12リコリスの現状
改訂させていただきました。拷問関連を除去しました。
題名変更
さて、なんというか、直ぐには冒険者達はこない。今、あちらでは街の焼失と、駐留軍と冒険者達の中で啀み合いが起こっているだろうからだ。寄生精霊がスパイと扇動者として紛れ込んでいるのも大きいが。
「それで、今日はどうするですの?」
「そうだな……畑を見て、ダンジョン内の見回り。トラップの設置。個体数の把握。第5階層へのレベル上げって感じかな」
湯船に浸かりながらシズクの言葉に答える。現在、右の太ももにシズクを、左の太ももにリコリスが座って背中を預けている。リコリスに関しては俺が身体を揉んでマッサージしている。リコリス自身は顔を赤らめて嫌がっているが、身体は気持ち良さそうだ。というか、湯船に浸かっているだけで、気持ちがいい。
「そういえば、なんか効能とかあるのか?」
「お肌や髪はツルツルのすべすべでもちもちになり、染みは無くなり、全身の悪いところを瞬時に修復するですの」
リコリスとシズクの髪の毛を撫でると、確かにそうだ。ツルツルのすべすべだった。もちろん、リコリスの身体もだ。というか、産まれて直ぐのような綺麗な肌になっている。
「ふふ、女性の願望というのは理解できたので、徹底的にしたですの。そう、水関係で私達に不可能は無いですの。特にシズクと入っている2人はその効果が大きいですの」
「温泉の効能だな」
人里で売りに出したらとっても高くなりそうだな。
「毎日、お父様がリコリスを楽しんでいますから、手入れはちゃんとシズクがするのです。だから、お父様は思う存分、お楽しみくださいませ」
「そうだな」
「……んっ」
リコリスと口づけを交わして、楽しむ。シズクには軽いキスだけだ。強請られるが、家族としての愛情表現で今は満足みたいで、直ぐに出て朝食を用意してくれる。この頃、夜はリコリスと楽しみ、リコリスを抱き枕にして就寝。朝、一緒にお風呂に入るとシズクが合流してくる。俺とリコリスの食事は全部シズクが作ってくれるので、楽チンだ。更に経験を得てどんどん上手くなって、俺の好みの味付けに変わっていく。そう、俺は餌付けされている。
朝食を食べた後は、リコリスとシズクを連れて畑を確認していく。家庭菜園程度の小さな畑だが、食事を取るのって俺とリコリスくらいだ。キリルは食用バッタを食べるし、クロネはシャドウキャットだから魔力を食べる。リンも同じ。シズクとウッドゴーレム達は水があればいい。ウッドゴーレムの成長は光があればなお良し。リアは純粋な精霊なので、食事を必要としていない。ただ、甘味として果物を食べるだけだ。こちらは他の精霊も同じだ。
「……信じられない成長力ですね……」
「そうだな……」
「土の精霊が力を与えているからですの」
さて、問題の畑なのだが……カボチャや玉ねぎ、大根、人参、白菜、キャベツ、レタスなどが巨大化して、沢山ある。
「私達の力も入っているのです。なので、回復効果もある特別製ですの。でも、使い切れませんの」
通常の数倍のサイズになっているそれらを使い切る事は難しい。人化すれば別かも知れないが、現状では余りまくっている。
「マンティス達に食べさせるとか……」
「奴ら、肉食ですの」
「野菜を食う動物でも飼うか。食料になりそうなの」
「オークやミノタウロスですの?」
シズクの発想が凄く飛んでいた。
「い、いや……オーク、嫌っ」
リコリスが震えながらか弱い声で言ってくる。
「確かにアレは嫌ですの。お父様、ミノタウロスを買いませんか? 戦力にも食料にもなりますの」
「ハーブと野菜を食わして育て、必要になったら解体して食料にするか……でも、ミノタウロスって強そうじゃないか?」
「強いのです。ですが、シズクの敵ではありませんの」
「水場限定で?」
「水場限定ですの」
「他の連中にとっては?」
「結構危険なのですが、ボッコボコにして寄生させてしまえば大丈夫ですの」
