。何で外に••••••おい、ベイルか、ベイルじゃねぇか。ここ開けてくれよ、なあ、おい!」
囚人達は全員同じ反応を示し、騒ぎ立てる。出せ、開けろと鉄格子を強く揺さぶっている。
このままじゃあ刑務員がやってくるなんて思う暇もなく、奥の通路から刑務員が騒ぎを聞きつけ、姿を現した。しかも一人じゃない、四人いる。
「まあこうなるよな。予想通りだ。望んじゃいないけどな。」
「へ!どちらにせよぶっ飛ばさなきゃ前に進めねぇんだから、関係ねぇよ!」
さっきも暴れていた囚人の男が全力疾走で刑務員に襲い掛かった。
ちなみにこの囚人の名はグラマンと言うらしく、ヒエラポリスのスラム街を統べる男だったという。それだけ聞くとなんか凄そうだけど、一体何故この監獄に入れられたのか、それは聞いていないので、何とも言いようがない。うん、今度聞いてみようか、少し怖いけど。
そのグラマンに続いて、他の囚人も刑務員目掛けて突進し始める。
俺はその波に乗り遅れた。気付けば俺とベイルしかその場にはいない。
「この階の囚人はどうするんすか?」
「この階の奴らを助ける義理はない。まあ俺らの階にいた奴らも全員が知り合いとは言えなかったが、同じ階になったのも何かの縁。だからお前も含めて脱獄したんだ。」
俺は少し驚いた。そんなにも同じ階層の囚人らに繋がりを覚えているとは思ってもみなかった。この人見掛けによらず、案外良い人かもしれないと思った。知り合ってから何度か感じたことはあったけど、今明確にそれ感じ取った。
「じゃあこの人達はこのままで?」
「ああ、そうだな。あともう一つ理由があるんだ。」
「何すか?」
「その牢に入ってる奴、ディロスって奴なんだが、あいつは規格外にやべぇ。あれはヒエラポリスの連続殺人鬼だ。野に放つにはちと危険すぎる。」
「ほう、そんな奴が。そりゃあダメですね。ただベイルさんも国王暗殺未遂というご立派な犯罪を••••••」
「ははははは、言うなぁ、お前。そうだな、俺もあいつと同類だなぁ。だからあいつが自力でここから抜け出そうとする分には俺は止めねぇ。まあ止める資格はねぇからな。」
俺はふと牢屋の中に視線を向ける。ディロスという名の囚人は鉄格子の間から手を出して、俺やベイルをなんとか掴もうとしているが、俺と彼には到底届くことのない距離がある。まるでゾンビのように見える囚人らの手を無視して、俺とベイルはもうすっかり刑務員を無力化したグラマン達のところまで急いだ。
「これで全員か?」
「ああ、俺が見逃すわけねぇだろ?」
視線の先には五人の刑務員が気絶した状態で床に転がっていた。
「上出来だな。」
刑務員をまとめて空き部屋に放り込んでから次の階に行こうと階段の方へと進む。
なんだか拍子抜けするほど上手くいっている気がする。しかし何故か漠然とした不安が募る。何か良くないことが起きるのではないか。俺の当たって欲しくない予想は不運ながら的中した。
B3の階層から雪崩れ込むように王国騎士がやってきて、殺気を帯びた視線をこちらに向けてきた。
俺はその光景を見て思わず固まってしまった。いつ脱獄が判明したのか。ひょっとしたらどこかにセンサーのようなものがあったのかもしれない。いや、そもそもこの世界にそんな近代的な技術がある感じは見受けられない。ならば魔法の仕業という線も•••••••••
そんな思考を振り払い、心の中で短く叫ぶ。
バレちゃった。てへ。
「やってくれたな?ベイル、貴様の仕業だろう?」
「誰の仕業でもいいだろ?ここに俺らがいることが答えだ。」
俺は少しビビっていたが、他の四十九人はそうでもないようだ。分かっていたけど思った以上に頭のネジが外れているみたいだ。
刑務員を倒そうとしている時と全く同じ表情で王国騎士を睨み付けている。
ええ、冗談だろ。刑務員とはレベルが違うぞ。俺はこの団体の中心人物であるベイルに視線を向けた。
余裕のある表情、を頑張って作っている。直感ではあるけど、そう思った。余裕はおそらくない。
「まあ遅かれ早かれ王国騎士とは事を構えることになるだろうとは思っていたからな。よっしゃあ、お前ら、ここから出たいなら王国騎士のクソ野郎どもを薙ぎ倒して進めぇ!!!」
うおおおおおお!!!
王国騎士と囚人の殺し合いが始まった。
初手の動きから最早刑務員とは比較にならない。王国騎士達は流れるように長剣を抜き、殴りかかってくる囚人を斬り伏せていく。
鮮やかな剣技に雑魚敵のように散っていく囚人達。気合や勢いだけではどうにもならない実力差がそこにはあった。
加えて囚人はボロボロの薄布の服装で、防御力ゼロと言ってもいい。
一回でも斬られたら命を落としてもおかしくない傷を負ってしまう。げんに目の前で数多くの囚人がそういう傷を負っている。
俺はどうするべきか思考を巡らすが、考えている暇などなかった。視線の先で王国騎士が俺をターゲットにしたのがはっきりとわかった。メドヴィスの俺をシノビとの交渉材料にするという言葉からある程度の安全は保障されるのだろうと考えていたが、現実は甘かったようだ。
王国騎士は目の前の囚人を斬り殺してから案の定こちらに向かってきた。獲物を狩り取るのを待ちきれない獣のような表情。いやいやお前本当に王国騎士かよ!!!
