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桜舞う街の探偵奇譚  作者: 櫻木サヱ


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11/11

桜舞う街にて

事件が解決してから数日後、学園には春の柔らかな光と、満開の桜が戻っていた。校庭には生徒たちの笑い声があふれ、模擬店や文化祭の片付けの賑わいも徐々に落ち着きを見せている。


奏と紗夜は、事件解決後の資料整理を終え、校庭の桜並木を歩いていた。


「……事件が終わって、やっと少し落ち着いたね」

紗夜は手に花びらをすくい上げ、指の間でそっと転がす。


「そうだな」

奏は静かにうなずきながら、桜の花びらが風で舞い散る様子を見つめる。

「今回の事件で、人の心理や状況を観察する力が少しだけでも磨かれた気がする」


「でも、奏くん……」

紗夜は少し照れた表情で続ける。

「事件の最中は怖いこともあったけど、なんか……面白かったかも」


奏は微かに笑みを浮かべた。

「面白い……か。君らしい表現だな。確かに、推理を組み立て、罠を見抜き、犯人と心理戦をした瞬間は、知的な刺激があった」


その時、遠くから霧島迅が歩み寄る。スーツ姿は変わらず、落ち着いた歩幅で二人に近づいてくる。


「よくやったな、二人とも」

霧島は口元にわずかに笑みを浮かべ、穏やかな目で二人を見つめる。

「君たちの推理力、観察力、そして行動力がなければ、今回の事件はここまで解決できなかっただろう」


紗夜は少し照れながらも、霧島に応える。

「ありがとうございます……でも、私たちだけじゃなくて、奏くんも頑張ってくれたし!」


奏は軽く頭を下げる。

「互いに支え合った結果だ。それに、君の行動力がなければ、暗号の手がかりは解読できなかった」


霧島は二人を見て、静かに言う。

「今回の事件で学んだことを忘れるな。探偵として、これからも状況と人を見抜く力を磨き続けることだ」


紗夜は桜の木の下で手を広げ、風に舞う花びらをつかもうとする。

「うん……でも、今日は少し遊んでもいいよね?」


「いいだろう」

奏も笑みを返し、紗夜の手を取る。

「事件が終わった日くらい、思い切り春の光を楽しもう」


そのとき、校庭の一角で、事件に関わった陽菜が近づいてきた。笑顔は少しぎこちないが、心から感謝を伝える目が光っていた。


「奏くん、紗夜ちゃん、ありがとう。あのとき助けてくれて……本当に感謝してる」


奏は静かに頷く。

「君も勇気を出した。今回の件で、君の行動がなければ事件は解決できなかった」


陽菜は小さく笑い、桜の花びらを指で弾く。

「でも……こんな大変なこと、もう二度と起きてほしくないな」


霧島も少し離れた場所から、二人と陽菜を見守る。

「若い力と経験がうまくかみ合ったな。これが、探偵としての成長の証だ」


紗夜はふと校庭の遠くを見つめる。

「でも、奏くん……なんだか、まだ終わってない気がする」


奏は微かに眉をひそめ、風に舞う花びらを見上げる。

「……そうだな。事件は終わったが、学園にはまだ解決されていない謎もある。だが、それは次の楽しみにしておこう」


夜の静けさと朝の光が混ざる時間、桜舞う街の下で、奏と紗夜、霧島の三人は、それぞれの成長と絆を胸に、新たな日常へと歩み始めた。影に潜む謎は消えたが、友情と信頼、そして探偵としての挑戦は、これからも続いていく――。


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