シズクにとって、俺と精霊が一番大切で、それ以外はどうでもいい存在なのだろう。人間は憎悪の対象だが。だが、牛肉を食いたいのもあるし、戦力になるなら構わないか。牢屋に1階層は広すぎるし、ミノタウロス繁殖場にして、警備も行わせればいいか。一応、人間でも繁殖できるみたいだし、女は苗床に、男は食料にすると脅しに使えば大丈夫だろう。悪人はどうしようかな。いや、そのへんは精霊達に任せよう。どうなるかは知らないが、悲惨な目に遭うことは確実だし。
「じゃあ、2階層にミノタウロス繁殖場と農場を作るか。数が増えたら餌の量が要るしな」
「了解ですの」
「……」
思いつめた表情をしているリコリスの手を引きながら、クリエイタールームに向かう。そこで、リアと共に作成してミノタウロスを普通に召喚して、配置する。やっぱり、ミノタウロスは高く、1体16000CPもした。なので、改造して繁殖能力を増やす事にした。其の辺はシズクがやってくれるそうだ。大規模な改造によって、CPが無くなって来た。5階層を攻める事は必要になってきた。ただ、敵の数も随分と減ってきているのが、難点だ。
次は4階層を見るが、こちらは問題無く、キリルが軍隊のようにキラーマンティスを率いて戦っているのだが……その部隊は様変わりしていた。
「gtjafg」
「heoaksgjie」
「owgudghgr」
キリルと同じ髪の毛と瞳、姿をした少女達が46体存在した。身長と顔つきこそ多少バラバラだが、全員が裸で手が大鎌になっている。その子達が、飛んだり走ったりしながら白い悪魔を笑いながら殺し続けているのだ。どの個体も緑色のオーラを大鎌に纏わせている。
「風の精霊核の影響で進化が早まっているみたいですの。ただ、男は元の姿のままだそうですの」
「使ったフィギュアの性別のせいか……」
虫姦みたいな事が……うん、場所を隔離しておこう。彼女達は人間サイズまで小さくなっていて、翅も綺麗だ。精霊というより、妖精みたいな感じだが、明らかに戦闘能力は高い。何故なら、大鎌からカマイタチを放っているからだ。ただ、ここに配置した風の精霊核が小さくなっていた。シズク曰く、彼女達と溶け合って融合したそうだ。それに伴って進化した。しかし、話せないのは駄目だ。やはり、翻訳のスキルが欲しい。キリルが完全に人化するか、人間を食らってその姿を完璧にするのならいいが。しかし、他の問題は動き回る彼女達のゆれる胸が問題だ。服を配布しないと。しかし、作るのは大変だ。CPもバカにならない。糸はあるが……やはり、早く冒険者が来るのを待とう。特に裁縫関係を持っている奴ら。いや、アイディリア達に覚えさせるのもありか。
「よし、次の所に行くぞ」
「はいですの」
「……分かりました……」
3階層は一部隔離して、問題なし。こちらでも設定を変えて、精霊機械虫キリングドールマンティスの1体を繁殖用に送った。その子は戦闘能力が一番低い子なので、仕方無い。といっても、キラーマンティスよりは圧倒的に強く、殆どのキラーマンティス雄を斬り殺して、自分の気に入ったキラーマンティスだけを残したようだ。くわばらくわばら。
2階層は監獄エリアと農場エリア、シズクの命令で水の精霊がミノタウロス2体を薬品漬けにしていた。そして、交尾し続けている。後は神聖水樹のウッドゴーレムが配置されて、安産になるように調整されている。水の精霊まで居るのだから、確実だろう。
農場の方は、ウッドゴーレム達が耕して色々と植えている。メロンとか桃、梨なども植える事にした。
1階層。ここはにゃんにゃんパラダイスだった。黒猫達が遊び回っている。転がるクローラーと追いかけっこしたり、調子こいてぐるぐる巻きにされて吊るし上げられて、にゃーにゃー泣いていたり。一緒になって眠っていたりと、平和な所だ。だが、全員が蠱毒と虐殺者がついているので、一度前線に出たら凄い事になっている。それと、最近ではリアがここから数十体を引き連れて最下層に向かっている。今も個体数が明らかに少ない。
昼食を食べた後、最下層でリアを探すと、家の近くにある神聖水樹で作られたベッドに横になりながら、アイディリアやリン達に囲まれて一緒に居るリアが居た。
「……ん、お昼寝……一緒……」
「そうだな」
