04影の狩人・クロネとブースター・リン
歯医者で時間がかかりすぎた。
さて、新しい仲間が入った。シャドウキャットのクロネと寄生精霊虫のリンだ。戦闘能力はまだ期待できないが、今日中に使えるようになるだろう。だが、取りあえず、リンにはアイディリアからRPを貰って、毒耐性を習得して貰った。リンの能力は対象に自身の力も与える事が出来るので、ブースト役にも使える便利っ子だ。
「しかし、安くて助かるな」
「きゅい」
「にゃあ」
喋れないリンは返事せずに俺の指示に従って、アイディリアのRP85から10点を消費して毒耐性と毒攻撃を習得。一つ5点で済むのは大きい。それが終わったらクロネに寄生してもらい、残りRP75のうち、RP50点で影魔法を習得させる。魔法系は高いが便利だ。こちらにも10点を消費して毒耐性と毒攻撃を習得させる。リンが覚えているので5点で済んだ。残りRP15点。魔力回復をリンとクロネに習得させて終わりだ。
「さて、狩りに行くぞ」
「きゅい」
「にゃあ」
残りの矢は50本。回復薬も毒薬も補給したので問題無い。
「いってら、っしゃい」
今日も水運びを一生懸命にしているリアに見送られて自分のダンジョンへと突入する。普通は逆なんだけどね。
昨日、多少は狩った御蔭で数が減っているがまだ最下層には無数に存在している。今日の目的はリンとクロネを強化してツーマンセルで駆逐できるくらいまで強くする事だ。という訳で、大きな木の根の内部を進んでいく。ダンジョンっていっても罠もないし、構造は結構簡単だ。ただ、幾重にも根っこが別れているので行き止まりの道は多いが。いきなり7体の塊を見つけたので、そちらへと向かう。そこでは行き止まりで7体のヒラタキクムシが壁をかじっている。
「アイディリア、糸」
「きゅい!」
7体に糸が放たれ、6体が身動きを封じられた。残った1体を俺が射抜く。
「よし、殺れ」
「にゃあ!」
「きゅい!」
クロネとアイディリアが突撃して、引っかき、体当たりをする。アイディリアが3回攻撃すると相手は死にかけになった。
「アイディリア、そいつをクロネ達に譲ってやれ」
「きゅい!」
「にゃにゃ」
譲ったアイディリアにクロネが感謝するように鳴いた。そのあと、死にかけの奴を何度も爪で引っ掻いたり噛んで殺した。その間にアイディリアは3体殺した。残り2体となり、アイディリアにまた弱まらせて、クロネに渡させる。最後の1体は粘着糸から抜け出すが、既にボロボロの為、アイディリアが簡単に倒した。
「毒の粘着糸か……えぐいな」
「きゅい!」
褒められたと勘違いしたのか、胸を張るように鳴くアイディリアに、俺は頭を撫でてあげる。すると喜びながら捕食していく。そして、アイディリアが移動するとクロネがやってきて、ジーパンの裾を噛んでくいくい引っ張ってくる。
「クロネもリンも頑張ったな」
「にゃ~♪」
クロネとリンのステータスを開いて見る。」
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名前:クロネ(リン)
種族:精霊獣シャドウキャット(寄生精霊虫)
職業:リクトのペット(ブースター)
Lv:1⇒2(1⇒2)
体力:160⇒220(11⇒77)
魔力:110⇒170(6⇒72)
生命:10⇒20(1⇒16)
筋力:5⇒20(1⇒16)
敏捷:15⇒30(1⇒16)
器用:15⇒30(1⇒16)
知力:10⇒20(1⇒16)
精神:10⇒20(1⇒16)
幸運:5⇒20(1⇒16)
技能:《影の身体1》《猟兵1》《影魔法1》《毒耐性1》《毒攻撃1》《魔力回復1》(《寄生1》《飛翔1》《毒耐性1》《毒攻撃1》《魔力回復1》)
RP:0⇒10(0⇒10)
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実際にはもっと低いんだが、2人セットだと5レベルクラスの実力があるな。ステータスが46だし。それにしても、体力と魔力は1Lv×50+精神or生命か。生命は病とかの抵抗力や活力で精神はその名の通り、意志力だな。魔法の抵抗などもこれが使われるみたいだ。
影の身体1と猟兵1の効果は簡単だ。影の身体1は影に入り込んだりできるようになり、物理的干渉をあまり受けない。物理ダメージが10%カットされるようだ。なにより、部位破損が存在しない。猟兵1は筋力、敏捷、器用のステータス上限が+10され、戦闘に有利なスキルだ。この2つはどちらも種族スキルだな。
「7体倒したから35か。2人の分を合わせて55。うん、プールだな。いいか?」
「にゃあ~」
「きゅるる」
クロネが身体を擦りつけて甘えてくる。多分、了承だろう。アイディリアも微かに頷いているし問題ない。取りあえず、小さなクロネを抱き上げて、撫でた後、アイディリアの背中に乗せてやる。
