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2-(3-2)

 事の発端は、ほんの一時間前。

 高山学園超自然科学研究部の部室での話。


「そうだっ!」

 いつも、耕平達の不幸は、大山のこの一言から始まる。

 今日は僕でありませんように! と言う願いも虚しく、大山は、あたかも世紀の大発見をしたかのように、目を輝かせると、耕平を見た。

 ……今日は、僕か

 耕平は固まり、ほのかは安堵のため息をつく。

「浅倉君が、あの子との仲を進展させるための、名案を思いついた」

 いきなり、不幸確定の宣言をする大山。

「いや、別に、進展させなくても良いですから」

「いやいや、どうせ、生きている間……、あ、や……、身元が判るまで一緒に生活するんだから、仲が良いに越したことはないぞ? なあ、神崎君」

 耕平の反論を軽く流し、何故か、ほのかに同意を求める大山。

「そうね。耕平もさ~、そろそろ諦めて、あの子を受け入れたら?」

「なっ、何言い出すんだよ! ほのか! てか先輩、今、凄いこと言いかけませんでした? と、とにかくっ、迷惑してるんですから、一刻も早く何とかしてくださいよっ」

 耕平は、予想通りあっさりと敵に回るほのかと、終始笑顔の大山を睨んだ。


 耕平とほのかは、結構微妙な関係である。

 幼なじみで、仲が良く、大体一緒に行動しているが、付き合っているわけではない。

 少なくとも、ほのかにはそう言った感情は一切無いと断言出来る。

 二ヶ月だけ早く生まれているほのかは、お姉さん気取りで、色々と耕平の世話を焼くのだ。

 中学生の頃も、「あの子、良いじゃん。誘っちゃえば?」とか、恋人の面倒まで見られる始末。

 ……もっとも、耕平の度胸不足で、成就したためしは無いが。

 耕平に対し『放っておけない存在』として意識しているらしいが、それは、姉弟としてのそれであろう。

 よくある漫画のパターンのように、幼なじみイコール恋人と言うわけにはいかない。

 現実は厳しいのだ。


「人間、嫌われるよりは、好かれた方が良いぞ? 浅倉君」

「いや、ですから……」

 話がおかしな方向に進んでいることに、警戒する耕平。

「そうよ、耕平。あんな可愛い子、括弧、黙っていれば、括弧閉じる、だけど、とにかく、なかなか無いチャンスじゃん」

「いや、チャンスとか、意味わかんないんだけど」

「そこでっ、あゆみと相談した結果、我々が一肌脱ぐことになった」

 大山は、仰々しくポケットから何かを取り出す。

「あの……」

「耕平、良かったじゃない。あゆみまで協力してくれるって」

「……」

 完全に耕平を無視して進められる話に、ため息をつく耕平。

 大山とほのかが手を組んだ今、耕平にそれを回避するすべはない。

 あとは、せめて被害が最小限に留まることを願うばかりだ。


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