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29冒険者と住民の勧誘

 





 助けたのは女達で、陵辱されて心が壊れているのも居た。取りあえず、馬車に乗せて後は服と食料などを渡して放置だ。世話は自分達でさせる。その後は眠った後、リア達と街を目指した。

 ちなみにエッチな事はしないで普通に抱き合って眠った。夜の番はアイディリアがしてくれたしな。

 そんな生活が2日経ち、街へと到着した。長蛇の列が出来ているので順番に並んで待つ。


「むぅ~退屈~」

「よしよし」


 膝の上で暇そうにしているリアを抱きしめながら、頭を撫でて落ち着かせる。


「そういえば……ん? 人が来たな」


 兵士の1人が順番に並んでいる馬車にやってきて、要件を聞いている。その順番が回ってきたようだ。


「そちらは何の要件でこちらを訪れた?」

「こっちは買い物……仕入れだから商売だな」

「商人か。身分証明できるものは?」

「これだな」


 商会の商売許可書を提示する。俺の横で眠っていたアイディリアは薄目を開けて警戒している。リアは不機嫌そうに足をブラブラさせている。


「品物はないのか?」

「いや、ある。途中で盗賊から奪い取った物がある。それと、救出した連中がいる」

「そうか。少し確認させてもらうぞ」

「ああ、構わないが女性にしてくれ。わかるだろ?」

「わかった。手配する」


 兵士が一旦下がり、直ぐに女性兵を連れて来た。女性を馬車の奥に入れて確認してもらう。その間に俺は兵士達に色々と聞かれる。


「それで、君達はどういう関係だ?」

「親子だな」

「成程。そちらの黒髪の女性が妻だ「違うよ」え?」

「リアが妻でこっちが娘!」

「えっと……」

「本当だ」

「そ、そうか……」


 信じられないような表情をした後、金色の髪の毛に隠れている部分を見て、それもあるかと思ったようで、納得してくれたようだ。2人の美しさ……美貌はかなりのものだし、エルフとかと思ったのかも知れない。まあ、実際はそれ以上の存在だが。


「それじゃあ、これを持って門の所で税金を支払ってくれ」

「わかった」


 女性が丁度戻ってきて、兵士に何かを話すと直ぐに兵士の顔が変わった。


「悪いが、先に入ってもらう。どうやら、体調が悪い者が居るみたいだ。捜索依頼が出されている子も多数居るのでな」

「わかった。先に入れるなら構わない」

「ついてきてくれ」


 兵士の先導に従って、貴族や緊急時用に確保されている場所から入って、お金を支払う。ここでの身分証を貰い、治療所に案内されてそこで助けた女達を受け渡し、書類と盗賊の討伐報酬を貰う。後は書類を持ってギルドへと向かう。


「そういえば、ギルドに登録してみるか?」

「やだ。っていいたいけど、情報網は凄いんだよね」

「まあな」

「敵対するより、利用ですか……すいませんが、私は嫌です」

「理解はできるけど、リアも嫌だ」

「そうか。じゃあ、登録はいいか。別に問題無いしな」

「うん♪」


 2人は嬉しそうにする。なので、父親としてギルドと協力は無しの方向で行こう。


「じゃあ、馬車を停めてくるから、ちょっと待っててくれ」

「うん」

「はい」


 リア達を置いて、馬車を駐車場に停めてから戻ると人だかりができていた。

 まあ、なんというか、予想通りというか、2人が絡まれてナンパされている。普通なら助けに入るのだが、事情が既に変わっている。ナンパしただろう奴の手足があらぬ方向に向いているしな。


「2人共、遊んでないで入るぞ」

「うん、わかった!」

「はい、父様」


 男の頭を踏みつぶそうとしていた足を横の地面に陥没させた後、こちらにアイディリアと共にリアがやってくる。そして、直ぐに俺の腕に抱きつく。アイディリアは反対側につくような事をせず、一歩下がって着いてくる。そんな絶世の美少女の2人を連れてギルドに入ると、外と変わらず視線を集める。特に男の嫉妬に狂った感じの。