「にゃにゃ」
「きゅるる~~」
ぐてーと背中に寝そべるクロネにアイディリアが注意しているようだ。
「行くぞ」
「きゅい」
「にゃ~」
次に敵が多い場所を目指す。迷いそうな同じような根っこで出来た道を行くと、大きめの空洞に着いた。そこには確かに大量に敵が居た。合計18体だ。かなり多い。
「にゃにゃにゃん!」
悩んでいると、クロネがこちらを見ながら鳴き出した。そして、自分に肉球の前足を向けてから、あちらを爪を出した状態で指差した。その後、俺とアイディリアを差して、ブンブンと首を振った。
「まさか、2人でやると?」
「にゃあ!」
「きゅいー」
心配そうに俺とアイディリアが見ると、大丈夫だと頷いた後、影へ……闇へと潜った。その後、首をひょいと出す。しかも、小首を傾げて駄目?と聞いてくる。
「気を付けてやるんだよ」
「にゃぁ!!」
許可を出すと、クロネは消えた。精霊樹の瞳で部屋全体を上から監視していると、その内の1体が忽然と現れたクロネの爪の2連撃を背後から受けて、ダメージを負った。そして、即座にクロネは消えた。いや、限りなく薄くなって、床を移動しているのがわかる。ヒラタキクムシ達は仲間がやられた方へと向かっていく。ダメージを受けた1体は毒状態となって、衰弱していく。そして、集まったヒラタキクムシの背後からまた襲われた。それの繰り返しでクロネの独壇場だった。
「凄いな」
「きゅい……」
「大丈夫、アイディリアとクロネは役目が違うんだから、気にするな」
「きゅるる」
落ち込んでいるアイディリアを励ましてやる。というか、だんだんと感情が読めるようになってきたな。クロネの方に視線を戻すと、影魔法か、黒い槍を影から出現させて固まって混乱しているヒラタキクムシ達を串刺しにして殺し、そのまま影へと引きずりこんでこちらにやって来た。
「よくやった。いい子だ」
「にゃぁぁぁ~~♪」
「吸い込んだのを出せるか?」
「にゃあ」
ポイッポイッという感じで、クロネの背後から死体が現れる。
「アイディリア、頼む」
「きゅい!」
張り切って捕食に向かうアイディリア。俺はクロネとリンを抱きながら撫でてねぎらいつつ、ステータスを見ると2人はレベルが上がっていた。
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名前:クロネ(リン)
種族:精霊獣シャドウキャット(寄生精霊虫)
職業:リクトのペット(ブースター)
Lv:2⇒3(2⇒3)
体力:220⇒280(77⇒141)
魔力:170⇒230(72⇒136)
生命:20⇒30(16⇒30)
筋力:20⇒40(16⇒30)
敏捷:30⇒40(16⇒30)
器用:30⇒40(16⇒30)
知力:20⇒30(16⇒30)
精神:20⇒30(16⇒30)
幸運:20⇒30(16⇒30)
技能:《影の身体1》《猟兵1》《影魔法1》《毒耐性1》《毒攻撃1》《魔力回復1》(《寄生1》《飛翔1》《毒耐性1》《毒攻撃1》《魔力回復1》)
RP:10⇒30(10⇒37)
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既に合計値が60から70で、先程の狩りを見るに単体でも充分に戦えそうだな。そして、何よりリンのRPが予想より7多い。ステータス1が増えなかった分が追加されたようだ。そうなると、俺が次取るのが決まったな。
今回ので18体90点とプール分55点、増加分47点で192点だ。寄生を強化する。寄生できる対象種族の増加を選択するようだ。それに人間を選ぶ……前によーく、調べると異世界人という項目があった。やっぱり別口だった。もうすぐ、罠にかかるとこだった。
「リン、アイディリアに寄生してから、俺に寄生してくれ」
「にゃぁぁぁぁ~」
クロネが急に脱力したようにへたりこんでいる。そこからリンが出てきてアイディリアを経由して俺の中に入る。すると急激に力の上昇を感じた。何このブースト。余っている96点分のRPで成長強化・昆虫1、成長強化・魔獣1を選択する。これで余った分はRPでお釣りが来るだろう。レベル上げが大変そうだが。取りあえず、リンに索敵を覚えさせておく。これで残り66ポイントで、俺自身のステータスを強化する。俺が一番弱いしな。振り終えたらリンにはクロネに戻ってもらう。
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名前:リクト
種族:異世界人
職業:ダンジョンクリエイター
Lv:3
体力:160⇒170
魔力:160
生命:10⇒20
筋力:10⇒30
敏捷:10⇒26
器用:10⇒30
知力:10
精神:10
幸運:10
