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閑話 とある魔獣鬼のダンジョンクリエイター②

 



 ステラ




 こちらの世界に来て数ヶ月が経った。私はダンジョンを改造せずに魔獣の森で戦闘と能力強化、眷属増加を行っている。新たに得たスキルもあって、かなり強くなったと思う。空も飛べるようになったし。


「グラァァァァ!!」

「甘い」


 今も空をコウモリの羽の骨格のようなものに、色とりどりの宝石が付いているような形状の高級感溢れる羽で飛びながら子供のグリフォンと戦っている。宝石は薄い水色→青→紫→ピンク→オレンジ→黄色→黄緑→濃い水色の順番で各属性を表している。この翼じゃ普通は跳べないけれど、イメージの問題だから問題無い。実際の飛行は重力制御で行っているから。


「お返しだよ」


 血の刃で作ったデスサイズを回転させながら投擲する。グリフォンは瞬時に回避行動を取る。そこに翼に付いている宝石達から一斉に魔法のレーザーを放つ。


「グギャアアアアアアアッッ!!」


 軌道を予測した上での攻撃でグリフォンの片翼の破壊に成功した。落ちていくグリフォンに対して接近する。相手のグリフォンは風の刃を無数にこちらへと放って来る。私はそれを血を取り出して大きな盾にして防ぎながら、盾を思いっきり気を集中させた足で蹴り飛ばしてグリフォンにぶつける。

 体勢の崩れたグリフォンを追い抜いて、地面に手を付きながら闇魔法を行使して、闇で出来た鎖を木々を経由させてグリフォンを縛り付けて拘束して固定する。


「さて、君も私の眷属になって貰う」

「ぐるるる」


 拘束したまま地面に下ろすと、大人しく頭を垂れる。そんなグリフォンに近づいて、首筋に噛み付いてグリフォンを眷属へと進化させる。グリフォンの毛や姿が代わり、翼は真紅の水晶で出来た綺麗な翼となり、身体の毛は真紅の色に変わる。大きさも前より大きくなって、全長が5メートルクラスになった。牙も強化されて、より獰猛になったようで、何よりかな。


「ん~もふもふ」


 身体ごと顔を埋めると、とっても気持ち良い。でも、そんな楽しい時間も長くは続かない。だって、人間……獣人達の気配がする。ユニコーンか私を狩りに来たのか知れないけれど、利用させてもらう。


「グリフォンの親も仲間に入れたいな……でも、その前にもう1体手に入れようかな……その為にはこっちかな……君もおいで」

「ぐるるるっ」


 グリフォンを身体の中に取り込んで、移動する。冒険者達は14人の大人数だ。近づけば直ぐにこちらに気づく。だから、大剣を持ちながら空から急降下して、後衛を狙う。


「っ!? 上だっ!!」

「プロテク……」

「遅いよ」


 着地と同時に高速回転する刃が付いた大剣を振るって、固まっていた3人の後衛の身体を一気にキィィィィンという音を出しながら胴体を切断し、宝石から無数のレーザーを放って離脱する。離脱のさい、攻撃をわざと傷を受けて翼が負傷したように偽装して逃走する。


「追えっ!!」

「逃がすとまた厄介だぞ!」

「おう!」


 数人を殺せただけだから、彼らは平気で追ってくる。そのまま森の奥深くに入りながら飛んでくる魔法を避けて、傷を負っていく。獣人なだけあって、彼らの移動速度は早い。彼らを引き連れながら、幻系統の魔法を使ってグリフォン達に気づかれないように偽装した後、グリフォン達の巣になっている広場に突入する。


「闇の神雷満つる場所に我はあり。冥府の門ひらく場所に汝あり。出でよ 、死の洗礼たる冥府の神雷。インディグネイション・ダークネス」


 広範囲に渡る魔法、闇属性を付与した雷の最上級魔法を巣の全体に居るグリフォン達に放って、黒い雷が降り注ぐ中、私は急いで逃げる。偽装に使った魔法も解除される。なので、闇を移動して撤退。私が逃げた所に冒険者達が突入してくる。すると、そこには攻撃されてそれなりのダメージを受けて怒っているグリフォン達が侵入者の冒険者達を発見して襲いかかる。その間にブラッディグリフォンで遥か上空に移動して、大規模魔法の準備に入る。彼らにとってはグリフォンの気配しか上空にないので大丈夫だ。多分。


「普通にやっても勝てないもんね」


 子供だから勝てただけだ。それも1体だから。


「黄昏を炎に包み、世界を焼き尽くす終焉を呼ぶ神の業火よ」


 大きな魔法陣を空中に描きながら、詠唱を続ける。


「何時の業火は例外なく、我の前に立ち塞がりし 全ての愚かなるものの精神を燃やし尽くし、新たなる生へと再誕する再生の炎」


 巨大な炎の剣が生成されて魔法陣から出て来る。


「ソード・オブ・スレイ」


 放たれた巨大な剣は瞬く間に眼下に降下し、炎を巻き散らかしてグリフォンと必死に戦っている冒険者達の精神を燃やし尽くしていく。


「グルラァァァァァッ!!」


 何体かのグリフォンは燃やされながらもこちらへと突撃してくる。


「凄いね。でも、やっていいよ」

「グルっ」


 ブラッディグリフォンが口を開けて、真紅の光線を放つ。その攻撃をなんと避ける個体もいたけど、殆どが落ちていく。避けた個体はブラッディグリフォンを無視して私に襲いかかる。