この頃の日課として、リアを抱っこしながらリコリスの膝枕でクロネを始め、影猫達に囲まれて眠る。アイディリアはリアに抱っこされて抱き枕状態だ。リコリスと寝るようになってから、お昼寝は一緒にするようになった。それで、リアの機嫌も大分よくなっている。シズクはその間、消えて水の精霊達とお仕事をしたり、お菓子を作ってくれる。今日のおやつはパンプキンパイだった。
「さて、今日はレベル上げに行くぞ」
パンプキンパイを食べた後にそう宣言する。リアはまだ眠いみたいで眠っている。なので、移動して和弓と矢を用意する。連れていくのはリコリスとシズク、クロネとリンだ。アイディリアはリアの抱き枕だから連れて行くのは無理だ。
「じゃあ、リコリスにも装備を渡すな。ほら、これ」
俺がリコリスに彼女の持ち物だったバトルアックスを渡す。もちろん、精霊核は抜かれている。それと、これは実験の意味もある。リコリスはバトルアックスを握ると不思議そうにこちらを見てくる。
「どういうつもりですか……?」
「いや、実験だよ。俺に斬りかかってみろ」
「……分かりました」
リコリスはバトルアックスを握って構えると、直ぐに俺に斬りかかって来た。どうやら、相当恨みが積もっているようで、しっかりと首を狙ってきている。普通ならこのまま首をはねられて終わる。それ程までに早く、回避は不可能だった。だが、刃が首まで1メートルぐらいの所で止まり、リコリスの全身から炎が巻き起こって、彼女を包む。俺の前にはシズクとクロネが瞬時に割り込んで来ているので安心だ。
「っ!? あ、あれ?」
「熱くないよな?」
「大丈夫ですの。ちゃんと言ってありますので、熱くは無くて身体が動かないだけですの」
「ど、どういう事ですか……? 身体が全く動きません。それに、この炎は……」
「貴方の肉体はぜーんぶ、私達のコントロール化にありますの。だから、お父様に危害を与えるような事は全部無駄ですの。だいたい、いくら筋力を普通の人間の子供並みにしているとはいえ、何の対策も施さずに武器なんか渡す訳もなければ、お父様の閨に入れるはずは有りませんの。これは貴方に知らしめる為の実験ですの。ちなみに首輪を外しても、貴方の身体能力は戻りませんの。何故なら、貴方の身体能力を下げているのは心臓の代わりをしている精霊核ですので、外す事も不可能ですの」
精霊核が刻まれた術式で強制的に力を向上するようにされているらしいが、それを精霊の自由意思で改変できるようにしたそうだ。だから、強化したり、弱体化したりできる。なので、ドワーフとはいえ、現状は可愛らしい12、3歳の少女程度の力しかない。一応、年齢は成人しているらしいので、無問題だ。流石は合法ロリのドワーフだ。
「炎は消えずに燃え続け、燃やされるような激痛を与える事もできますの」
「ひっ!?」
「後、心臓停止させて、その後に身体を乗っ取る事も……」
「もう止めてください。逆らいませんから……」
真っ青になってガタガタと震えるリコリスは自ら身体を抱きしめる。
「高待遇で迎え入れられているのですから、貴方はお父様の為に生きて死になさい。嫌われたら、燃やし尽くします。その事をちゃんと覚えておけば、気に入られている限りは高待遇が続きますの」
「わ、分かりました……」
リコリスに武器を持たせておいても、大丈夫だと判明した。今回の実験は他の捕虜がちゃんと言う事を聞くかどうか。ドワーフの全力でも問題無く対応できるようなので安心だ。
「ふむ。お父様、この子は定期的に発散させないと積もり積もって完全に修復不可能まで壊れるかも知れませんの」
「発散方法は?」
「戦闘でいいと思いますの。定期的に戦場に連れ出して、殺させて殺意を消化してあげるのがベストですの。それと、後は優しくしてあげるとよしですの」
「わかった。ほら、来い」
「は、はい」
元から無表情だったが、そこに恐怖を内包させながらも自分から俺に抱きついてきた。俺はそのままリコリスとシズク、クロネとリンを連れてダンジョンへと向かう。来るべき戦いの為にレベル上げる為と、リコリスの発散の為だ。