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桜舞う街の探偵奇譚  作者: 櫻木サヱ


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7/11

消えた証拠と黒い噂

学園祭の賑わいが少し落ち着き始めた放課後、奏と紗夜は図書室で昨日の紙片と鍵を再確認していた。


「この鍵……一体どこに使うんだろう?」

紗夜は首をかしげながら、手元の紙片をもう一度眺める。


「……重要なのは、陽菜の行動の裏にある意図だ」

奏は冷静に紙片を見つめる。

「昨日の暗号も含めて、誰かが私たちを導いている可能性がある」


その時、図書室のドアがゆっくりと開き、霧島迅が現れた。

「黒崎奏くん、またここか」

冷静な声に紗夜は思わず後ずさる。


「霧島さん……何か新しい情報でも?」

奏は紙片を胸に握り、冷静に問いかける。


霧島は頷くと、手に小さな封筒を差し出した。

「これを見つけた。昨日の資料の一部が消えている。どうやら、誰かが証拠を隠したようだ」


紗夜が封筒を受け取ると、中には学園の防犯カメラの映像データと、さらに別の暗号が入っていた。


「影は嘘の中で動く

証拠は消え、真実は闇に潜む」


「影は嘘の中で動く……証拠は消えた?」

紗夜の眉がひそむ。

「なんか、怪しい噂が流れてるみたいだし……学園全体が巻き込まれてる感じ?」


奏は映像データをパソコンで確認する。確かに、防犯カメラの一部が消去されており、映像の欠落部分には不自然な時間がある。

「誰かが、証拠を意図的に消している。つまり、この事件は計画的だ」


霧島が視線を鋭くする。

「ここで重要なのは、噂の正体だ。表面的な話に惑わされるな。黒崎奏、君ならすぐに理解できるはずだ」


紗夜は目を丸くして奏を見る。

「……また私たち、心理戦に巻き込まれるの?」


奏は小さく頷く。

「そうだ。しかし、焦る必要はない。証拠が消えた場所、時間、関係者――すべてを整理すれば、次の手がかりが見える」


その時、校庭の遠くで陽菜が誰かと話す姿が見えた。

「……あの笑顔の裏に、何かある」

奏は微かに眉をひそめ、紗夜にささやく。

「次は、彼女の行動を観察する番だ」


春の午後、学園に漂う黒い噂と消えた証拠――。奏と紗夜、霧島の三人は、事件の真相に少しずつ近づきつつあった。しかし、影は静かに、確実に彼らを試している――。


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