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閑話02クロネ

誤字修正は起きたらします。

 





 ダンジョンを大改造した翌日から、数日。リコリスのストレス解消も兼ねてシャドウキャット達と戯れさせている。


「にくきゅう……ぷにぷに」

「うにゃぁー」


 リコリスは肉球が好きみたいで、何時までもぷにぷにして、幸せそうにしている。なので、基本的にニャンコ階層である1階に連れてきてやると、非常に喜ぶ。ニャンコ達の世話も進んでしてくれるので、ニャンコ達もリコリスになついているのか、どんどん寄ってくる。その様子を確認しながら、俺も一緒になって遊んだり、シャドウキャット相手に訓練したりする。ただ、最近はクロネがあんまりいない。どうやら、遊び(狩り)に出かけているようだ。

 現在の戦闘は6階層以降の上層に入っている。だが、用意したのに肝心の冒険者もこない。なので、取りあえずはダンジョンの周りの敵も排除させている。内部は確かに必要だが、周りの調査を行い、驚異になる存在の排除も重要だ。なにより、薬草とかハーブなどを回収してきてくれるので嬉しい。






 冒険者の街




 クロネはリンを連れて、影から影へと移動する方法を、闇魔法による闇から闇へと移動する方法に変えて、人間狩りに外へと出ている。そんなクロネが今回訪れたのは農村だった。この農村は街道沿いにあり、この近くにリアとリクトのダンジョンとは別のダンジョンも存在する事から、冒険者も多少は逗留している。もちろん、丸太で作られてた柵も有るので、それなりに防げる。もちろん、派遣されている兵と自警団が守っている。そんな村をクロネとリンは今日の標的と決めていた。


「にゃぁ~」

「可愛らしい子猫さんだぁ~」

「そうね」

「ママ、パパ……連れて行っていい?」


 小さな女の子が、じゃれついてくるクロネを持ち上げながら、両親へと確認する。彼らは街道を通って旅をする商隊の一部と共にこの村へと訪れていた。


「ああ、いいよ」

「アナタ。でも、この子はモンスターではないの?」

「こんなに人懐っこい子猫なら、大丈夫さ。愛玩動物ペットだよ」


 この世界ではモンスターテイマーが、モンスターを捕まえて強力な戦力として育てたり、労働力や愛玩動物として扱う事がある。そして、猫系ではリトルキャットという猫系最弱の種族が存在し、愛玩動物として飼われる事もある。


「そうね。それに、この子にはモンスターテイマーの素質があるのかも知れないわね」

「えへへ、私、モンスターテイマーになるよ!」

「そうか、頑張れよ!」

「うん♪」


 リトルキャットの戦闘能力はただの猫と同じ為、比較的素人でも捕まえられる。なので、幼い頃から一緒に居させてモンスターテイマーになる為の経験を積ませることが一般的だ。もちろん、リトルキャットに擬態している精霊獣シャドウキャットであるクロネとは能力が数百倍は違う。だが、太陽の下を平気に出ている為、彼らが気づく事は無い。例え、並の冒険者でも気づかないだろう。光の精霊リンと闇の精霊クロネが本気で偽装しているのだから、当然だ。本来は相反する存在のはずだが、産まれた時から共にいる2人にとっては関係無い。むしろ、互いに高めあっている。そして、それは2人に率いられる者達も同じだ。


「にゃあ~(ちょろい)」

「(ふっふふ、人間どもめ~覚悟しておくといい!)」


 2体はそのまま農村へと何事も無く侵入した。そして、旅人の家族は宿を取った。彼らの目的はこの先の大火災で大変な事になっている街だ。そう、この商隊は復興支援の物資を運んでいる。そこに便乗した形だ。彼らは街に居る親戚の安否確認とそのお手伝いの為に商隊と共に向かっているのだ。こういう者達はかなり多い。何より、仕事もあるし、とにかく人手と物資を必要としているのだから当然だ。

 そして、人々が寝静まった頃、2人は動き出した。ベッドの中で幼い女の子に抱きしめられていたクロネは赤い瞳を光らせる。


「にゃぁ(殺る)」

「(GOGO)」


 先ずは小さな手の爪を凶器に変化させて、抱きしめている女の子の身体を一突きして、心臓を鷲掴みにして、抉り取る。女の子は瞬時に絶命した。その心臓をシャクシャクと餌のように喰らう。


「にゃ、にゃぁぁぁぁ(ちっ、しけてる)」

「(子供だから、仕方無いよ)」


 いまいちの味だったようで、その残った身体の抉られた部分にクロネは入り込んで身体を溶け込ませて傷口を覆う。実体がほぼないからこそできる芸当だ。とは言っても、クロネ単体では不可能であり、寄生精霊たるリンがその殆どを操っているといえる。


「……」


 死体となった女の子は立ち上がり、隣のベットで寝ている母親へと向かう。そして、布団の中に潜り込む。


「ん……どうしたの? やっぱり、1人じゃ眠れないのかしら?」


 眠っていた母親は娘が入って来た事に気づいて、起きた。だが、次の瞬間には娘の手によって、心臓を抉り取られた。


「かっはッ!?」


 口から血を吐き、母親は絶命した。そして、娘と同じように心臓を食べる。だが、これも外れのようで、さっさと身体ごと飲み込んでしまう。


「にゃあにゃぁぁ(当たりが見つからない)」

「(あの獣人の女の子は美味しかったのにね~)」


 母親を自らの手で殺した幼い女の子の口から漏れるのは、猫の鳴き声だった。それも、不満げな感じだ。そして、女の子は荷物を漁って、包丁を取り出す。


「にゃあ(次)」

「(じゃあ、隣へGO)」


 部屋から扉を開けて宿屋の廊下に出て、隣の部屋へと移動する。そして、鍵に女の子が手を突き入れてひねると、ガチャリと鍵が開く音がした。実体と非実体を好きに操作できるのだから、鍵など開ける事は簡単だ。鍵を開けたら、中に入ってテクテクと移動して、父親が眠っているベットの上に乗る。


