04
「好かれようと思わないのか」
到着してすぐに私の姿を上から下まで見た殿下からそんな言葉が飛んできた。これは解消を言ったけれど、苦言を呈されたというところか。
「化粧やドレスを変えたところで私は殿下の好みではないのでしょう?」
言外に好まれないのなら好かれようと思わないと笑みを携えて答える。言葉に詰まる殿下。けれど、ぶっちゃけそんなことよりも私はそんなことを聞きたいのではない。
「ところでお尋ねしたいのですが、何故お茶会の頻度が変更となったのでしょう?」
「……それは」
「私が殿下に嫌われているのは存じております。けれど、一筆ぐらい相談していただきたかったですわ。直前になって父から聞き驚きましたのよ」
「それに、関しては、その、すまなかった」
席につき、そういえば殿下も悪かったと認めるようで謝罪を口にする。
「謝罪を受け入れます。未だ解消できていないようですので、今後はこのように相談なくしないでくださいまし。私、やりたいことも多く暇ではありませんので」
これだけははっきり言っておかないと。移動時間がなければ、それだけ進むことも多いのだから。
「それから、一応、殿下の好みも確認しておいてもよろしくて?」
私でないことはよくよく知ることだけど、現時点でヒロインみたいなのが好みなのか確認しておかなくてはならない。それによって、この路線で行くのかどうするのか考える必要があるし。
「そんなの知ってどうする」
「いいえ、特には。ただ、殿下のお好みに合う方を探すのには役立つでしょう」
まぁ、ヒロインが殿下の好みバッチリのはずだから、探さなくても出会うだろうけど。
「お前と真逆、といえば満足か」
紅茶を飲みながらそう言う殿下。うん、間違いないわ。仲良くなる気が全くない。まぁ、こちらもないのだけど。
「そうですか。承知しました」
それからなんて、会話もなく、時間だけが無意に過ぎていった。そして、いつものように終了を告げる人が近づいてくる。
私はわかっているとばかりに一度頷くと席を立つ。
「それでは失礼致しますわ」
殿下は前のように呼び止めることはない。そんな殿下を一瞥すると私はそっと希望を零し、その場を後にした。
「……私が殿下を好きになってしまう前に解消してくださいませ。それも学園に入る前までにということが望ましいです」
ここまで読んでいただきありがとうございます!
次回から少し王太子視点が続きます。