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桜舞う街の探偵奇譚  作者: 櫻木サヱ


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5/11

霧の中のライバル

翌日、学園は春の光に包まれていた。しかし奏の胸中は晴れやかではない。昨晩の図書室での影の存在、謎の暗号、そして地下で見つけた鍵――すべてがまだ解けぬまま頭を巡っていた。


「……ふむ、どうやら私たちだけでは限界があるな」


奏がつぶやいたそのとき、廊下の向こうからスーツ姿の青年が歩いてきた。黒髪短髪、整った顔立ちに眼鏡。歩き方は落ち着いていて、一歩一歩に重みがある。


「……黒崎奏くんか」

青年は冷静に視線を送る。


「……あなたは?」

奏は身構える。


「霧島迅。社会人探偵だ。君のことは噂で聞いている」

霧島は微かに微笑むが、その目は鋭く、洞察力の高さが一目でわかる。


「噂……ですか」

奏は落ち着いて応じる。

「学園内の失踪事件に興味がある、と」


「その通りだ。だが、私は君の推理力を試したくもある」

霧島は紙片を手に取り、軽く指でたたく。


紗夜が小さく息を呑む。

「なんか……大人の探偵さんって感じでカッコいい……でも怖い!」


奏は眉をひそめ、霧島の動きを観察する。

「ふむ、冷静沈着、行動は無駄がない……そして、人の嘘を見抜く目を持っている」


霧島も奏を観察していた。

「君の推理には独自性がある。しかし、甘い。君一人では、事件の核心には届かない」


紗夜は悔しそうに舌を出す。

「なんかムカつく言い方だよ!」


奏は微かに笑みを浮かべる。

「挑発には乗らない。だが、君と協力すれば、より早く手がかりを得られるかもしれないな」


霧島はうなずく。

「ふむ……協力は悪くない。ただし、私の条件は一つ。推理は論理に従うこと」


その時、霧島が廊下の端に置かれた紙片に目を留めた。

「これは……君たちが昨日見つけたものだな。なるほど、鍵の存在も確認済みか」


「……はい。これが次の手がかりだと思っています」

奏は冷静に答える。


「ならば、次の手がかりはここからだ」

霧島は紙片を手に取り、静かに微笑む。

「だが、私が先に動くことを許してくれ」


紗夜が心の中でつぶやく。

「なんか、ライバル登場って感じ……でも、これからどうなるの?」


二人の前に現れた霧島迅――冷静なライバル探偵は、事件の深淵へと奏たちを導く存在となる。光と影の狭間で、心理戦と推理の火花が交錯する――。


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