技能:《ダンジョン作成》《精霊樹の瞳》《射撃1》《配下成長力上昇1》《魔物成長強化1》《成長強化・精霊1》《成長強化・昆虫1》《成長強化・魔獣1》
RP:0
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名前:アイディリア
種族:精霊虫
職業:精霊樹リアの抱き枕
Lv:3
体力:660
魔力:760
生命:10
筋力:30
敏捷:25
器用:25
知力:10
精神:10
幸運:10
技能:《捕食》《???》《粘着糸2》《硬化1》《毒耐性1》《毒攻撃1》
RP:0
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名前:クロネ(リン)
種族:精霊獣シャドウキャット(寄生精霊虫)
職業:リクトのペット(ブースター)
Lv:3(3)
体力:280(141)
魔力:230(136)
生命:30(30)
筋力:40(30)
敏捷:40(30)
器用:40(30)
知力:30(30)
精神:30(30)
幸運:30(30)
技能:《影の身体1》《猟兵1》《影魔法1》《毒耐性1》《毒攻撃1》《魔力回復1》(《寄生2》《飛翔1》《毒耐性1》《毒攻撃1》《魔力回復1》《索敵1》)
RP:0(0)
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随分強くなった。御蔭でどうにかできそうだ。
「リンとクロネは2人で多い所を狩りまわってくれ。俺とアイディリアははぐれをメインに狩る。死体は回収して持ってきてくれ。大丈夫か? 危なそうなら帰ってくるんだぞ?」
「にゃあ!」
問題無いと、元気よく返事するので、頭を撫でて頼んだ。俺とアイディリアはそのまま数が少ない場所を徹底的に殺していく。今日が4日目だから、残り68日だ。それから、たまにクロネとリンが戻って回復薬を飲んでいくぐらいで、もの凄い数が狩れた。ただ、こちらには経験値が入ってこなかった。だが、リンとクロネはレベルが5に上がっていた。俺達が4に上がったというのにだ。そして、何より最下層からヒラタキクムシを排除出来た。
収支報告
収入
支給:100CP(24h100CP)
撃破:レベル5モンスター25体撃破、125CP
撃破:レベル5モンスター32体撃破、160CP
撃破:レベル5モンスター189体撃破、940CP
合計:1325CP
支出
今月:無し
来月:浄化装置(500CP)、合成魔法陣(100CP)
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名前:リクト
種族:異世界人
職業:ダンジョンクリエイター
Lv:3⇒4
体力:170⇒220
魔力:160⇒210
生命:20
筋力:30
敏捷:26
器用:30
知力:10
精神:10
幸運:10
技能:《ダンジョン作成》《精霊樹の瞳》《射撃1》《配下成長力上昇1》《魔物成長強化1》《成長強化・精霊1》《成長強化・昆虫1》《成長強化・魔獣1》
RP:0⇒30
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名前:アイディリア
種族:精霊虫
職業:精霊樹リアの抱き枕
Lv:3⇒4
体力:660⇒730
魔力:760⇒830
生命:10⇒30
筋力:30⇒40
敏捷:25⇒40
器用:25⇒40
知力:10⇒30
精神:10⇒30
幸運:10⇒30
技能:《捕食》《???》《粘着糸2》《硬化1》《毒耐性1》《毒攻撃1》
RP:0⇒1175
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名前:クロネ(リン)
種族:精霊獣シャドウキャット(寄生精霊虫)
職業:リクトのペット(ブースター)
Lv:3⇒5(3⇒4)
体力:280⇒400(141⇒211)
魔力:230⇒350(136⇒256)
生命:30⇒50(30⇒50)
筋力:40⇒60(30⇒50)
敏捷:40⇒60(30⇒50)
器用:40⇒60(30⇒50)
知力:30⇒50(30⇒50)
精神:30⇒50(30⇒50)
幸運:30⇒50(30⇒50)
技能:《影の身体1》《猟兵1》《低級精霊1》《影魔法1》《毒耐性1》《毒攻撃1》《魔力回復1》(《寄生2》《飛翔1》《低級精霊1》《毒耐性1》《毒攻撃1》《魔力回復1》《索敵1》)
RP:0⇒140(0⇒140)
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低級精霊……一定以上の力を持つ精霊として認められると習得。習得条件、精霊種族がレベル5以上になる。効果は魔法の威力が上昇し、発動速度が早くなり、消費が少なくなる。