神国日本の奇跡 あるいは人類絶滅の序曲
2014年4月1日作製のエイプリルフールネタ。
作中に登場する国名はフィクションです。
実在の国家には関係ありません。
20xx年4月1日、C国とK国は日本に対して宣戦を布告した。
C国とK国の主張は以下の通り。
「C国とK国が合同で設立した生物学研究所の研究によれば、
日本人は厳密には遺伝子的にホモ・サピエンスではない。
日本人の遺伝情報には魚類や両生類への先祖返りが見られ、
もはやホモ・サピエンスではない別の生物種と言える。
おそらく日本人という民族が形成される極初期の段階にて、
何らかの水棲種族との混血があったものと推測されるが、
これに関しては今後の詳細な研究が待たれる。
この水棲生物から原始的な残忍さと狡猾さを受け継いだ日本人は、
人間というより凶暴な野生動物の一種である。
その獰猛さと凶悪性は歴史が証明しており、
特に太平洋戦争時にアジア諸国に及ぼした被害は甚大である。
一億以上の個体数を誇るこの害獣の群れを放置することは人類の平穏を脅かすことになる。
人類の存続にとって障害となるこの害獣を地球上から駆逐するために、
我々は正義の鉄槌を下す。」
C国とK国は宣戦布告と同時に空軍と海軍を派遣。
C国軍は沖縄へ、K国軍は九州へと殺到した。
電撃的に制空・制海権を奪った両軍は、
続いて陸上部隊を次々と上陸させていった。
この事態に慌てふためいたA国は在日大使を急遽本国へ召喚する。
大使はA国議会にて熱弁を振るった。
「かねてよりC国やK国が主張してきた日本人の野蛮さは筆舌に尽くしがたい問題です。
ヤツらはかわいいイルカさんやクジラさんを殺して食べてしまうような鬼畜です。
現在沖縄でC国軍と睨み合っている我が軍は、
直ちにC国と連携して、日本人を地球上から抹殺すべきです!」
この熱弁にアテられた議会は日本攻撃を採択。
在日米軍は獅子身中の虫と化した。
さらにR国は北海道は歴史的にR国の領土であると突如主張しだし、
北海道に住むR国民の保護を名目に侵攻を開始した。
自衛隊は各地で絶望的な抵抗を続けていたが、多勢に無勢。
各国軍は都市を瓦礫の山へと変えながら進軍し、
日本全土を蹂躙していった。
彼らは「危険な害獣」である日本人を捕虜にすることはなく、
自衛官、公務員、民間人の区別なく虐殺した。
男も女も老人も子供も、侵略者達に犯され、嬲られ、殺されて捨てられた。
日本人が作った建造物も美術品も文化財も粉砕され、燃やされた。
「所詮は人でないもの」を相手に人道的配慮は必要ないとして、
C国軍は核や生物/化学兵器すら投入した。
日本人の人口は開戦後わずか1ヶ月で五百万人以下にまで減少した。
その頃になると、生き残った日本人達の間に奇妙な宗教が流行りだした。
だれが始めたというわけでもないのだが、
「焚久留易 無久留有南浮 九頭竜 瑠璃惟江 無具不無倶流 不蛇郡」
という意味不明の念仏を唱えては、連合軍相手に無謀な反撃を敢行してくるのである。
その不気味さに侵略者たちは恐れおののいたが、
気味悪さからより苛烈に日本人の抹殺を進めて行った。
日本人の絶滅が目前となった頃、
その奇妙な念仏は南太平洋の海底で微睡む神の耳に届いた。
自らの眷属の末裔の怨嗟と絶望の祈りは神の意識を夢の国から現実へと呼び起こした。
目覚めた神はその居城たる海底都市ルルイエとともに太平洋上に浮上するのであった…