059 side:pères
本日二度目の更新となります。
青く広がる空と緑豊かに広がる大地を表したかのような青と緑のグラデーションで彩られていた宝石。このような美しいものがこの世界には存在しているのだと感動したのを今でも覚えている。それが何をどうしたらこうなるのか。
「昨日、エルに詳細は告げず箱に魔力を流させてみた」
「お前だって流せるだろう」
「あぁ、かつてのコレであれば流せた。けれど、この状態では反発された」
「殿下は」
「なんの反発もなかったようだ。これに何の意味がと首を傾げていたがな」
オラースの言葉を考えれば、すでに“過去戻りの雫石”はエルキュールを主人と定めていることを示している。しかし、現在の彼はそのことを知らないだろう。となると未来の彼が利用した可能性があるということで。
「エルの魔力を媒体として使用したのか、あるいは本人が何らかの理由で使用したのだろうな。何度も何度も繰り返し利用され、この状態になったと見るべきだろう。一度だけではこうはなるまい」
「確かに文献では数度と記されていたか」
「あぁ、記されている。使うには魔力が貯蓄されていなければならない。そのために王となったものは王笏と同様にコレに魔力を流し、貯蓄管理していた」
つまり歴代国王たちが貯蓄してきたものがすでになくなっているということ意味する。そんなに簡単に使用することができるものなのか、いやできないと目線で会話を交わす。
「そもそもだ、使用した人間は過去に戻れるが別の人間として戻ることになる」
「ようはそれは」
「あぁ、血のつながりもない他人だ。いや、血は近いかもしれないがな」
「その人物を炙り出すことはできるのか?」
「いいや、できんだろ。こうして過去戻りが行われていると認知すらできてない」
今回はもう過去戻りができないほどの損傷を秘宝自体が受けている。だから、わかったことだとオラースはいう。
「それで、それに気づいたのはいつだ」
「一昨日ぐらいだな」
「……なんだと?」
「三日前は何ら変哲もなかった。だからこそ、今日お前にエルのことを問うたんだ」
もう少し早ければエルキュールを王太子にすることはなかったかもしれないとオラースは顔を覆う。しかし、王太子にしなかったとしても未来を歩いたエルキュールはどこかに存在するはずだからとオラースは悩みをぶちまける。
「うちの娘に何を期待している」
「正直、未来を歩んだエルではないかと考えたんだ。血も遠いわけではないし」
「ないな」
「はっきりと言ってくれるな」
「当たり前だろ、誰が好き好んで自分と結婚しようと思う」
「それだよ。それだから解消しようとしてるんじゃないのか」
「違う。あの子はただ死にたくないだけだ」
ギーの入れてくれた紅茶を飲みながら、ヴィルジールはそう自分に言い聞かせるように答えた。いたって健康であるし、死にたくないというのはどういうことだと疑問に思うが、自分に言い聞かせるように言う時のヴィルジールは答えてはくれないのだろうなとも長い付き合いからわかる。
「ギーは知っているのか?」
「はい、存じております。ですが、王命でも答えるわけにはいきません。許可なく言わぬと誓いましたので」
「そうか、それならしょうがないな」
「潔いな」
「本人の知らぬところで暴かれるのはいやだろう。大事になる前に話してくれれば良い」
「話さなくてもいいじゃないんだな」
「そりゃあ、知りたいからな」
それから二、三、妻のことなどを語り合った。そして、改めて“過去戻りの秘宝”については内密にとヴィルジールに念を押し、解散となった。
ここまで、読んでいただきありがとうございます。
本日、二度目の更新です。パパたちの内密なお話でした。実は周りが思っているほどではなかった二人。二人の時は比較的真面目に普通。そして、互いに妻を大事に思っています。なお、王妃様の方も実はそれを知っていたり。適当に見せかけて贈られた贈り物も大体王妃様が気にしてるものだったり、興味あるものだったりするので嬉しいと言う旨をエグランティーヌに手紙で認めてたりする。矢印が向いてるのも実は間違ってなかったりもする。王と王妃の推しがジラルディエール夫妻。
明日からはまた一話ずつ更新してきます。よろしくお願いします。







