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26武器作成

 





 昨日はあれから各自自己紹介をした後、眠りに付いた。今、隣で俺に抱きつきながら腕枕で眠っているリアは幸せそうだ。他の子達は居ない。今日からしばらく、俺はリアの独占状態になるそうだ。


「おい、朝だぞ。起きろ」

「んっ、んん……あと、よ……」

「4分か?」

「……4時間……」

「そうか。じゃあ、寝ていろ」

「う、嘘っ! お、起きるから!」


 ベットから出ようとしたら、裸のリアがそのまま抱きついてきた。そして、口づけをしてくる。


「抱っこ」

「はいはい、お姫様」


 リアを抱っこして風呂場に行き、身体を綺麗にする。その後、リアと共にシズクが作ってくれていた朝食を食べて手を繋ぎ……いや、腕を絡ませながら外に出る。


「おはよー」

「おはようございます」

「ああ、おはよう」

「おはよう」


 ラクロアとリコリスに挨拶し、周りを見ると地底湖の天井を楽しそうに飛んでいるアイディリアが居る。その周りに無数の剣が浮いていて、非常に物騒だが。


「今日は用事があるって事だが、なんだ?」

「武装面をどうにかしたい。出来ないか?」

「使ってるのは東洋の弓か……というか、そっちならアタシ達じゃなくて、そっちのお嬢様の方が適任じゃないか?」

「リアが?」

「そうです。彼女なら、精霊樹か神聖水樹を材料にして自由に加工できるはずです」

「そうか。だが、どちらにしろ工房を作るから装備を作成してくれ」

「分かりました」


 取りあえず、リコリスとラクロアには工房を地底湖にある神聖水樹の上に作って、そこで鍛冶をしてもらう。一部分を隔離した水溜場所を作って、鍛冶用にしてもらった。浄化する為にも水の精霊を配置する事で解決だ。


