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36クリエイター戦争①

 





 リコリスと共にもう1人のダンジョンクリエイターを探すが、なかなか見つからない。そんな時、事態が動いた。遠くに轟音と共に大きなキノコ雲が出現したのだ。


「何やってんだ?」

「わかりませんが、見つけたのではないでしょうか」

「行ってみるか」

「はい」


 キノコ雲の方へ向かうと、巨大なクレーターが存在し、無数の赤いグリフォン達と共に飛んでいる少女のダンジョンクリエイターが居た。そして、クレーターが作られた地面の下から無数のゾンビやスケルトン達が出て来た。いや、クレーターの場所だけではない。この戦場の至る所から出現している。


「ひっ!?」

「大丈夫か?」

「はっ、はい……」


 地面から生えた手に掴まれそうになって……いや、掴まれた足の感触に悲鳴をあげたリコリス。俺は直ぐに太刀で腕を斬り裂いて、その場からリコリスを抱き上げて木上に飛び上がる。直ぐに地面を埋め尽くすような大量のスケルトンやゾンビが出現してくる。その姿はさながらバイオなハザードのようだ。


「これはチャンスだな」

「えっと、どうするのですか?」


 掴まれた足を布で拭いているリコリスを置いて、俺は大弓を構える。目標は大量に居るゾンビやスケルトンだ。そいつらに一番効果的な光属性の精霊剣矢を使って広範囲に対して絨毯爆撃を行う。少女率いるグリフォン達ごと。彼らには尊い犠牲となってもらおう。


「いいんでしょうか……」

「建前はちゃんとあるからな」


 放った精霊剣矢は数千にも分裂して流星雨のように空から大地へと降り注ぎ、光の爆発を巻き散らかす。その光に無防備に触れた不死者達は直ぐに消滅していく。グリフォン達もかなり消滅したが、少女は相変わらず平然としていた。だが、感じる威圧感は明らかに減っている。少女がこちらにこようとしたが、直ぐさま向き直って大剣を構える。

 新たにドラゴンゾンビやスケルトンドラゴン、ガシャドクロ、サイクロプス・ゾンビに加え、リッチーやマミー達からレイスに至る大量の不死者が出現した。それらは全て少女へと向かっていく。


「さて、適度に援護してやるかな」

「援護じゃないですよね……」


 尽きることなく湧いてくるモンスター達に少女もろとも光の精霊剣矢を放つ。追加で風の精霊剣矢も放ち、光の暴風が吹き荒れるようにした。持続性のある矢を配置し、俺はどんどん威力を高めていく。


「ご主人様、アレ……」

「入口か」


 破壊された一部に階段のような物がある遺跡が存在した。あそこがおそらくダンジョンへの入口だろう。


「ナイスだリコリス。行くぞ」

「はい」


 俺達は急いでその中に侵入する。隠していた為か、警備が存在しない。それとも、警備する必要も無いのか……どちらにしろ警戒は必要だ。ダンジョンは各自の異界だから世界の理が効かない場合もある。


「腐っ!? 何ですかこの臭い……」

「臭いな。腐ってるからこその臭いだろう。ゾンビとかがうようよ居るんだぞ」

「それもそうですよね……」

「まあ、我慢して進む……いや、太刀で風の障壁を張ろう。臭いを吹き飛ばす」

「お願いします」


 しかし、この臭いはまずいな。俺ならこれを利用して罠を仕掛ける。嫌な予感しかしない。取りあえず、太刀を振って罠を破壊する。だが、暴風を吹き飛ばしても発見できない。


「行くぞ」

「はい」


 通路を歩きながら進んでいく。警戒して何回も調べた後、曲がり角を曲がる。


「っ!?」

「ちっ!」


 曲がった瞬間、無数の矢が前方から飛来し、今まで居た通路が落とし穴になる。俺とリコリスは前の通路に出る。そして、矢はリコリスが炎を纏ったバトルアックスを振るい、火の鳥を生み出して飲み込んで消滅させた。その時、水分が蒸発するような音も聞こえて来た。


「毒矢ですね」

「危ないな……下も毒沼だな」


 今までこんな反応は無かった。矢の発射された場所を見ると、蓋が閉じていく。つまり、普段は壁で隠されている場所に罠があるため、反射神経で避けるしかない。


「ほんとんど狙わずに面の攻撃で確実に仕留めようとしてきてますね」

「危険なダンジョンだ」

「人のこと言えませんよ、ご主人様」

「そうだな」

「では、対策を取りましょうか……」


 通路を警戒しながら進み、俺達は比較的安全に進めている。何故なら、こっちには強い味方が居るからだ。


「あっ、またやられました。今度は爆発鉄球ですか」


 上半身が吹き飛ばされた炎を纏った土人形が目の前に粉砕される。それは直ぐに再生して、再び進んでいく。そう、俺が土を呼び出して人型にした後、核を入れてゴーレムにする。後はそれに人と同じ体温を与えれば男探知君の完成だ。御蔭でかなり楽に進めている。


「ご主人様、扉ですよ」

「扉だな。両サイドにアイアンメイデンか」

「えっと、扉を開きたければ生贄を捧げよか……」

「パーティーを生贄にしないと駄目なんですね。では、ゴーレムで代用しましょう」


 男探知君2体をアイアンメイデンに入れてやる。中から突き刺さる音が聞こえて扉が開かれる。


「流石にヒューマンを材料に核を作っただけありますね」

「そうだな」


 このゴーレムの核は犯罪者や極悪人を元に制作してある。よって、限りなく人間に近い。だから、扉が開かれるのも当然だ。開かれた瞬間、雷の奔流が飛んでくる。それを精霊剣矢で蹴散らす。配置されていた砲台変わりのカノントータスを逆に破壊して安全を何重にも確認して進む。


