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女子高生の一日  作者: 蓋
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4月8日(月) 基礎学力テスト

4月8日(月) 基礎学力テスト


 今日は基礎学力テストだった。入試で把握するからいいじゃん、とは思ったものの、どうやらそうもいかないらしい。

 むしろ入試よりレベルアップした問題を出すことで今後の授業の進行決めやら補講などを組むという話だ。マジふざけてる。

 結果は聞かないでほしい。

むしろクラスの学力は出来るだけ均一にするということで、入試トップのダビデ様と同じクラスにいる私がドベに近い成績で合格したことは想像するに容易い。

 まあ合格してしまえばこっちのものなのだが、本当にブルーマンデー。

 行きの電車の中でサラリーマンのオッサンたちと一緒に深い深いため息をつきながら登校し、つくなり机に突っ伏した私に真希ちゃんは生暖かい視線を送ってくれた。


 午前中に数学、理科とすませ、またもや机に抱きついていた私を真希ちゃんが気晴らしに、と食堂に誘ってくれた。持つべきものは友である。

 食堂は日替わり定食らしく、どの定食も400円とお買い得だ。

 しかし、新入生で溢れかえった食堂では席を見つけるのが難しく、6人のギャルが陣取っている横に向かい合わせで空いている席に座った。Oh…この人金髪やないか…。隣りのお姉さんは見事にキラキラした髪をしていた。

 私はトンカツ定食を頼み、真希ちゃんは持っていたお弁当を広げた。

 食堂はカフェテラスのようにオシャレであり、2階もあるらしかった。ただ、まだ冷房が効いていないのに生暖かいこの季節は2階は暑いらしいと真希ちゃんがどこからか仕入れた噂で教えてくれた。

 そんな真希ちゃんはまた部活のパンフレットを捲っていた。

 今週の木曜には放課後に部活紹介があるのだが、それまで待ちきれないらしい。どうやら中学の時に部活で青春できなかったのを悔やんでいるらしく、パンフレットを見る目は血走っていた。

「文化部と運動部でまずは大別だよね」

「そうだね。真希ちゃんどっち入る?」

「うーん、あー、悩みどころ。アニメ見て軽音部もいいんじゃないかと最近思った」

 それはあれだろう。軽音部が舞台の女子5人組のアニメだな。

「真希ちゃんアニメよく見るの?」

「見る見る特に深夜アニメ。兄貴がそういうの好きなんだよね」

 真希ちゃんの新たな一面を見た気がした。どうやら聞くところによると、真希ちゃんにはお兄さんと弟くんがいるらしい。


 午後は国語と社会に英語だった。英語がめちゃくちゃ難しくて死んだ。泣いた。

 春休みダラダラしすぎたせいで、受験のときに詰め込んだ単語はすべて宇宙のかなたにとんでいったらしい。カムバックしていただきたいが、とんでいった単語量もそんなないわと思い直したので考えることを放棄した。

「あーむずかったねー」

 最後の英語が終わり、答案を前に渡しながら真希ちゃんが振り返った。

 できた?の三文字が禁句であることは、午前一番の数学の時の私の表情から、我々の間で暗黙の了解となっていた。

「私の答案用紙涙でぬれた……」

「あーあたしのは涎だ」

 どうやら2人揃って答案用紙を濡らしたが、理由はてんでバラバラだったようだ。

ちらりと横を見ると、隣りの殿とダビデ様が笑いながらテストの出来について言い合っており、ダビデ様の隣りの席の女子が果敢にもその会話に入っていた。

 その様子を見た真希ちゃんが女子に対して哀れな者を見るかのような視線を送り、合掌していた。そんなに恐ろしいのかダビデ様のファンは。





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