魚肉ソーセージ
習作です。
彼らという人格を自分のものにするために書いてみたものです。
一つだけ
深川矢先というのはPNであり、本名ではありません。彼は「小説を書きたい!」と願った時に、下地洋介と共に作ったキャラクターで非実在人物です。
じぶんが〜〜だったら系の痛い子ではないので、
念のため
「なあなあ深川。」
なにか悩んでいる様子の下地。
「ん?」
僕は返事をした。
「『魚肉ソーセージ』ってあるじゃん?」
唐突にどうしたんだろう。
もちろん、僕たちは『魚肉ソーセージ』の話なんて欠片ほどもしたことはない。
加えて、今目の届く範囲に魚肉ソーセージは確認されない。
「あれってさ、ソーセージじゃないよな。」
「いや、ソーセージだろ。」
下地は鼻で笑った。
「いいか?ソーセージの和訳は、腸詰めなんだよ。」
下地は人差し指を僕に向けた。
「あれは腸詰めではない、よってソーセージではないのだよ深川くん。」
うぜえ、なにがうざいってしてやったり顔がうぜえ。
「細かいなぁ。大体同じようなフォルムだからソーセージでいいじゃん。」
ほお、と下地は反論を始める。
「じゃあお前は産地偽造を許すのか?」
「いや、それとこれとは・・・」
「お前、外国産の安いお野菜を国産の高い野菜と偽って売られて別にと納得するのか?それでいいのか?駄目だろう?この魚肉ソーセージ問題はそれと同じなんだよ!目の前に、隠そうともせうに転がってる偽造問題を!!俺達はゆるしてはいけないんだああぁぁ!」
下地はここまで呼吸せずに叫びきり、満足げに息を整えた。
僕は、この死ぬほどどうでもいい問題にも、ここまで必死になれる下地に、若干の尊敬の念すら感じた。
人生死ぬほど楽しいだろうな、きっと。
「だったら、どう呼べばいいんだ?」
僕の問いにに対し下地は簡単に答えた。
「こんどから、これの事を『魚のすり身棒』って呼ぼうぜ。」
「語呂が悪いな。」
「でも正しいだろ。」
ふうんと適当にあしらって、俺も考えてみる。
・・・ここで考える僕も、下地と同類なんだろうな、きっと。
・・・・・・・・・・・・あ、
「『魚バー』とかどうよ、それっぽくない。」
「おお!それっぽい!」
彼は嬉しそうに歓喜した。
かくして、しばらくの間僕と下地の間で魚肉ソーセージは、『魚バー』と呼ばれ続けた。
まあ、これの2週間後には飽きてしまい、魚肉ソーセージと呼ぶ様に戻ったが。