21シズクちゃんの1日
シズク
今日はお父様がアイディリアとリコリス、ハクアとキリルを連れて行っているので、シズクは上で作業ですの。先ずは半精霊になって、他の子達に力の使い方を教えているリアラの様子を見に行きますの。リアラの居場所は直ぐにわかったので、彼女がいる治療所の方へ行きますの。
治療所は精霊樹のダンジョン上層へと狩りに出ている皆が怪我をして帰って来るので、水の精霊3体と神聖水樹のウッドゴーレム1体、水の半精霊10人が治癒所に勤めているですの。御蔭で腕が切断されても、持ち帰ってこれれば治療は直ぐに完了ですの。もちろん、代金は頂きますが、相場からしたら、かなりお安くなっておりますの。
「リアラ、居ますの?」
「はい……って、誰ですか?」
リアラは不思議そうにシズクを見ていますが、誰かわかってないようですの。これはお仕置きするべきですの?
「……」
「……もしかして、シズク様ですか? 髪の毛が長くなっていますけど……」
「あっ」
そういえば、お父様を受け入れる為に少し身体を弄ってましたの。シズクは髪の毛を伸ばして、様々な髪型でお父様を楽しませましたの。クロネは身長を20cm程上げてお父様を受け入れてしたの。
「これで元通りですの」
「そうですね。何時ものお姿です。それで、どの様なご用事でしょうか?」
「集金と現状の監査ですの」
「分かりました。こちらが売上になります。現状は人員も大丈夫なので、問題有りません。むしろ、仕事が少ないです。基本的にパーティーには回復役の同胞がいますから」
「それはそうですの。では、こちらでは引き続き訓練をメインにお願いしますの」
「分かりました」
金貨が入った袋を受け取って、次の場所に行きますの。次の場所は精霊樹前の湖ですの。
精霊樹前の湖は精霊樹を中心に半径1キロの湖で、一部が泉と統合されて泉だった部分には船着場が設置されていますの。ちなみにダンジョンの入口は隠してあるので、問題はありませんの。
「それより、大きな橋ですの」
横幅50メートルもの大きな橋が東西南北に取り付けられており、それぞれの間の空間に神聖水樹が植えられて、精霊樹の上層と枝でくっついていますの。枝の上も通れるくらい大きくなれば、そこからも侵入できるようにする予定ですの。今は神聖水樹が精霊樹を補佐して力を分け与えているのが現状ですの。
「しかし、ドワーフ共は何を考えていますの? こんな大きな橋を無駄にミスリルで生成するとか、馬鹿ですの。そのへんはどうですの、ラクロア」
背後に現れていたラクロアに声をかけますの。
「綺麗でいいじゃねえか。アタシ達は職人だぜ。細部までこだわるんだよ」
「確かに綺麗な装飾も施されていますが……」
これだけで美術品としてはかなりの代物だと思いますの。確かに龍の像や水の精霊の像、お母様の像などは綺麗でよろしいのですが……誰か、奪いに来ないかとても不安ですの。
「警備も大丈夫だぜ」
ラクロアが指を鳴らすと、龍の眼が光って動き出しやがったのです。
「まさか、これ全部ゴーレムですの?」
「おうよ! 龍は橋ごとに10体ずつで合計40体配置しているぜ。ハクアから石化の魔眼を提供されてるから、大概の奴は石化して終わりだろうがな」
「えげつないですの。それと、橋もちゃんと上がる仕組みになってますの?」
「そっちも大丈夫だ。それより、精霊樹の森を埋めるなら半径20キロだ。こっちから作業をした方がいいよな?」
「それはそうですの。手が足りませんの?」
「ああ、足りないな」
「なら、ハクアから眷属を借りて作業に入りますの」
「了解だ」
ラクロアと共にハクアの眷属を44匹ほど連れ出して、前方の土を陥没させて大きな土の防壁を作り上げ、それを鋼鉄製に変えますの。流石にアダマンタイトとか、ミスリルとかは自重してくれましたの。
「こんな感じで作っていってくれ」
「「「シャアー!」」」
白蛇・大蛇達が精霊樹の周りをどんどん陥没させて防壁を作り上げていきますの。
「ところで、この防壁は見た事がありますの。いえ、どちらかというと城壁だと思いますの」
「そりゃ、旦那様から貰った資料を参考に作ったからよ。確か、なんつったかな……万里の……」
「万里の長城ですの」
「そうそれ。ちゃんと内部にも入れるようにしてあるし、警戒用の部隊配置も問題無いだろ?」
「まあ、警報の代わりは私達が行いますので問題無いですの」
「頼りにしてるぜ。こっちは休憩がてらに作成したゴーレム達を戦力として配置するから、最終的に人手はかなりいらなくなるぜ」
「それはお得ですの」
ゴーレム技術はドワーフのお家芸らしいので、とても感謝ですの。神聖水樹のウッドゴーレム達は改造できないそうなので、普通のゴーレムは歓迎ですの。
「っと、これは……」
「どうした?」
「ちょっと私達のお仕事ですの。ラクロア、資材って欲しいですの?」
「そりゃ、あって困るもんじゃねえし、出来れば大量に欲しいな。かなりの勢いで消費しているからよ」
「じゃあ、ちょっと取ってきますの」
「ああ、よろしく」
シズクは水の塊となって地面に染み込み、地底湖から大河へと移動しますの。その間、水中に私達が60体ほど集まりますの。集まったら瞬時に目標地点まで移動しますの。
「見つけましたの」
水中で大河に浮かぶ大型の船舶を複数発見しましたの。街への物資補給を行っている事は既に判明して居ますの。先ずは船底にウォーターカッターで穴を開けますの。そこに水が入り込まないようにして、私達が突入しますの。予定通り、倉庫の場所に到着しましたの。
「シャドウキャットさん達、お願いしますの」
「にゃあ」
水の精霊数体が体内に入れて居たシャドウキャット達を出し、荷物を根こそぎ影に収納して頂きますの。何隻かある他の船も同じようにして、積荷を確保したらシャドウキャット達は返しますの。
「さあ、一気に沈没させますの。生き残りは無しでいきますのよ」
一斉に船舶内部に水の奔流を叩き入れて、周りからもウォーターカッターで解体して、人間達を溺死させていくですの。捕虜なんて要りませんの。皆殺しですの。
「船の残骸もきっちり回収していきますの」
全てを飲み込んで移動し、船の残骸や死体は全てダンジョンボックスへと叩き入れ、要りそうなマジックアイテムだけは回収ですの。その手に入れた資材は地上でラクロア達に渡し、私達の仕事は終わりですの。
「武器が大量に手に入りましたの。これはどうしますの?」
「あー、しょぼいな。アタシ達が作るのより圧倒的に駄目だが、今は手があいてねーから、仕方無いか。ほいっと」
ラクロアが手に持つと剣の構造を変化させましたの。
「ダマスカスとアダマンタイトでしばらくは充分だろうぜ。おい、お前ら! ちょっとこっちで手伝え」
「「「へい!!」」」
みるみる装備品が高価な品物に変わっていくですの。隣に山積みにされた魔法薬もどんどん消えていくので、ある意味金額的には等価交換ですの。
「どうせなら、精霊の祝福も与えておいた方が良いですの?」
「いや、どうせ後でぶっ壊すからいらんだろう」
「了解ですの。なら、配布を開始するですの」
上層の攻略が進めば、それだけ楽になるですの。今は半精霊達を殺す気も無いので、戦力強化で全然問題無いですの。それよりも、学校の建築も急がせた方が良さそうですの。