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私の住むせかい ~ 一つの願い事 ~  作者: みずはら
(第一章)雨の中で……
8/68

(3-1)始まり

「む?」


 黒っぽく鈍い光をはじく戸棚と、ガラス扉の中の調度品が小刻みにカタカタと揺れる。

「母さん、地震かな」

 お茶を飲む手を止め、海雲は台所に向かって声をかけた。

 五分刈りで丸められた頭であるが、法衣ではなく黒っぽいTシャツのような服装。

 木製の黒いテーブルの上に並んでいる瓶の中で、醤油が細かい波紋を作っている。


「えっ? 何ですか?」

 洗い物の手を止め、エプロンで手を拭いながら、美佐が、海雲の方に歩いてくる。

「今、揺れたような」

「そうですか? 気付きませんでしたよ?」

 そう言いながら、美佐は、リモコンのスイッチを操作し、テレビのチャンネルを変える。

 男二人がどつきあっている場面、スーツ姿の男性が原稿を読んでいる場面、選手がバットを振り走り出す場面……。

「特に速報も出てませんねぇ」

「気のせいかな……」

 再び瓶を見ると、波紋は消えていた。

 海雲は、再びお茶をすする。


「耕平にも一応連絡しておきますね。今日来た女の子も心配ですし」

 美佐は、ちらりと「SECURITY」と書かれた壁の緑ランプを確認すると、ポケットから携帯電話を取りだす。

「耕平達は、ご飯は良かったのかな?」

「ええ、部活の人と食べてくるから、今日はいらないってメールありましたよ」

 携帯電話を忙しく操作しながら、美佐。

「そうか」

 僅かの後、黒電話の着信音が鳴り、美佐は携帯電話を再び操作する。

「特に被害無し、ですって」

「うん」

 海雲は湯飲みをテーブルに置くと、テレビのリモコンを取った。


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