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事の発端は、ほんの一時間前。
高山学園超自然科学研究部の部室での話。
「そうだっ!」
いつも、耕平達の不幸は、大山のこの一言から始まる。
今日は僕でありませんように! と言う願いも虚しく、大山は、あたかも世紀の大発見をしたかのように、目を輝かせると、耕平を見た。
……今日は、僕か
耕平は固まり、ほのかは安堵のため息をつく。
「浅倉君が、あの子との仲を進展させるための、名案を思いついた」
いきなり、不幸確定の宣言をする大山。
「いや、別に、進展させなくても良いですから」
「いやいや、どうせ、生きている間……、あ、や……、身元が判るまで一緒に生活するんだから、仲が良いに越したことはないぞ? なあ、神崎君」
耕平の反論を軽く流し、何故か、ほのかに同意を求める大山。
「そうね。耕平もさ~、そろそろ諦めて、あの子を受け入れたら?」
「なっ、何言い出すんだよ! ほのか! てか先輩、今、凄いこと言いかけませんでした? と、とにかくっ、迷惑してるんですから、一刻も早く何とかしてくださいよっ」
耕平は、予想通りあっさりと敵に回るほのかと、終始笑顔の大山を睨んだ。
耕平とほのかは、結構微妙な関係である。
幼なじみで、仲が良く、大体一緒に行動しているが、付き合っているわけではない。
少なくとも、ほのかにはそう言った感情は一切無いと断言出来る。
二ヶ月だけ早く生まれているほのかは、お姉さん気取りで、色々と耕平の世話を焼くのだ。
中学生の頃も、「あの子、良いじゃん。誘っちゃえば?」とか、恋人の面倒まで見られる始末。
……もっとも、耕平の度胸不足で、成就したためしは無いが。
耕平に対し『放っておけない存在』として意識しているらしいが、それは、姉弟としてのそれであろう。
よくある漫画のパターンのように、幼なじみイコール恋人と言うわけにはいかない。
現実は厳しいのだ。
「人間、嫌われるよりは、好かれた方が良いぞ? 浅倉君」
「いや、ですから……」
話がおかしな方向に進んでいることに、警戒する耕平。
「そうよ、耕平。あんな可愛い子、括弧、黙っていれば、括弧閉じる、だけど、とにかく、なかなか無いチャンスじゃん」
「いや、チャンスとか、意味わかんないんだけど」
「そこでっ、あゆみと相談した結果、我々が一肌脱ぐことになった」
大山は、仰々しくポケットから何かを取り出す。
「あの……」
「耕平、良かったじゃない。あゆみまで協力してくれるって」
「……」
完全に耕平を無視して進められる話に、ため息をつく耕平。
大山とほのかが手を組んだ今、耕平にそれを回避するすべはない。
あとは、せめて被害が最小限に留まることを願うばかりだ。