「死ねぇぇ!!!犯罪者共めぇぇ!!!」
「うおっと!おいおい、自分の顔鏡で見てみろよ。どっちが犯罪者だよって感じだぞ?」
俺は王国騎士の斬撃を避ける。社交ダンスのような華麗さで。
その動きがより王国騎士の怒りを増幅させたのか、彼は俺を凄い形相で睨んできた。
「黙れ!!貴様らのような輩は人間ではない。虫以下だ。」
えええ、俺直接君に何かしたわけじゃないよね?そこまで言う!?
あまりにも直球な悪口に俺は呆気に取られてしまう。
日本に住んでいた頃は陰口やら悪戯やらのかなりエグい変化球のようなやり方で色々とされたことはあるが、ここまで面と向かってはさすがにほとんど経験していない。
ちょっとショックだったけど、陰険なやり方よりはずっと良いなと正直思った。
俺がそんな今の現状と外れたことを思っているとまたも王国騎士は顔を真っ赤にして怒っている様子だった。
「貴様ぁ!!何を笑っている!!馬鹿にしているのか!!!」
唾を飛ばしながら大声で叫び散らす。もう周りは一切見えていない。
こんなに無意識に人を怒らせたことを俺はない。初めての経験だ。
「え、俺笑ってた?悪い悪い。無意識だわ。」
俺の話など聞こうともせずに一撃、二撃、三撃と確実に殺すための攻撃を繰り出してくる。改めてシオリの訓練を受けといて良かったと思った。
俺は難なくその攻撃を避ける。
凄え•••と小さく呟く声が複数の牢屋の中から聞こえてくる。
その声に気を良くした俺は反撃を開始する。
「先に仕掛けたのはそっちだからな?」
その呟きは目の前の王国騎士に届いただろうか?ここしかないタイミングで俺の右拳が彼の顔面にヒットして、そのまま後方へと吹き飛んだ。
「ひ弱そうなくせに結構やるじゃねぇか。」
ディロスが興味深げにこちらを見ている。俺はそれに気付きながらあえて無視をする。だって関わるとろくな事にならないだろうし。
ベイルも俺に対して賞賛の言葉を並べる。
それからベイルも参戦し、なんとか王国騎士を気絶もしくは殺すことができた。
しかし結果として囚人の半分以上が命を落とすことになった。
彼らの亡骸は血だらけで見るも無惨な感じになっていた。
その光景にショックを受けることはなかった。
俺の死というものに対しての恐怖心は薄くなっている。それはやはり一回死んでいるからだろうか。理由は分からないけど、それ自体あまり良いことではないと思う。
「弔いなんてやってる暇はねぇ。残った俺らで地上を目指すぞ。」
ベイルの言葉に反論の声が挙がる。
「待てよ、ベイル。このままじゃ、地上まで上がれねぇよ、誰一人としてな。」
グラマンは冷静に状況を判断できている。
「諦めるのか?」
「んなわけねぇだろ。ここにいる囚人達も解放すりゃ事足りる。なんたってコマが少ねぇんだからな。」
犯罪者らしい考え方だ。でも反対するつもりはない。俺はここから出られるならばそれで良い。はっきり言うとこの場にいる囚人達がどうなろうと知ったこっちゃない。
ベイルはほんの少しだけ迷いを見せたが、すぐに首を縦に振った。
「まあ、お前の言うことが正しいかもな。」
ベイルは下着の中から鍵を取り出し、次々と牢の扉を開け放っていく。
よっしゃああ!
自由だああ!
などと叫び散らして、喜びを露わにする様子を端から見ながら俺はまだ見ぬヒエラポリスの国民のことを嘆く。
一番危険な人物としてベイルから聞き及んでいたディロスもすっきりとした顔で牢屋からのそのそと出てくる。
こいつだけは外に出したくはなかったが。ベイルはまさにそんな顔をしていた。
ディロスもそのベイルの感情を分かっているのか、得意げな表情をベイルに向けている。
「こんなところで時間を喰ってる場合じゃねぇだろ?早く進もうぜ。」
ディロスは気絶した王国騎士が持っていた長剣を拾い上げて、じっと眺めてから一度頷いた。
B3へと上がる階段の前まで来たが、先程の様子が嘘だったのではないかと思うくらいに静かだ。しかしそれが逆に怖い。
慎重に進むのが得策だ。
ディロスとベイル、そしてグラマンを中心にB3へと上がった囚人達は今までとは異なる光景にギョッとした。
ああ••••••そういえばこんなだったな。こりゃあびっくりするよな。
視界に入ってきたのは全面が鉄に覆われた通路や部屋だった。