「ねぇねぇ、非道いんだよ。母親だって言っても娘と妹に見られるんだよ!」

「まあ、その姿なら仕方無いだろ」

「そうですね。それに若く見られるならそれはそれでいいじゃないですか」

「そうそう」

「えぇー」


 リアは不満そうにしている。世の女性が聞いたら怒りそうだな。だって、年取らないだろうし。


「俺も今の姿の方が良いな」

「ん~なら、いいや」


 リアとって俺の言葉はかなりの割合を占める。自分を助けてくれた事もあるが、パートナーとして認めてくれているしな。それにしても、前来た時より随分と人が増えて居る。水精霊の霊薬はかなり効いたようだ。っと、そんな事を考えて居る間にカウンターに到着した。アイディリアには依頼を確認させにいく。


「いらっしゃいませ。本日はどのような御用件でしょうか?」

「要件はこれ。盗賊の始末と救助者のリスト。ここでお金が貰えるって聞いたけど」

「はい、こちらですね……ギルドに登録されていますか?」

「いや、してないしする気もないからいい」

「分かりました。それでは少々お待ちください」


 少し待つと、職員がお金を渡してくれた。後は受け取りのサインをして終了だ。サインをしていると表の方が騒がしくなったが、無視して次の要件を告げる。


「それと、ギルドの方が知ってるか知らないけど文句を言いに来た」

「文句ですか?」


 嫌な顔をする職員を無視して告げてやる。丁度、アイディリアも数枚の依頼書を持ってきた。


「父様、ありました。これです」

「ああ、ありがと。さて、これなんだけどさ……」

「この依頼がどうかなさいましたか?」

「どうもこうも、人の土地から何かってに資材奪おうとしてんの?」

「え?」


 アイディリアに持ってこさせたのは資材調達の依頼書と精霊樹の森で行方不明者の調査や精霊樹の森の異変調査の依頼書だ。


「これは領主様の方からちゃんと許可を貰っております」

「いや、こっちはその領主からちゃんと買い取ったんだぞ。これがその証拠だ。んで、ギルドとしてはどう対応してくれるのかな?」

「っ!? しょ、少々お待ちください。上の方に連絡いたします!!」


 見せた書類を確認した後、青ざめた後急いで走っていった。


「アイディリア、リア、悪いが護衛を頼むな」

「任せてよ。お兄ちゃんには指一本触れさせないから」

「ええ、斬り刻みます」


 程なくして、女性が戻ってきた。


「ぎ、ギルドマスターがお会いになります。こちらにどうぞ」

「ああ」

「ふふふ」


 リアと手を繋ぎながら案内して最上階の場所へと移動する。そこにある豪華な扉に女性がノックすると、中から「入れ」という声が聞こえ、中に入る女性に付いていく。俺達が入った瞬間、立っている爺からもの凄い威圧感を感じるが、気にしない。いや、逆にあちらが萎縮するだろう。威圧をされた瞬間、リアが殺気を放ち、ガラスなどもろい品を触れずに粉々に粉砕した。案内してきた女性などは泡を吹いて気絶している。


