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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

これが僕の老後だろう

作者: ヒロモト

70才の僕(独身)がインスタント食品で一杯のカートを押しながらホームセンターを歩いている。

ふぅ。ふぅ。

赤いハッピの男がウォーターサーバーの契約を知ろとうるさい。


「おじいちゃん」


「だーれがおじいちゃんだ!」


70はまだお兄さん!まったく!


「ねぇおにいさーん?契約してー?」


おっ?若い女だ。こいつ僕の事好きだな?

目がハートじゃないか!


気がつくと僕は暗い部屋にいた。

牢屋か。

女の尻を触って大騒ぎになってカートの中のカップヌードルを誰彼構わず投げつけて……。

そうだ。コケて腰を強打して大勢に取り押さえられて痛みで絶叫して……警察に連行されたと。


「頭冷えた?」


「ひゃい」


入れ歯が抜けてよく喋れん。

釈放か。


周りの視線が痛い。

ボロボロのカップヌードルを風呂敷に入れて担ぎ、杖をついて歩くヨボヨボの禿げきったじいさん。

近寄りたくはないよね。


「……ころひてくれぇ」


惨めだ惨めだと。泣きながらえっちらほっちら歩いて帰る。


自分の背丈より伸びた雑草だらけの庭。

『金を払え』といった内容のハガキで一杯の郵便ポスト。

誰も待ってない家。穴だらけの家。

電気も水道も止まっている。

暗い。

玄関の扉を開けるたび


「くせぇ!」


と叫ぶが掃除する気はない。


床はペッドボトルやコンビニ弁当の容器で一杯なので転んでも痛くはないが歩きにくい。

ランタンのスイッチを着け、消臭スプレーを自分に吹きかけて万年床に倒れ込む。

疲れたから寝よう。  


寝る前に薬……10種類以上あるから飲むのもめんどい。

もういいか。

起きたら全てが夢でありますように。

いや。目覚めませんように。


「もうつかれ……おふっ!」


「にゃー!」


おお。我が腹に飛び乗って来たのは猫のネコ太郎!そうかお前は腹が減ったのか。いいな。腹が減るのは元気な証拠。

ネコ太郎に餌を上げ、トイレ掃除をした。

ネコ太郎の部屋だけは綺麗にしてある。


「にゃー」


ネコ太郎が「これはなに?」といった顔でこちらを見ている。

咥えているのは鈴のついたおもちゃ。

やれやれ。遊べというのかこの僕に。


ネコ太郎とたっぷり遊び、氏が寝るのを確認して僕も寝た。

明日も起きねば。

ネコ太郎がいる。


「まぁギリギリいい人生だな」


明日は草刈りでもするか。








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