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完全ノープラン宣言  作者: 想多メロン
俺にとって
20/51

ランチ

今日は、外に出て昼飯を食べることにした。

少し気分転換だ。

午後からも死んだ目をしていたら、天井川からも愛想を尽かされそうだし。


会社から出たら、そこには最上川がいた。

「待ってたよ、千丈川」

「おお! 何かあったのか? 昨日の今日でまた失恋か?」

「ある意味そうかもね」

「嘘つけ、昨日からまだ一六時間ってところだぞ」

「あ、君のそういう計算早いとこ、好きだな」


最上川は普通。良かった気にしている様子はない。

「昨日は悪かったな、最上川」

「いや、こちらこそ。触れちゃいけない話題だった?」

「そういう訳でもないんだけどね」


「さ、飯行こうぜ! 僕良い店知っているんだ。ごちそうするよ」


こういう気分の時に、天井川といい、最上川といい本当にいい奴らに囲まれているなぁって実感。



最上川は、昨日のことについて触れようとはしなかった。

連れて行った店は、今まで行ったことのないアジア料理のお店で、非常に美味しかった。

今日のお礼に天井川を連れてきてやろうかな。


今日はご馳走するという最上川の誘いだったが、いつも通り割り勘になった。

昔っから、いつも割り勘だ。

こういう気楽さが、最上川との付き合いが長い理由かもしれない。


出掛けにレジで籠に入った飴を勧められ、一つ取った。

結構スパイスが効いた料理だったので、店を出て直ぐに口に放り込んだ。


間もなく俺の会社の前まで戻ってきて、別れる直前、最上川が、

「本当に大切なものを見ている目だったよ。長いつきあいだけど、あんな千丈川の目を見たのは初めてだった。僕が嫉妬したくらいだ」

それだけ言って、手のひらをヒラヒラさせながらヤツは行ってしまった。


ポケットに入っていた飴の袋。

裏に一言占いが書いている。

「自分の気持ちに正直になって! あたって砕けろ! の気持ちで」


心の中でモヤモヤしていたものが、一気に吹き飛んでいくのを感じた。


午後からはすっかり立ち直った。

覚悟も決めた。

今日、彼女に伝えよう。


いつもの自分を取り戻したことは、天井川も気づいたのであろう。

俺のデスクの前を通過しながら、

「午後のお薬です」

と言って、漂白剤をおいていきやがった。殺す気か? 


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