「ふふ、いいよ。もっふもふにしてあげる」


 周りの重力を弄り、加速して降下する私と減速させられながら上昇するグリフォン。そんな一際大きなグリフォンの最後のあがきと放たれた風の刃を血の大剣……チェーンソーで叩き落とし、かかと落としを決めて地面へと落ちて、クレーターを作る。私の身体もぐちゃっと潰れちゃう。


「あっ、1回死んじゃった」


 でも、瞬時に身体が再生して蘇生される。取り込んでいた命を一つ消費して。今回消費したのはゴブリンだから大丈夫。あとゴブリンは876体居るから、それだけ死んでも平気だよ。吸血鬼セットで手に入ったスキルは便利だよ。


「ぎっ、ぎざま……」

「男は怖いからいらない。バイバイ」


 頭部を切断して、血を吸収した後、骨にする。グリフォン達は倒れたままなので、置いておいて死んだばかりのグリフォンに噛み付いて眷属として蘇生させていく。大人と子供合わせて100体のグリフォン達がブラッディグリフォンへと転生した。冒険者の女の獣人も眷属化する。こちらはヴァンパイアとレッサーヴァンパイアになった。


「? 違いは処女か処女じゃないかかな……まあいいか。骨と装備を回収して移動するよ」

「「「はい」」」


 グリフォン達は必要数以外は取り込んで、乗せてもらいダンジョンへと戻る。途中で見つけたゴールデンベアを空中戦力からの飽和攻撃で仕留めて眷属化する。今まではできなかったけど、グリフォンの航空戦力が手に入ったから、結構簡単にできる。


「ただいま~」

「わうっ!!」


 帰ると銀狼達がよってくるので、骨を上げる。侵入してきた者達や生まれてきた者達は皆殺しになっているけど、餌なので大丈夫。ゴブリンとオークをひたすら湧かせて、銀狼達を始め眷属たちの餌にしている。


「ちょっと手狭になってきたかな……」


 相変わらず大部屋と小部屋2つのダンジョンで、後は私の部屋があるだけ。


「お帰りなさいませ」

「うん、ただいま。お腹すいたからご飯にして」

「はい、お嬢様」


 獣人のメイド吸血鬼さん達が世話をしてくれる。


「あと後ろの人達は追加ね」

「はい。ですが、広さがもう有りません」

「うん、改造するよ」


 殆どのメイドさんが野宿みたいな感じになってるから、どうにかしないといけないんだけど……やっぱり、貯めておきたかったんだよね。でも溜まったからメイドさんが作った食事を終えたら、改造する。


 少しして食事を終えたので、改造する。みんな、外に出て貰ってノートパソコンで高級販売セットを選択し、ダンジョンセットからお城を選択。吸血鬼のお城を選択して、ランクを高いのにする。


「決定っと」


 瞬時に洞窟型だったのがその辺り一帯を吸収して書き換え、巨大なお城に変える。空には満月が存在し、この辺り一体が常に夜になって満月になる。


「みんな、出て来て」


 私の影から様々な魔獣達が出てきて、お城に入って思い思いの所でくつろいでいく。


「メイドさん達もよろしくね」

「はい」

「「「はい」」」


 私は玉座の間になった部屋で大きな玉座に座りながら、ノートパソコンの画面を見る。


「魔獣の森の支配状況は39%……まだまだだね。でも、ここからはすぐだよ」


 数ヶ月貯めたCPを全て使っただけあって、この城は高性能みたいだ。次々に宝箱から回収されたお宝が私の部屋に運び込まれてくる。その中でグリフォン達に装備できるマジックアイテムを装備させて、私の装備は今の姿の物に合成して強化する。お母さんが作ってくれた形見みたいなものだしね。メイドさん達にも装備を与えて訓練してもらう。ゴールデンベアにも装備を渡す。


「さて、もっと戦力を増やそう。魔獣召喚」


 私の魔獣召喚は眷属にした魔獣達なら、一種類につき50体まで追加できる。銀狼達は私の魔力で作った特別な存在だから、違うけどね。なので、ブラッディグリフォンとブラッディゴールデンベアを50体ずつ召喚する。魔力は玉座の回復効果と満月の効果でどうにかなる。ブラッディゴールデンベアは体内に取り込んで私の力を強化する。


「ん~~よし、寝よ」


 寝室に行くと大きな天蓋付きのベッドが有った。でも、よく見ると棺のようだ。まあ、もう慣れたけどね。何時もの通り、銀狼達を呼んで一緒にベッドの中で眠りに付いた。次の日からは航空戦力による飽和攻撃でグリフォンクラスの強力な支配者級モンスター達を眷属へと変えていく。冒険者だったメイドさん達曰く、Aランクモンスターを配下にしていくのだ。一ヶ月で最後の種族を除いて、眷属へと変えた。でも、最後の1体が曲者だったよ。


「小娘、妾と戦うつもりか」

「仲間になって欲しいし、魔獣の森が欲しいからね」

「くっくく、よかろう。では勝者が全てを手に入れるのは自然の理よ」

「なら、いざ尋常に勝負!」

「こい、幼い真祖の吸血鬼よ」


 最後の敵はエレメントフォックス・ナインテイル。九尾の狐とその一族だ。ただ、1対1の戦いだ。私は眷属を全員取り込んで挑むんだけどね。つまり、実質はエレメントフォックス・ナインテイル対エレメントフォックスを除く魔獣の森のモンスター達だ。結果は、隔離空間で山を2、3個吹き飛ばして、クレーターを量産して勝ちを譲って貰った。こっちは9793回も殺されたけどね。ストックしていたゴブリンやオーク、鳥達が全て死んじゃった。グリフォンも何体か死んだから、どれくらい化け物なんだろうか。まあ、勝ったからよし。魔獣の森のダンジョン化にも成功し、私はさらに強くなった。












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