表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女子高生の一日  作者: 蓋
7/28

4月15日(月) オリエンテーション班決め 日直:上田有希・草刈亜美

4月15日(月) オリエンテーション班決め 日直:上田有希・草刈亜美


 タナセンがいきなり帰りのホームルームでオリエンテーションの班を決めると言い出した。

 オリエンテーションは今月の23日から一泊二日で1学年まるごと隣りの県の学習センターに泊まって交流しようという趣旨のイベントである。いってしまえば簡単な遠足である。

 このクラスは女子が16人、男子が21人の37人なので、6人の班が5班、7人の班が1班できる計算になる。居眠りしていたタナセンは知らないが、クラスは委員決めの時の中川事件が記憶に新しい。

 空気を読まないタナセンが「お前らの好きに決めていいから」と言ったときに、窓際から2列目前から2番目の席に座っている加藤女史が勢いよく挙手した。

「ん、なんだ加藤」

 後ろからは見えないが、加藤さんのメガネが光った気がした。

「発言許可いただきありがとうございます。先生は班を決めるのは自由にしていいとおっしゃいましたが、このオリエンテーションの目的は交流です。ならば、普段仲良くない人と交流を深めるためにも機械的にお決めになった方がよろしいのではないかと思います」

「お、おう」

 タナセンは加藤女史の勢いにたじろいでいるが、一部の女子をのぞいてクラス全員が心の中で「加藤よくやった……!」と賛辞の言葉を送っていた。

 あの時に苦労したせいか、むせび泣いている男子もいる。特に学級委員の太田くんとか。

「じゃー、そうだな、出席番号じゅ」

 またしても天高く挙げられた加藤女史の手を見て、タナセンは言葉を止めた。

「な、なんだ、加藤」

「はい。オリエンテーションでは、微少ながらも事前に班各自で決めることがあると学級委員同士のオリエンテーションに関する会議でうかがいました。ならば、席が近い者同士で組むことが最善の策ではないでしょうか」

「そ、そうだな」

 完全に押し切られた形のタナセン。その後、しどろもどろになりながら、かつ、怯えた表情でチラチラと5秒に1回くらいの割合で加藤女史の方を見ながらタナセンは班を決めた。

 何度か加藤女史から適切な修正が入って遂にはタナセンが緊張のあまり持っていたチョークをボキッと折ったが、クラスは生暖かい視線でそれを見守っていた。


 最終的に、私はなんと惜しいことに真希ちゃんと別の班になり、右隣の席の殿、後ろの席の柴田さん、その後ろの席の高橋くん、高橋君の隣りの鍋島くん、そしてダビデ様と同じ班になった。

 図であらわすとこんな感じ↓


真希ちゃん 土肥さん ←3班

――――――――――――――――――――

私     殿    ←4班

柴田さん  中川くん

高橋くん  鍋島くん



 後ろの方から柴田さんがすごく野太い声で「よっしゃっ!」と言うのが聞こえた。蒼褪める私の前で真希ちゃんが合掌していた。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