「じゃあ、早速鍛冶しようか、先ずは何作るよ?」

「アイディリアさんに剣ですね」

「あ、ちょっと待て」

「なんですか?」

「リア用のグローブと、パニエにオリハルコンとかミスリルを仕込むことってできるか?」

「スカートを綺麗に見せる奴だよな、行けるぜ。でも、アイディリアに頼んで糸を出して貰った方が良いな。元がアレだから、鉱石と糸の相性も大丈夫なはずだ」

「そんな事もできるのか。じゃあ、そっちは任せた。服もそっちに変えてくれ」

「了解」

「分かりました」

「じゃあ、服渡すね。しばらくはお兄ちゃんのワイシャツを着て過ごすし」

「あいよ」


 リアはその場で裸になって服を渡し、そのまま戻ってワイシャツを着てきた。下着は付けているようだが。いや、ブラはしてないな。押し当てられる胸からわかった。


「お兄ちゃん、ちょっと待っててね」


 ワイシャツだけのまま、リアは精霊樹の方に行って、手を当てる。分体ではあるが、リア本人なだけあって直ぐに禍々しい太い丸太のような枝が出て来た。


「てやっ」


 それを地底湖に投げ込んだ。水しぶきがあがり、水の精霊達が寄ってきて、その丸太のような枝を浄化していく。


「お母様、乱暴過ぎますの」

「えへへ、ごめんね」

「まったく……浄化は完了ですの」

「よーし、お兄ちゃん、やろう!」

「ああ」


 俺は道具を用意して、丸太のような枝を分割して手頃なサイズにする。


「リクトお兄ちゃんと共同作業~♪」


 楽しそうに木を削っていく。


「しならせるんだよね?」

「ああ。できるか?」

「お任せだよ!」


 リアが力を込めると直ぐに柔らかくなってグニャグニャになった。流石は木の精霊か。


「だが、やりすぎだな持ち手は固くしないと」

「むむ、こんな感じ?」

「いいんじゃないか?」

「どうせなら圧縮して……重ねて……」

「大きくてもいいからな」


 リアと力を込めながら作っていく和弓は精霊樹の枝が竹のようにしなり、強度も充分な代物になった。


「金属も入れた方が威力があがるね」

「金属って、なんか外に出すのは嫌だな」

「大丈夫、中心をコーティングするだけだよ」

「そうか。2人ならいいの持ってるだろうし、行くか」

「うん♪」


 リアと手を繋ぎながら、工房へと移動する。工房の中は熱気と鉄、リコリス達の汗の匂いがする。奥へ行くと、大きな鎚を持った2人が一生懸命に交互に打ち合っている。


「そこら中に金属があるね」

「確かに」


 色とりどりの金属が置かれている。どれがどれかわからないが。後、他にも剣が何本か置かれている。


「うし、できたな」

「そうですね」


 2人は完成したデスサイズを確認した後、こちらに振り向いた。


「なんのよーだ?」

「金属を少しくれ」

「こちらが所持しているのはミスリルとアダマンタイトですね。ヒヒイロカネとオリハルコンに付いては構造がわからないので作れませんし」

「ミスリルでいいよ。そこからヒヒイロカネに変えるから!」

「ヒヒイロカネを作れるのか!?」

「えっへん!」

「本当なのですか……」

「ヒヒイロカネは青生生魂アポイタカラって言われてるけど、その正体は死霊が集まった強力な力を持つ金属だよ」


 賢者の石とか言われそうな奴だな。


「あと、特殊な鉱石なら精霊の加護が宿ったエレメント鉱石が存在するね。精霊王の剣とか、神剣とかはこれを使ってるよ」

「何ソレ、欲しい!」

「ください!」

「量産できるか?」

「無理」

「うぅ……」

「そんな……」


 悲しむ2人は泣き崩れた。そこまでか、ドワーフ達よ。


「なこともないよ」

「「っ!?」」

「オリハルコンとミスリル、ヒヒイロカネの合金に加護を入れて作るから、頑張ってね」

「お、オリハルコンは?」

「買えばいいんじゃないか? 確かDCルームのパソコンで買えたな。くそ高いけど」

「作った武器を売れば……」

「しばらくは諦めろ。それより、金属を分けてくれ」

「あ、そこにあるのでどうぞ。右からミスリル、アダマンタイト、ダマスカスです」

「リア、どれがいい?」

「ミスリルだけでいいよ。んっ」


 リアがミスリルに力を込めると、大量の死霊が出てきてミスリルに吸収されていく。そして、色が銀から緋色に変わっていく。


「はい、これあげる。調べて複製できるようにして」

「了解だぜ!」

「分かりました!」

「行こ、お兄ちゃん」

「ああ、そうだな」


 鬼気迫るように解析しだした2人を置いて、俺は作業していた場所に戻る。そこで、改めてリアがヒヒイロカネを作り、鍋でドロドロに溶かして、和弓の中心をコーティングして冷やす。その後、ミスリルを溶かした物で更にコーティングしてから合わせる。3つを合わせた後、綺麗に整えて外装で完全に覆ってしまう。


「後はたっぷりの愛情を入れて完成だよ!」


 リアが愛情という名のたっぷりの加護を和弓、大弓に与えていく。その為、かなり神々しく綺麗な大弓になった。


「いや、弦がまだだから」

「アイディリア、来てー」

「何ですか、母様、父様」


 空から虹色の鱗粉を散らしながら舞い降りてくるアイディリア。アイディリアの服装ははっきり言ってしまえば和装だ。ただ、袴は太ももの半分くらいで、肩は露出して紐で長い袖と繋がっている。どれも基本的に明るめの黒色で、赤いフリルが裾にあしらわれている。帯は赤と黒のストライプで、前側でリボンにされている。髪の毛には両サイドに蝶をあしらった銀色の物で、髪の毛が少し別かれている。それと、服にはあちこちにさらに黒くした蝶が描かれている。ちなみに足は白色のニーソックスだ。手にはリアと同じ虹色の宝玉があり、瞳は金色をしている。


「糸が欲しいの」

「糸ですか……属性は?」

「全部だな」

「全部がいいね」


 俺とリアが要望を告げると直ぐに胸を押し上げるように手を組みながら次を聞いてきた。アイディリアの胸は分体バージョンよりも確実にあり、和服の上からも確認できる。


「強度はどうしますか? アダマンタイトかミスリルくらいしか作れませんが……」

「ヒヒイロカネあげるから、それで」

「分かりました」


 リアがヒヒイロカネを渡すと、それを口元に近づけて口を開けて直ぐに止めた。無表情の顔は少し赤く恥ずかしかったようだ。


「えい」


 そして、おもむろに袖の中に仕舞った。中からは噛み砕くような不気味な音がした。


「出来ました。どうぞ」


 指から無数の七色に光る糸が出て来る。それらはどことなく緋色に近い。


「ありがと」

「ありがとうねー」

「いえ。それより、何に使うのですか?」

「弓の弦だな」

「では、そちらように調整しましょう。貸してください」

「やだ」

「母様?」

「これはリアとリクトお兄ちゃんで作るんだから、駄目ー」

「……子供ですね」

「なんだと!」


 見てる感じ、お姉ちゃんと妹だな。まったく母親と娘には見えない。


「はい、どうぞ」

「むむむ」


 今度渡されたのは極細の糸が捻られて編みこまれた紐で、弦にすると丁度良かった。さっきもらった紐も上下と持ち手の部分にしっかりと巻いておく。


「リア、弦にも加護を頼む」

「うん。わかった……えい!」


 可愛らしい掛け声とは裏腹に圧倒的な力が入れられる。


「では、母様が弓を作られたので私は矢を作りましょう」

「あれ? でも剣じゃないよな?」

「剣ですよ」


 作り出されたのは矢の様な剣だ。鏃の部分が大きく、小さな無数のギザギザが有り、抜くときに肉を巻き込むように設計されている。先端以外も金属で、矢羽は糸で作られているようだ。だが、重さは全然無い。軽いが膨大な力が篭っているので、明らかに普通の矢では無い。


