どうする?
なんとなく流れで執筆する感じになっているけど、これからどうする? 俺?
その時、俺の携帯から着信音が。母親からだ。
「あんた! G・Wにも帰って来ないで、次はいつ帰ってくるの? 仕事は順調? ちゃんとバランスよく食べてる? お酒ばっかり飲んだりしていない? 彼女できたの? 結婚はいつするの?」
マシンガンのように質問されるものの、返答の隙を与えてもらえない。(毎度)
また、全て質問なのに、常に怒り調子に捲し立てられるのも納得いかない。(既諦)
まあ、どこでも、母親ってのはこんな感じだろうけど、毎回毎回電話の度に同じ台詞。音声ファイルにして自動再生しているんじゃないかって思えてくる。
適当に返答して、電話は切った。
勿論、昨日から今日にかけての話については、話していない。
まず、俺自身がきちんと心の整理ができていない。
「あ、そうだ! 今の俺にとって最重要事項を思い出した!」
とうとう思い出してしまったのだ。
今度は何を?
そう! 山のような洗濯物のことだ!
今日中にあれを片付けないと、明日、厳密に言うと今日の夜シャワーを浴びた時点で俺の衣服が全てかごに入ることになる。
その昔、同じ過ちを犯した俺は、腰にタオルを巻いて革ジャンで過ごしたことがある。
あれはさすがに繰り返したくない。
慌てて、脱衣所に目を向けると……。
無い! あれほどうず高くてんこ盛りだった洗濯物が一切なくなっている。どこだ!
洋服ダンスを引き出しを開けてみると、綺麗にたたまれた洗濯物がきちんと収納されていた。
ただ、その入れ方は恐ろしい程の無秩序で、バラバラのペアで組まれた靴下と三角に折ったハンカチが交互に入っている。
誰が……。まさか葛川さん?
俺は万年筆に目を向けた。
今、この中に葛川さんいるんだよな。
ってことは、俺がこの部屋にいる間は、ずっと監視されているってことになるな。
洗濯物を代わりに片付けてくれたのも、俺に執筆に集中させるため?
これは、気合入れて書かないといけないようだな……。
とりあえず、ノートを開き、万年筆のキャップを抜いた。優しいフローラルの香りだ。
そして、キャラ設定のページに一行加えた。
"ハンカチは四角に畳み、靴下は同じ柄を対にする。"