「んっ、んん? がぁっ!?」


 そして、父親が目を開けた瞬間に包丁を振り下ろして、何度も突き刺して殺した。


「(完全に死んだにゃ)」

「にゃあ(わかった)」


 父親の顔をメッタ刺しにして殺した後、身体から布団を取り除いて着ている服を切り裂く。そして、露出させた胸に光る宝石を包丁で斬り裂いてくり抜く。その後、綺麗に肉片と血をタオルで拭き終わると、大切に保管する。その後、人の気配がする部屋に音もなく侵入して、惨殺していく。特に精霊核を持つ者は徹底的に殺していく。その宿が終わると隣の民家へと、どんどん虐殺していく。そして、見張りも殺した後、最後に村長が住んでいる館へと向かう。見張りもまさか村の方から攻撃を受けると思わず、大した反抗も出来ずに死んだ。中には振り返った者も居たが、それが幼い少女の犯行だと認められずに一瞬固まったところを殺された。


「にゃにゃあ(ここで最後)」

「(そうだね)」


 血まみれの包丁をクルクルとジャグリングしながら、こっそりと見張りを調べる。見張りは2人な為、片方にジャグリングしていた包丁を投擲する。投擲された包丁は見事に見張りの喉へと命中し、見張りが倒れてのたうち回っている。そして、クロネ本人は瞬時に近づいてもう1人の味方が殺されて混乱している1人を下からすくい上げるようにして、伸ばした闇の爪で切断する。切断された死体は血しぶきをあげながら、地面へと転がった。その後、呻いている1人を殺して、心臓を抜き取って食らったあと、取り込んだ。そして、2人がドアから侵入すると、そこには明るい部屋の中で1人の鎧を着た男が待ち構えていた。


「嫌な気配を感じていたが、モンスターか」

「……」


 女の子は黙ったまま、包丁を逆手で持ちながら構える。それに対して、男も手にした剣を構える。


「殺る気か……面白い」


 男は村長に雇われた用心棒だった。実際に実力はかなりある。


「甘いな」

「っ!?」


 女の子が接近して、斬りかかるも瞬時に反撃して包丁を剣で切断して蹴りを放って来る。それに対して、女の子は包丁を手放して蹴りを放つ足を掴んで、その場で身体を回転しながら上下反対のまま蹴りを放つ。男はそれを剣で迎撃しようとする。そこに足から伸びた闇の刃が、剣を弾く。残ったもう片方の刃は男を切断する……はずだったが、男は瞬時にバックステップで背後へと逃れていた為、頬っぺたに傷を付けたくらいだ。


「危ねえ、危ねえ」

「にゃ(ちっ)」

「油断はできなさそうだ」


 余裕の表情から本気になったようで、真剣な表情に変わった。それと同時に、女の子も四つん這いになり、最初から爪を作り出す。そして、身体中から闇を吹き出す。


「闇属性のモンスターか……面倒だな」


 今度は男から接近して、剣を振るってくる。その速さはかなりの物で、女の子はなんとか飛び退った。だが、追撃は終わらない。女の子は爪で迎撃していくが、傷をどんどん負っていく。そして、片手が斬り飛ばされた。


「これで終わりだ!!」

「「にゃにゃ、にゃぁぁぁぁぁんっ!((にゃんこ、フラーシュッッ!!))」」

「ぐぁあああああああぁぁぁぁぁっっ!?!」


 だが、至近距離からまばゆい閃光をモロに食らって眼を押さえる。そこに女の子は下から飛び上がり、男の喉元に噛み付いて喉を食い破る。男の声なき絶叫が響く。それもそのはずで、噛まれた牙は闇で伸ばされた牙な上、毒をたっぷりと含んでいた。この毒によって、動きが鈍くなり、のたうち回っている男に対して、女の子は血を流しながら魔法を使う。それは掌に漆黒の球体を作り出した。


「にゃあ(とどめ)」

「(いけぇえええ!)」


 それをのたうち回りながらも剣を振るう男の懐に自分も斬られながら叩き込む。鎧は漆黒の球体にメキメキと音を立てて潰されて圧縮されていく。それは男も例外ではなく、一瞬で漆黒の球体に吸い込まれるようにして、圧縮されてしまった。


「にゃ?(何これ?)」

「(溜まった~)」


 女の子の身体が変化を起こしていた。女の子の身体を闇が包み込み、しばらく経った後にはヒューマンだった女の子は存在して居なかった。頭部は金髪だったのが黒い髪の毛になり、同じく黒い尖った三角の猫耳が生えて、人間の耳が無くなって居た。そして、お尻には黒い毛並みの尻尾が5本存在した。髪の毛は肩まであるセミロングとなっており、元気な少女だ。ただ、手足には肉球グローブみたいなのが存在した。そして、背中には小さな翼が有ったが、飛行能力はなさそうだ。


「にゃにゃ!」

「(おめでとー)」

「にゃあ」


 言語はまだ理解していない為に発せられないが、女の子……いや、クロネは大喜びで残りの住人を虐殺し、家財や家を根こそぎ取り込んで帰宅した。帰宅した後、いらない物はダンジョンボックスに叩き入れて、自身も水浴びで身体を綺麗にした後、リクトの寝床に潜り込んだ。









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