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女子高生の一日  作者: 蓋
21/28

5月8日(水) テスト返却 日直:二井清花・矢沢圭二

5月8日(水) テスト返却 日直:二井清花・矢沢圭二


 今日は阿鼻叫喚な日となった。何故なら、テストが返却されたからである。記憶にない人も多いと思うが(私もすっきりさっぱり忘れていた。嫌なことは忘れる派なのだ)、4月8日に基礎学力テストを受けていた結果だ。

国語55点

社会51点

理科20点

数学19点

英語39点

 うっかり真希ちゃんに、理数系科目は50点満点なのかと確認してしまった。タナセンが「50点以降は補講だからなー明日補講の紙配るからー」と言っていたが、教室中蜂の巣をつついたような騒ぎになってるので、誰一人として聞いていなかった。

「ま、元気だして」

 理数系科目は50点満点なのか聞いた時から私の点数が予想できたのだろう。

 真希ちゃんが生温かい視線で優しく私の肩を叩いた。

「おい、佐藤。どうだった」

 タナセンからテストを返却された殿が席に戻ってきた。彼の手には、ドッグイヤーになっていない答案が握られている。

 点数を隠さないやつは敵である。

「私、国語マジヤバかった」

 現に真希ちゃんの国語の答案はドッグイヤーとなっている。殿が妙に納得した表情で頷いた。

「お前の記述って何故かギャル語だもんな」

「え、ギャル語なの、真希ちゃん」

 想像がつかない。

 『作者の意図を述べよ』という質問に、『てか、そんなの作者しかわからなぃしぃ~><』みたいなことを書いたのだろうか。なにそれ。ぜひとも見たい。

「真田さんは?」

 殿に聞かれて、はっとなった。

 いや、さすがに私にも見栄というものがある。

「いやー、最低点は数学だったかな」

 はは、と乾いた笑いがこぼれる。

 真希ちゃんがぶっと噴き出していた。酷い。後で問い詰めてやろう。

 しかし、殿は納得したように頷いた。

「あー数学難しかったもんな。俺、最低は英語だったなー。外国語わからん」

 と、ここで殿が、「なぁ、優一」と何故か後ろの席のダビデ様に話をふった。

 おい、やめてくれ、これ以上優秀者を根こそぎ集めて私を背水の陣にしないでくれ。

「そう? 殿は勉強しないでゲームばかりしてるから」

 左隣りの席の柴田さんと喋っていたダビデ様が、殿に向かって言った。麗しき美声様の登場である。

 ダビデ様が会話に入ったからか、私の後ろの席にいる柴田さんの視線を肩にびしばし感じる。ちなみに、いつもダビデ様に話しかけている二井さんは、今答案を取りにいっているため席を外している。

「うわ、ひでぇ。俺のウイイレは最強チームです!」

「意味が分からないよ」

 すぱっと切り捨てるダビデ様。あれ、こんな性格だったっけ。もっとこう、穏やかな性格のイメージなんだが。

 私の戸惑いをぶった切るように、殿が「あー」と呻いた。

「まさか英語80切るとはなぁ。相当ヤバいよな、これ」

「うーん、そうだね」

 呑気にそう言う殿に、同意するダビデ様。

「80点!?」

 思わず大声が出た。しまった。

「ん? やめてよ、真田さん。俺の点数周りにモロバレじゃん」

 思わず点数をばらしてしまった殿が肩を竦めて言ったが、ドッグイヤー答案を5つ抱えた私の耳にそんな戯言は入ってこなかった。

 80点だ、と……。


 私の中での敵が認定された日だった。





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