最後の暗号
夜明けの光が校舎の窓から差し込み、長い影を廊下に落としていた。追跡の果てに屋上で影を確認した奏、紗夜、霧島は、ついに犯人の最後の仕掛けに直面する。
「……これが、最後の暗号か」
奏は手にした紙片をじっと見つめる。そこには複雑な文字と記号、そして昨日までの暗号と同じインクが使われていた。
紗夜は眉をひそめる。
「もう……何が書いてあるのかさっぱり……」
「焦るな、紗夜」
霧島が冷静に紙片を確認する。
「これまでの手がかり――手帳、録音、消えた証拠、学園祭の行動……すべてを整理すれば、暗号は解ける」
奏は紙片をじっと見つめ、頭の中でこれまでの謎と暗号を組み合わせていく。文字の配列、影の動き、陽菜の行動の矛盾――すべてが線で結ばれる感覚があった。
「……わかった」
奏が低くつぶやくと、紗夜が目を輝かせる。
「え、もう解けたの?」
奏は紙片を指でなぞりながら説明する。
「暗号は単なる文字の羅列ではない。校舎内の場所を示す座標と、陽菜の行動を逆算するためのヒントになっている。つまり、犯人は陽菜を使い、学園祭を舞台に心理的な迷路を作ったんだ」
霧島も頷く。
「よく整理すれば簡単なことだが、焦っていると見落とす。犯人は計算高く、影で操るタイプだ」
紗夜は紙片を見つめ、息を呑む。
「つまり、陽菜は……被害者でもあり、無意識の協力者でもあったってこと?」
「そうだ。そして、犯人は……」
奏は廊下の遠くに、微かに揺れる影を見つける。
「あの声の主だ」
突然、犯人が現れ、冷たい笑みを浮かべる。
「ふふふ……よくここまで来たわね。だが、真実はまだ、ほんの一部しか見えていないのよ」
奏は紙片を握りしめ、冷静に答える。
「すべて見えた。あなたの計画も、嘘も、すべて」
霧島が影に近づき、低く告げる。
「抵抗しても無駄だ。論理と証拠は、必ず真実を明らかにする」
紗夜も小さく息を整え、決意を込めて言う。
「もう逃げられないよ!」
犯人は僅かに動揺し、そして背後に隠されたトリックや証拠が次々と明るみに出る。陽菜の手帳、録音デバイス、学園祭の目撃証言――すべてが組み合わさり、事件の全貌が浮かび上がった。
奏は静かに息をつき、紗夜に微笑む。
「これで事件は解決だ。しかし、影の中で試された私たちの推理力は、まだまだ磨かれるだろう」
夜明けの校舎に、光が差し込み、影は消えた。謎はすべて明かされ、犯人の計画は終わりを告げた――。