「むう……」

「これぐらいは許してください、母様」

「まあ、矢を作ってくれるのは助かるからな」

「ですから、剣ですよ。構えてみたらわかります」


 言われた通りに構えて、引き絞る。放つ準備を整えると、矢の全体が光り輝き、鏃の部分に緑色に光る剣が構成された。


「確かに剣だな」

「持っても戦えますよ」

「あ、撃つと大変な事になるので敵が居る場所でお願いします、父様」

「ああ」

「それが、風の剣ですので、他にも全種ご用意しました」


 大量に渡された矢を矢筒にしまっていくが、アイテムストレージとかアイテムボックスとか言われるのが欲しくなるな。


「お兄ちゃん、それと出来たら近接用の武器も用意したら?」

「リアはどうするんだ?」

「リアは殴る」


 拳に赤と青の光を纏わせる。火と水の属性を持つようだ。それをどんどん色を変えていく。全属性対応が可能な拳。命中しなくても暴風とか炎の嵐とか巻き起こすだろう。


「それにリアは前衛いっぱいだよ」


 リアの周りには無数のデフォルメされたゴーストが現れる。こいつらも色とりどりで、属性攻撃が可能なようだ。ゴースト達も戦闘能力は高そうだ。こいつら、白いふわふわの中に暗器を隠し持ってやがるし。


「和弓の大弓なんだし、どうせなら日本人らしく刀にするか」

「刀は知りませんね。どんな物ですか?」

「刀は反り返った片刃の剣だな」

「できたら1本ください」

「まあ、リコリスとラクロアに頼むから、待ってろ」

「はい、お待ちしています」


 アイディリアが空に飛び上がって、また地底湖を游行していく。


「さて、俺達も行くか。ところで、防具はどうするんだ?」

「お兄ちゃん、8重の属性魔法障壁を全部突破しないとリアにはダメージが入らないよ。それにリアより強い存在以外は魔法なんてかき消せるし」

「桁が違うな」


 物理攻撃でリアを倒さないといけないのか。いや、魔法以外の力ならいいのか。例えばドラゴンのブレスとか。まあ、基本的な自然現象は全てリアの支配下にあると思えばいいか。


「ちなみに魔法は使えるのか?」

「無理だよ?」

「え?」

「だって、身体が馴染んでないもん。多分、人間共の魔法は習ったら使えるよ。でも、精霊魔法の劣化だからね。そんな事しなくても、リアはその辺りに居る精霊さんにお願いするだけで大丈夫だし」


 精霊にとっては王から直接勅令を出される感じだしな。


「でも、人間の魔法も馬鹿にできんだろ。精霊のリア達が封じられて精霊核にされたんだから」

「むっ」

「それに精霊魔法を封じられたら、人間の魔法で逆襲してやればいいじゃないか。連中がそれも封じれば圧倒的優位はこちらだしな」

「それもそうだね! うん、お兄ちゃんの言う通りにするね」


 まあ、人間の恐ろしい所は物量と飽くなき欲望で作り上げたその技術力だしな。


「取りあえず、日本刀の作り方をどうやって調べるか……」

「買えば?」

「え? 売ってる?」

「DCルームから買えるんじゃない?」

「探して見るか」


 DCルームで調べると、日本刀の作り方という技術書が確かに売っていた。それなりの値段だが。というか、非道い設定で検索からでしかヒットしない。思えば、シズクもこれで和食を調べたんだから、あるのは当然か。


「オリハルコンの作成方法も調べてみるか」

「それがいいね」


 オリハルコンの作成方法はオリハルコンを買うよりも安かった。素材代金の事を考えれば当然かも……いや、普通は逆だよな。なんで生成方法の方が安いんだよ。


「多分、普通は知ってても作れないからだろうねー」

「まあ、そうだろうな。こっちは精霊達と精霊女王様のチートでできるかも知れないが」

「えへへ~♪」


 頭を撫でてやると喜ぶリア。そのまま顎の下とかも撫でてやるとスリスリしてきたので、たっぷり可愛がってやる。しかし、リアってメド○ーアとかも普通にできそうだな。まあ、しばらくは日本刀を始め、武器と防具を量産してもらうか。キリル達のデスサイズも強化できるようになった分、手入れもいるし。唯一戦い続けられるのがリアとアイディリアぐらいか。










愛情たっぷりの精霊樹の弓は全長七尺七寸(約233cm)で、一切自重されていない精霊親子の加護により、高威力、超射程、高速射撃、属性攻撃、身体強化、矢弾分身などどこぞの神器並みである。通常攻撃がブロークンなんちゃら並みの破壊力で矢弾が分身すると超危険。全力使用はやめましょう。

(嘘か本当かは不明)

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