「油断した所に容赦無い致死率の罠を仕掛けてくるな……」

「そうですね。宝箱も全部ゾンビミミックですしね」


 進んでいくと渓谷にかけられた大きな橋が有った。橋を渡るなという看板も存在する。


「これはトンチか?」

「トンチ?」

「取りあえず端っこと真ん中を渡らせてくれ」

「はい」


 進ませると、真ん中は途中でなくなって落ちていった。端っこも同じだ。欄干を歩かせると今度は向こうまでいけた。


「欄干を行くのか。これは急いで駆け抜けた方がいいな」

「はい。絶対他にも何かあります」

「ああ」


 俺はリコリスを抱き上げて、太刀を持ったまま欄干を走る。風の援護もあってバランスは問題無いのだが、橋自体がいきなり反転しやがった。


「うぉおおおおおおぉぉぉぉっ!!」

「きゃああああああああああっっ!!」


 なんとか太刀を壁に突き刺して止まる事はできたが、これは絶体絶命っぽい。何故なら、下に大量のリッチーが居て、大規模魔法を詠唱してやがる。


「昔の戦場ですから、死んだ魔法使いの数には困りませんよね……」

「畜生め、リア、ヘルプミー」


 ダメ元で呼んでみる。


「呼ばれて飛び出てじゃじゃじ~んだよ!」


 本当にリアが転移してきた。ただ、空中で落ちていったけど。


「あの、大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だろ」


 下の方からは色とりどりの光が解き放たれ、少しするとリッチー達が浮き上がってくる。


「ひっ!?」

「いや、大丈夫みたいだぞ」

「ぶい!」


 リッチー達を従えたリアが空中を飛びながら接近してきた。ゴースト達を支配する死霊の王でもあるリアにとって、こいつらを取り込む事に問題は無かったんだろう。


「それじゃあ、上がるね」

「ああ」

「お願いします」


 リアの手を掴んで上に運んでもらう。運ばれた後はリッチー達に警戒させてちょっと休憩がてら報告しあう。


「じゃあ、王都は消滅したんだな」

「うん。もう人間達で残っているのは獣王国……あれ? ねえ、獣王国が変だよ?」

「え? どうした?」

「誰も、ううん。生命反応が一切無いの。街とかはあるんだけど……住人や動物、虫も魚も何もいないよ。まるで何かに連れ去られたように……」

「おい、ちょっと待て。獣王国って確か、俺達が居た国よりちょっと領土が少ないだけの大国だよな」

「そうですね。この大陸で残っている国はエルフとドワーフだけです。ドラゴニュートは基本的にこの大陸にいませんし、居たとしても高い山の上ですから」


 つまり数十億単位の、いや、数百億単位の生命体が消えたって事になるのか?


「あっ、少しだけ生命反応が有る場所がある……でも、ここってダンジョンだよ」

「そういえば、あの少女は獣王国側から来たよな……」

「あははは、まさか……」

「万単位殺しても死ななかったよな……」

「……」

「えっと、ダンジョン内に居るの、多分ヴァンパイアだね」

「陽の元を平気で動いているから、真祖か……それも数百億単位の生命を取り込んだ?」

「神に近いと言われるエレメントフォックスも居なくなってるよ」

「どんな化け物ですか……」


 ヴァンパイアの真祖って事はその下にはハイカウントのヴァンパイアだろ。そいつらが配下を量産しながら俺達みたいに蹂躙を開始したら……ましてや、奴らはどんどん増えていくんだ。ゾンビ達みたいに……ゾンビ?

 待てよ、そういう事もあるか。


「リア、この辺にゾンビウイルスみたいなの、飛んでないか?」

「ん~微かに飛んでるよ」

「やっぱり……」

「だ、大丈夫ですか……?」

「2人は大丈夫だよ。精霊の加護で弾いているし、リコリスなんて体内に入っても燃やし尽くして浄化するしね」

「良かった……」

「まあ、加護の御蔭で大丈夫なら気にしなくていい。それよりも真祖対策だ。真面目にやって勝てるか?」

「リアとアイディリアが揃って精霊樹内なら楽勝で勝てるけど、外だと難しいよ。他の精霊達も合わせて足止めは可能かな。だって、相手は玉砕覚悟で突っ込んで大被害を与えてくるんだもん」

「じゃあ、攻略方法はこっちか。幸い、俺達には普通じゃない手段が使える。まともにやりあえば大被害だろうが、まともにやり合わなければいいだけだ。リア、アイディリアに指示を出せ。四天王と精霊の全軍を使っていいから頼むお願いをタイミングを測って最速で叶えてくれって」

「了解だよ」


 これでこっちはどうにかなるだろう。


「あ、不死殺しの装備ってあるのか?」

「あるよ。このダンジョンにもあるみたい」

「そうなのか?」

「不思議ですね。不死者が不死殺しを持っているのですか?」

「そのアイテムを配置する事で、不利な効果を得る代わりにCPをいっぱいもらってるんだよ」

「そうですか」


 取りあえず、それを手に入れる為に移動を開始する。リアを含めて3人パーティーなので問題はないだろう。









取りあえず考えて居るのがステラ倒して、エピローグ予定です。

別大陸は気が向いた時の続編ですね。ゲームでいう1とか2みたいな感じで。

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