エピローグ
これにて“本編”は終了です。お付き合いありがとうございました。
あのクリエイター戦争から数年の月日が流れた。その間に起こった事は簡単だ。まず、盛大なパーティーが行われ、ミノタウロスステーキなどが振る舞われた。まあ、其の辺はどうでもいい。
ここ数年で生き残った73418名の獣人、ヒューマン、ドワーフ、エルフ、ドラゴニュート達は全員が半精霊になった。これは、大陸に隠れていたドラゴニュートも例外なく全てだ。ドラゴニュートの場合は本人の希望を聞いた後だが。どちらにしろ、彼らは受け入れた。
そして、大陸全土が俺とリア達の物となり、この大陸は精霊の楽園となった。数多くある戦闘の爪痕はハクアとシズク、キリル、リコリスの働きによって瞬く間に修復され、大陸全土にリアとアイディリアの加護が行き渡り、緑豊かな豊穣の大地となった。砂漠は無くなり、雄大な大自然が存在する大森林が大陸規模で存在するのだ。もちろん、草原や火山、巨大な湖なども存在する。
放たれた動物達は精霊の加護をふんだんに受けた大陸で特殊な進化を急激にたどっていった。そう、ティラノザウルスやトリケラトプスなど、恐竜も現れだした。ミノタウロス農場からミノタウロスの放出も行い、世界はさながらモンスターハントの世界になっている。
王国と獣王国の人工物は完全に破壊され、土と火の半精霊となったドワーフ達が皆で街を建築する建築ラッシュを行っている。これにともない、襲いかかって来る猛獣達を撃退する為、元冒険者のハンター達が倒して食料に変えていく。ただ、全ての街がミスリルやらヒヒイロカネなど高級金属で作られている所を見ると、流石のドワーフクオリティといえる。
精霊樹に関してはダンジョン機能をほぼ停止し、精霊達を生み出す本来の機能へと戻っている。どちらかといえば訓練施設といった感じで、大陸そのものがフィールドダンジョンになっている。
精霊樹街は更に発展を遂げて、巨大な街と化して大陸唯一の首都として機能している。むしろ、ここ以外人は住んでいない。他所の至る所に精霊達は好き勝手に遊び回っているが。
さて、シズクに関してだが、彼女は海を拠点に警戒網と治水整備、魚たちの養殖などを行って、海からの外敵を排除している。
「お父様、今日はいくらとサーモンの親子丼ですの。デザートも同じ親子丼ですが、両方楽しみますの」
新たに配下になったリヴァイアサンやシードラゴン、アクアドラゴンと共に今日も海を守りながら、山神の食卓を守っている。実は俺以外ほぼ必要ないのだが。
ハクアの力によって大陸はさらに巨大になり、精霊樹を中心とした大陸が作成された。大陸規模での区画整理も同時に行っている。精霊達はそれぞれ住みやすい場所というのが存在するので、これは当然だ。それと、大地を増やし、鉱山や大地の恵を強化するのハクアは一番ドワーフ達に崇められている(シズクとキリルはエルフ達に崇められている)存在だ。そして、龍とドラゴンを支配し、大陸内や街での建築を担当している。
「ほれ、さっさと働くのじゃ。街を新たに作らねば、人があふれるでの」
「「「「了解です、姐さん!!」」」」
ドラゴン達を輸送手段や労働力にして、ドワーフ達と共に街を凄い速さで作り出していく。
キリルは大陸全土の空を支配し、部隊を率いてそのまま治安維持部隊と救助部隊として活動を行い、いろんな者達から死神と恐れられてたり、感謝されたりしている。そして、同時に一番数の多い部隊である。
クロネは大量のダークネスキャットに進化した者達を使い、情報網を形成し、大陸の細部に至るまで監視を行う諜報暗殺部隊を率いる
「にゃにゃ」
「にゃにゃー!」
会話は猫語な為、まともな人には理解できない。
リコリスは俺との子供を生んだ。その子供はリコリスと共に火の精霊となった。子供の背には綺麗な緋色の翼がある。フェリスという名前を付けたその子はフェニックスの精霊だ。子供が生まれると同時に首輪を外して奴隷から解放した為、正式に妻の1人だ。ラクロアはそんなリコリスと一緒に鍛冶をしたり、元ドワーフ達の半精霊を率いて鍛冶や建築と大忙しな日々を送っている。
グリムとステラは奴隷としてリアやシズク達に徹底的に調教……躾をされて何時でも何処でも身体を開く性奴隷件護衛にされた。本当にステラはしばらくの間、ペット扱いされていたので、服従の時にお腹を出してきたりする。肌触りのいい耳とふさふさの尻尾につい可愛がってしまう。グリムに関しては七つの大罪が仕事をちゃんと行ってくれているので、ぶっちゃけ教育した後は普通に遊ばせているので、本人は楽しそうだ。俺の物扱いだから誰も手を出さないしな。ステラは増えすぎた獲物を狩るというお仕事と、クロネの部下と一緒に現地調査だ。
アイディリアは精霊樹の護衛として頂上にある社に存在している。基本的には生まれてくる精霊達と過ごしている。そして、本来の役目はリアの本体の代わりだ。そう、代わり。リアの本体はここ数年で爆発的に増えた精霊達の力によって完全回復し、本体へと戻った。
「お兄ちゃん、見てください。このボディ!」
「すごいな。うん」
トーガを身に纏った165センチくらいの綺麗な少女と女性の間のような女神。胸も大きく、巨乳とはいかないが、かなりのボリュームだ。
「だが、そんなことよりそのお腹はどうした?」
「お兄ちゃんとの子供ですよ」
「え?」
「ふふ、リンクしてるからね」
