鏡の中の真実
放課後の校舎は静まり返り、夕陽が長い影を廊下に落としていた。奏と紗夜は、昨日の暗号と消えた証拠を元に、校舎内を探索していた。
「……ここが、昨日の影が消えた図書室か」
紗夜が窓際の鏡を指差す。
「鏡……光と影を使ったトリックの可能性がある」
奏は紙片の暗号を思い出す。『答えは光と影の狭間にある』――まさにその通りかもしれない。
二人は鏡の前に立ち、周囲の反射や影の動きを確認した。すると、壁に映る自分たちの影の中に、微かに動くもう一つの影があった。
「……あれは?」
紗夜が息を呑む。
奏は冷静に指を差す。
「影の動きが不自然だ。誰かが意図的に影を操作している。つまり、鏡を使った隠し場所がある」
鏡の角度を少しずつ変えると、壁の隙間に小さなスリットが現れる。奏は慎重に手を伸ばし、鍵を差し込むと、カチリと音を立てて小さな扉が開いた。
中には、先日失踪した陽菜が隠していた手帳と、小さな録音デバイスが収められていた。
「……手帳、こんなところに隠していたのか」
奏はページをめくり、陽菜が何を書いていたのか確認する。そこには、学園内の怪しい動きや、人間関係の秘密が詳細に記されていた。
「……なるほど、陽菜は自ら証拠を残しつつ、誰かに見られないようにしていたんだな」
奏は分析する。
紗夜は目を丸くする。
「陽菜って、ただの被害者じゃなかったんだ……」
その時、録音デバイスから小さな音声が流れる。陽菜の声が、低く緊張した声でこう告げていた。
「……誰も信じられない……でも、このことを誰かに伝えなきゃ」
奏はデバイスを慎重に手に取り、紗夜に向き直る。
「手帳と録音……これで事件の全体像が少し見えてきた。被害者自身が、何か大きな計画や秘密を握っていた可能性がある」
紗夜は小さく息を吐き、決意を固める。
「……よし、次は証拠と噂をつなげて、犯人を絞り込もう!」
夕陽に染まる校舎で、奏と紗夜は鏡の中に潜む真実を突き止めた。光と影の狭間に隠された謎は、徐々にその輪郭を現していく――。