「で、それがギルドの対応か?」

「すまんの。もちろん違うわい。若造に嵌められて気が立っておったのじゃよ」


 攻撃していい?と聞いてくるリアとアイディリアを抑え、改めて詰問する。


「もちろん、言っている若造は領主じゃがな。さて、そちらの件を話し合おうか」

「ああ。こちらの要求はギルドの所有している精霊核の全てだな」

「それは無理じゃの」

「だろうな。まあ、全てといわず400で構わない。ここに500が送られて来ているだろう」

「金ですまさんか?」

「断る。こちらが欲しいのは精霊核だ」

「他と相談せねばならぬ。即答はできん。こないだの事件の時、大量に奪われたからの」


 こちらを疑っている表情で見てくるが素知らぬ顔をして答える。


「さあ、俺は知らない事だ。俺にとっては関係無い」

「そうじゃな」

「返答は明日聞きに来る」

「うむ」


 要望を告げた後、俺は外に出てそのまま戻っていく。


「待て、小僧! 冒険者達をどうした!」


 階段の上から聞こえて来る声に対して、リアが簡潔に事実を教えてやる。


「皆殺しだよ」

「許可なく私達の領域に入り、警告を拒否したのですから当然です」

「貴様らっ!?」

「ま、そういう事だ」


 1階に到達し、そのままギルド出ていこうと思ったが、手続きがもう一つあったのを思い出した。


「すいません」

「はい、何ですか?」

「ダンジョンの発生登録をしたいのですが……」

「分かりました。どこでダンジョンを確認しましたか?」

「精霊樹の森。精霊樹がダンジョン化しているのを確認した」

「っ!? では、直ぐに冒険者とギルド員の派遣をします」

「いらない」

「え?」

「だからいらない。このダンジョンはこっちで管理運営する。だからギルドもいらないし、普通の冒険者もいらない。居るのは俺達と専属契約する冒険者だけだ。いや、冒険者の必要もないな。技術はこっちで教えるからな」


 わざと大きな声でホール全体に聞こえるように告げてやる。


「は、販売はどうするつもりですか?」

「既に商会を押さえてある。そこに一手に捌いてもらう。品物は水精霊の霊薬やそれより1ランク下の霊薬が簡単に手に入るし、買い手に困らん。それと、アイディリア、見せてやれ」

「はい、お父様」


 アイディリアが虹色の刀身を持つ剣を引き抜く。それだけで圧倒的な力の奔流が周りに拡散する。


「こんな精霊の加護を受けた強力な装備が宝箱で出現する。その御蔭で戦力も充実しているし、ギルドや駐留軍なんていらないんだ。既に攻略拠点の街も作ったしな」

「で、では、冒険者の派遣を……」

「勝手に来るし、言っただろ。孤児や食い扶持に困ってる連中をダンジョン攻略に使えるように育てるってな。実際、こないだの事件で孤児になった連中を鍛えて冒険者の代わりにしているし、契約している連中にも月金貨を支払って技術を教えさせている。だから、登録だけでいい」

「わ、分かりました……」


 登録用紙に記入して、提出する。一応、後で政府の方にも提出して確実に登録する。登録せずに秘匿すると、それだけで罪に問われる。個人の場合、ちゃんと防衛力と攻略する力があることを示す必要がある。放置してモンスターが溢れ出しましたじゃ、不味いからな。なので、国の監査が入るが……それは寄生させればどうとでもなるし、男だろうが女だろうが、娼館で骨抜きにしてしまうので平気だ。


「さて、帰るか」

「ねっ、ねえ、私達のパーティーも契約させて!」

「俺の所もだ!」


 一斉に聞いていた冒険者達が俺達を取り囲む。


「最初はゆっくりと迎え入れる。50組300人まで受け入れるが、テストに合格した連中で、契約に同意した者だけだ。テストは一週間後、精霊の森前で行う。それと、孤児や浮浪者達も連れて来た奴は内申点にプラスしてやる。ただ、無理矢理は駄目だぞ」

「わかった!!」

「行くぞっ!!」

「依頼はどうすんだよ?」

「馬鹿かっ、こっちの方が儲かるだろ!! 水精霊の霊薬に見ただろ、あの魔剣! あんなのが手に入るなら、断然向こうの方が優先だ!」


 予定通りの現象が起きている。


「あはは、人間って馬鹿ばっかりだね」

「そうですね」

「まったくだ」


 俺達は慌てている職員達を無視して、買い物に向かう。その途中で浮浪児や浮浪者、安月給で疲れている者達に同じ事を告げて、冒険者達が無料で護衛してくれる事を教える。ただ、彼らには家族ごと来て住むのも構わないと言っておいた。住む場所は沢山あると。それと、試験内容に彼らをちゃんと連れてくることと、彼ら自身が試験管でもあることを告げておいた。これを冒険者達が信じるかどうかは別だが、ふるい落としにかけられる。騎士達にもそれとなく言っておいたから、連中からも参加者がくるだろう。それにリストラされたり、減棒になった奴が居るだろうしな。噂は瞬く間に広がり、俺達は細々とした雑事を終えた。商人や料理人の中には店を出させてくれという奴も居たが、そちらは別の奴がこちらからスカウトすると言っておいた。実際は、リアと俺、アイディリアで食べ歩きをして美味しいと決めた所に話を持っていくだけだ。次の日に度量を見せる為、俺達に精霊核を渡すしかなくなった爺から、受け取って帰宅した。転移で。








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