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74 side:heroin

 神様も意地悪よね。ヒロインなんだからゲームが始まってから記憶を戻してくれたらよかったのに、なんでまた試験とかめんどくさいことを受けないといけないのよ。そもそも母親がしぶとくていつまで経っても死なないし、男爵が迎えに来たのもだいぶ遅かった。ギリギリよギリギリ。そこから詰め込まれるように礼儀とか習わされたけど、なんでヒロインであるアタシがそんなことをしなきゃいけないのよ。本当に腹が立つ。

 それに早くから記憶があってもゲームが始まってなかったということもあってか、攻略対象者には全然出会えなかったし。まぁ、イーヴは別よ。彼は母親が世話になってた商会の息子だったし。

 ようやっと迎えることができた入学式はもうゲームのまんま。入学生代表として壇上に立ったエル様はそれはもうとっても美しかった。白銀の髪はサラサラで涼やかな目元に宝石のような紅い瞳。身長もスラリと高く細身だけど、アタシはその体は鍛えられていることを知っている。あぁ、彼がようやくアタシのものになるわ。

 バチリと彼と目が合った気がした。いいえ、目が合ったわ。エル様がアタシを見つけてくれた。アナタのヒロインはここよ! フッと笑みを浮かべてもくれた。あぁ、やっぱりアタシたちは運命なのね。

 ただ、気がかりなのはあのド派手な悪役令嬢の姿がないことよね。典型的な悪役令嬢で真っ赤なドリルヘアにケバ化粧、性格もキツい。目立つはずのそれがいないのは疑問に思う。もしかして、悪役令嬢も転生者なのかしら。だから、断罪されないようにエル様と婚約しなかったとか? ありえないんだけど、ただの舞台装置が何勝手なことをしてんのよ。アタシが幸せになるための踏み台のくせに。





 アタシはEクラスになった。最初に移動させられたってことはエクストラのEね。最高クラスでしょ。だって、アタシはヒロインだもの。得意になって適当に椅子に座れば、気難しそうな奴に声をかけられた。金髪にエメラルドとかそういう綺麗な緑の目をした人だった。一瞬ときめいてしまったけど、アタシの心はエル様のものなのよ。一体なんなのかと見上げれば、はあと大きなため息を吐かれる。


「君は文字すら読めないのによく合格できたものだな」


 どういう意味よと睨めつければ、トントンと机の上を叩く。見れば、そこには『フロランタン・グーディメル』と書かれていた。あぁ、これ、宰相息子とのイベントだわ。


「ごめんなさい。気が逸ってしまって」

「全く、気をつけることだな。宰相である父上がよく言っていた。物事は落ち着いてみるようにとな」

「はーい」


 一応、キープとしてこなしておいた方がいいわねと思って、さっと退いて謝れば、ふんと言ってフロランタンはアタシが座っていた席に座る。もう、もう少し優しく言えないものなのかしら。あぁ、でも、確か彼は優秀なお兄様に劣等感を抱いてるのだったかしら。そこを優しく撫でてあげれば、ころりと落とせるわよね。ちらりと教室内を見渡せば、イーヴの姿もあったわ。こっちから話しかけるんじゃなくて、きちんとイベントをこなした方がいいいわよね。ストーリーが狂ってしまうのはよくないもの。

 それからしばらくして、担任であろう先生が入ってきて、自己紹介をする。


「じょ、ジョルジュ・ミゴーだ。み、みな、みなさんの担任となった。よ、よよよろ、よろしく頼む」


 ボサボサの黒い髪に濁った色のメガネの向こうからは茶色の目が見える。なんか、オドオドウジウジしていやね。でも、確か、攻略対象者の教員枠だったわよね。ちょっと、関わるのは嫌だけど、キープは多い方がいいし、素顔は綺麗だったはずだから、アタシにだけ見せてくれるようにしてしまえばいいわよね。だって、アタシはヒロインだもの。きっとできるわ。

 それから主要な説明がされると解散となった。まぁ、入学式なんてそんなものよね。罰点がつくときは鈴の音のようなものが聞こえると言ってたし、聞こえたとしてもそれはアタシではないだろうし、問題ないわ。大体、規則規則と煩いのよね。罰点が付いたところでなんだというのかしら。だって、ここは乙女ゲームの世界だもの。アタシの世界といっても過言ではないわ。

 それに入学式といえば、忘れてはならないのがエル様とのイベント。


「エル様、今、会いに行くわ」


 うふふと呟いて、アタシは早速イベントを起こすために行動した。けれど、それは叶わなかった。





 なんで? ここで会えるはずでしょ? どうして、エル様と出会えないのよ!? ちゃんとエル様と出会うためのルートを辿ったわよ? それなのにその場所は閑散としてるし、さっきから頻繁に守衛か知らないけどモブに「迷われたのですか? 案内いたしましょうか」と声をかけられるんだけど。アンタたちに案内されるつもりはないのよ!!

 絶対にエル様は来てくれる。そうして、待っていたけど、日がだんだんと傾き、沈んでいく。暗くなると流石に守衛に腕を取られ、寮へと連れて行かれた。なんで、どうして、エル様と会えるのは今日のはずよ。もしかして、先にフロランタンとイベントが起こってしまったからダメだったのかしら。いや、でも、ゲームでは平気だったもの、起こるはずよ。あぁ、もしかして、悪役令嬢が邪魔をしたのかしら。邪魔なやつ。

 明日もチャレンジすればいいわ。そうよ、いきなりリセットするには早すぎるもの。

 エル様、待っててね。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


次はローズ視点に戻ります。

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ローズモンド・ジラルディエール
ココナラで四月とを様に書いていただきました。




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エルキュール・ヴェルディエ
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イニャス・ギルメット
ココナラでアトリモコ様に描いていただきました。
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