表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/117

44

 “血の叙任式”


 エルキュール様のエピソードの一つ。これ以降、エルキュール様は傍に侍従を置かなくなった。


「……これだわ」


 脳に検索をかけてもヒットしなかったのに今になってふんわりと浮き上がってきたそれ。エピソードの一つとして語られるだけで詳細はわからないけど、確か叙任式に血濡れでエルキュール様が現れるというものだったはず。心ここにあらずという状態にも関わらず、ゲームのローズはそれを好機とばかりにベッタリしてたのよね。だから、ローズが魅了などを使って邪魔な侍従を殺し、エルキュール様を篭絡しただとかなんだとか言われてたっけ。その呪縛を解いたのがヒロインで、それ故に執着されるというものだったはず。

 死なせないとダメ? そんなことはないわよね。だってここはもう私にとっては現実世界で正直ゲームのことはメモを振り返らなければ忘れてるほどだもの。

 それにあんなに信頼をおいて、戯れあえる人がいるというのは幸運だもの。それを手放させるのは心苦しいわ。


「でも、隷属系の呪いは無効化すればすぐにではないけれど主人にバレるのよね」


 お父様にお願いして取り寄せてもらった呪術関係の本を読みながら、私は思考する。つまり無効化できたとしても、また呪われるか、プラスで彼が懲罰を受ける可能性があるわね。もし、勘づかれていてポロリと私の名前なんか出されたら困るわ。つまり、無効化するにはタイミングも大事ということ。恐らく、何かあるとしたら叙任式が濃厚。だって、その時から侍従の姿はなくなったのだから。自決で拡散できる呪いもかけているけれど、なぜ自決させなかったのかしら。タイミングを見ていたのはわかるわ。わかるけれど、何故事を起こしたのが叙任式だったかよ。なんでもない日に起これば、事件として大々的に扱われるのはわかるわ。むしろ、死を確定させるために叙任式を選んだ?


「成功しようが失敗しようが主人にとって関係ないのかしら。それともあの叙任式はイレギュラーだった?」


 さて、問題よ、私。何がイレギュラーだったのかしら。成功しなかったこと? いいえ、それは計算に入ってたのでしょう。では、エルキュール様が血濡れで現れたこと? 恐らく、それが正解に近いんじゃないかしら。目の前で彼が死んだと仮定すれば血濡れになっている可能性が高い。では、それはなぜそうなったの? ギルメット様の自決ではないことは確かね。自決すれば死が拡散される。つまり、現場にいたであろうエルキュール様も死んだだろうし、その付近にいた使用人たちも死んだことでしょう。けれど、それはなかった。では、ギルメット様が殺された。恐らく、これ。では、誰に? 誰かしら、エルキュール様が人を呼んだとしても、相手が確実にギルメット様を殺せるとは限らない。というよりも、ギルメット様とエルキュール様が向かい合っている中でギルメット様を殺せるかしら。むしろ、そこは無効化して取り押さえるように動くのが適切。つまり第三者が介入してのことではないように思う。


「残るはエルキュール様の手でってことよね」


 彼が自らの手で行ったとしたのであれば、心ここに在らずと茫然となっているのもわかる。ただ、覚悟を持ってやったのだとしたら、少しは持ち直していたのじゃないかしら。その覚悟を持つ前にとなるとギルメット様が自ら飛び込んだとか。一応、武器はエルキュール様が持つ形になるから自決判定はされなかった、そう考えると頷ける。イヤイヤだけど。

 恐らく通常であれば叙任式で騒ぎを起こしたともなれば、ギルメット様は捕縛の上、公開処刑や流刑になる可能性があるわね。でも、場合によってはエルキュール様による情状酌量があり、毒杯を煽ることになる。毒杯を煽る、つまり自決。なるほど、だから失敗しても問題はなかったのね。それにエルキュール様が信頼を置いていた、置かせたのはそのためか。


「こんなことを計画したのは誰?」


 十何年もの間、信頼を築かせた上でこれとかエルキュール様を壊しに来てるとしか思えない。

 どうする? お父様に報告する? いいえ、ダメよ。そんな事をしては私が黒幕だと思われる可能性もでる。それにお父様に迷惑をかけるわけにもいかない。さらには陛下に私のスキルが露見する可能性も出てくる。場合によっては一生王家に買い殺される可能性だって出てくるわ。


「ギルメット様に探りをーー入れられないわね」


 最近は特にエルキュール様は嫉妬が激しい。あれは嫉妬と言っていいのかしら。少しでも異性と話していると甘えてくる。甘えてるのかしら、どちらかというと甘やかされてる気がするわね。私が呪いのアイテムを集めてると聞けば、即座に封印された呪いのアイテムを集めてくるし、ドレスを模索してれば、似合いそうだからとドレスを贈ってくる。お茶会も最近はエルキュール様の好きなものよりも私の好みのものが増えている。お土産も渡してくるようになったわね。しかも、菓子店の物とかで私が買おうかなと呟いたのを聞けば、即座に用意させてるのよね。不用意に今欲しいものとか答えられなくなってきたのよ。えぇ、別に解消を諦めたわけじゃないわよ。諦めてないけど、ズルズルとエルキュール様の勢いに押し負けているというか、なんというか、ね。


「ゲームの強制力がないわけではないでしょうに。期待したってダメなのよ」


 そうだとしても、エルキュール様の幸せは守りたいと思ってしまうのは好きになってしまった弊害よね。ギルメット様の対策も考えなきゃいけないのに、頭が痛いわ。

ここまで、読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ローズモンドやエルキュール、イニャスのイメージ画を以下においてあります。エルキュールとイニャスはサイズの関係でミニキャラでお送りします。等身はTwitterもといXにございますので興味がある方は覗いてやってください。
















html>
ローズモンド・ジラルディエール
ココナラで四月とを様に書いていただきました。




html>
エルキュール・ヴェルディエ
html>
イニャス・ギルメット
ココナラでアトリモコ様に描いていただきました。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