「父様、正確に言えば分体のボディを胎児化させてお腹に入れただけです。後は父様のアレを注げば生まれてきます」
アイディリアが補足説明をしてくれる。しかし、とんでもない事だな。
「勿体無いからね。それより、早くしよ」
「ああ、そうだな」
リアはリコリスが子供を生んだ事にかなり嫉妬していた事もあるのでこれは仕方無い。そして、次の日には元気な子供が生まれ、急速に元の肉体年齢まで成長していった。そして、緑の髪の毛にオッドアイの大人リアと本当の娘のリア……アリスと共に俺のハーレム入りが決定された。
そう、男の夢、ハーレム。俺は大陸の支配者として何時でも何処でも好きな女を手に入れる事もできる。実際、試しにやってみたら本当に出来た。直ぐに謝って冗談だと言ったが。慰謝料替わりに加護のついたアイテムを与えたら喜ばれたのでよしとしよう。その後、妻と娘達に絞り尽くされたが。
「さて、リア達には黙っていたが……どうすっかね?」
「そうだね。どうするのマスター?」
「グリムは……お母さんに会いたい……」
この場にいるのは俺とステラ、グリム達異世界組だけだ。何故なら、ついこの間にシステムメッセージが届いた。
【グラスランド大陸の制圧おめでとうございます。これでゲームはクリアーとなります。景品として、願いをなんでも一つ叶える権利を差し上げます。これで元の世界に帰る事も可能です。この世界に残ってこのまま生活するのも可能です】
「私も両親には挨拶したい」
「俺もだな……」
「うぅ……あいたいよぉ……で、でも……人間じゃなくなって……るんだよ……ね……」
「私も……」
俺はかろうじて人間のままだが、ステラやグリムは違う。どんな影響を与えるかもわからない。
「よし、決めた。戻るぞ」
「どっちに?」
「っ!?」
「決まってる。俺の選択は……」
願いをシステムに打ち込む。俺の願いはただ一つ。全員の世界移動用ツールを無制限、無期限、副作用無しで力も実力もそのままで移動可能なアイテム。ワールドドアを頼んだ。
「両方だ! あっちにも行ってしまえばいいじゃん。なんでも願いを叶えてくれるんだからな!」
「そうだね! それがいいよ!」
「ママに会える……」
「姿は幻術とかで変えればいいし、本人ができなくてもアイテムは用意してやるよ」
「……ほん……とう……?」
「ああ」
「やったっ!!」
喜ぶグリム達と一緒に目の前に現れた世界樹か精霊樹かわからない絵が書かれたドアを仕舞って、自宅に戻る。そこには既に皆が何かを感知して集合していた。そう、やる事があるので丁度言い。
「リア、結婚しよう」
「え?」
「だから、結婚。俺の両親に挨拶に行こうか」
「行く!」
「ずるい、アリスも!」
「お母様だけずるいですよ!」
「にゃあ。ずるい」
それぞれが色々と言ってくる。だが、流石に戸籍とかないし、色々とまずいと言ったのだが、納得しない。
「私も行く」
「リンもだね。だいたい、人間なんでしょ? 支配しちゃえばいいんだよ!」
「私もご主人様の世界は見てみたいですね」
「アタシも」
「ああ、もう!! わかった!! 皆で行くぞっ!!」
「「「「「おぉー!」」」」」
既に世界の半分は手に入れた残り半分は放置しても問題無い。この大陸だけで既に世界を支える精霊の数は充分に存在し、調停用の海深くに存在する世界樹も新たに多数作られて大陸に数本そびえ立っている。俺達が留守にしても問題無いし、ダンジョンの機能の殆どを停止したとはいえ、精霊は普通以上の、925倍もの異常な速度で生まれ続け、半精霊も前の生命体よろしく繁殖している。増えた意思無き精霊達は生まれた半精霊達と融合し、1個の存在としてより強力な生命体になる。そう、言ってしまえば供給過多と言える。まあ、あっちの世界でも結婚する為に頑張るか。
そして、ワールドドアを潜った。その瞬間、意識を失った。
【現代:日本のとある場所にある山神家住宅】
目覚めると、見知った天井で外から自動車の音や電車の音が聞こえて来る。ガバッとベッドから起き上がり、頭を手で覆う。
「ゆ、夢……? そ、そんなのありか?」
「んっ、んんっ……」
だが、そんな事は無かった。布団をどけるとリアとアリス、アイディリアが居た。いや、高い位置にあるベッドだったので見逃していたが、よく見ると床に多数の女の子達が裸で眠っている。俺も裸だった。
「おはよう……お兄ちゃん、ここは……」
「俺の世界みたいだが……服や装備は持ち込み禁止なのか?」
部屋の壁に取り付けられた青いドアを見ると、そのようだ。
「まあいいや。取りあえず……どうした?」
「なに、この世界……精霊が少ない。死んじゃうよ?」
「……リア」
「?」
「俺さぁ、結婚報告する為にだけ戻ったんだけど、ちょっと遅くなってもいいか?」
「ん。リアの全部はリクトお兄ちゃんの物。リクトお兄ちゃんの全部はリアの物。だから、リクトお兄ちゃんがしたい事なら全部、リアがしてあげる。世界を滅ぼしたいならリアが滅ぼしてあげる」
「リア……」
「その逆もいいよ。どうするの?」
「なら、楽しく生活するんだ。せっかくチートが存在するんだからな! くっくく、今まで馬鹿にしてきた奴らに目にもの見せてやるぜ」
「うん。お兄ちゃんには世界がついているよ!」
文字通り、世界がバックについている。俺達の新たな戦いが始まるだが、その前に可愛い妻と娘達を起こすとしよう。