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 幻獣種というのは人とは違う感覚を持っている。いや、人よりも第六感が鋭いというべきなのかしら。


「お嬢、ちょっくら出かけてきてもよかろうか?」

「あら、何かあったの?」

「いや、何かあったのかまではわからねェ。ただ、そうだナ、ロクなことじゃねぇのだけは間違いねェだろう」


 普段は定時まで目一杯仕事をするフォルジュがそんな事を言ってきた。珍しいこともあるものねとばかりに尋ねてみれば、どこかモゾモゾとしてしまうのかしきりに体を揺すっている。


「おじょー、ルヴィ、でかける」

「あら、ルヴェールも」

「ん、もり、へん、こわがってる、へん」

「そうね、フォルジュだけでなく、ルヴェールまで異常を感じてるなら、しょうがないわね。行ってきていいわ。でも、何かわかったらすぐに連絡すること、いいわね?」

「あいヨー」

「りょ」


 返事をした二人に足として馬車も貸し出し、送り出した。領民からの相談事に特には異常と言えるようなものはなかったけれど、一体何が起こったというのかしら。幻獣種である彼らが気にするのだから、もしかしたら今はまだ異常になる前の段階かもしれないわね。用心に越したことはないでしょうし、一応魔法薬など用意できそうなものは用意しておきましょ。





 数時間後、慌てた様子のルヴェールが飛び込んできた。そして、すぐに私の手を引く。


「もり、たいへん、きて」

「ルヴェール何があったというの? 教えて」

「あれ、どく? のろい? わからない。あぶない、もの、わかる」


 毒なのか、呪いなのかはわからないけれど、危ないものであるのはわかるということね。つまり、何かが散布されたか、そういうものが現れたと言うことなのかしら。


「フォルジュはもしかして、今対応しているってことかしら」

「ん、あぶないの、りゅうしゅつ、おさえる」

「そう、わかったわ。幻獣種とて万能ではないのだから、彼に無理させられないわ」


 私はすぐに用意しておいた魔法薬を馬車に詰め込むと、ルヴェールの案内の元、その場所へと向かった。勿論、このことはお父様に伝令を飛ばしておいた。毒や呪いであれば、私がなんとか対処できるはず。熟知が上がっていないから、効果は低いかもしれないけど。

 馬車を走らせ、辿り着いたのは万年木の生える森だった。入り口はさして変わりはないのだけど、と観察していたけれど、ルヴェールがおく、おくと急かす。


「フォルジュ」

「あァ、お嬢」


 疲弊したようなフォルジュは私が来てくれたと安堵した様子だった。けれど、手で結んでいる印は崩さずにいる。


「すまねェ、お嬢。わしゃあ、今、手が離せん」

「えぇ、それが必要だと貴方は判断してるのでしょう。なら、それはいいわ。でも、何がどうなっているのか聞いても構わないでしょ?」

「あァ、モチロン、奥に天の民(スパルナ)っちゅー連中がいるンだが、今は近づけン」


 なぜ、天の民(スパルナ)がと思ったけれど、それを聞いていたら話が進まないと思い、ひとまずはフォルジュの説明に身を傾けた。

 最後まで聞いたところ、どうやら奥にいる天の民(スパルナ)が今回の騒動の原因らしい。何がどうあったのか知らないけれど、毒のような呪いのようなものを体から生成し、彼ら自身もそれに体を蝕まれている状態。そして、地面に染み込んだ毒素に関しては今現在フォルジュが土の中に直接土釜を生成し、防いでいる。本来の使い方ではないというけれど、ある意味その方法は正解だったかもしれないわね。毒素が地下水まで到達してしまっていたら、近隣の村や町にまで影響が出た可能性も高い。早い段階で彼らが気づいてくれたから、この方法が取れた。けれど、土釜を生成と言っても、フォルジュが印を解けば、たちまちなくなってしまうもの。故に、彼が保っている間になんとかしなければならない。


「フォルジュ、悪いけど、もう少し我慢してちょうだい」

「はは、わかっとるでさァ」

「ひとまず、体力の回復はしておいた方がいいから、ルヴェールはフォルジュに回復薬を飲ませてあげて」

「ん、りょ」


 勢いある看病に「おイ、そいじゃあ、飲めねェって」とフォルジュの声が飛び、「フォル、わがまま」なんてルヴェールの返答が飛ぶ。緊迫してる現場のはずなのだけどね。まぁ、あの二人はあの二人でやってるでしょう。私は私の方を考えないと。

 毒のような呪いのようなって言ってたわね。つまり、人体に多大な影響を与えるものということなのは確かね。土釜の内に手を伸ばすと頭の中で何かが警鐘を鳴らす。常時スキルが発動しているのかもしれないわね。でも、私の体には影響はなさそうね。となると、私が天の民(スパルナ)のところに行って、彼らを診た方が確実ね。ただ、言い訳をどうしようかしら。いや、すぐに私を呼んだということは私のスキルに彼らは気づいているのかもしれないわね。でも、他の人に説明するときの言い訳はやはり欲しいところ。


「お嬢、なンか、耐性を上げる薬とかはねェか? それがありゃ、いける気がするンだ」


 やっぱり、わかってるのね。しかも、私が言い訳を考えてたことにも気づいた様子。全くとジト目で見れば、フォルジュはへへへと笑う。


「耐性を上げる薬を飲んで、私が行くわ。何かあった時のために二人はその場にいて。もしかしたら、お父様が駆けつけるかもしれないけど、その時はそちらに対処してちょうだい」

「あいヨ」

「りょ」

「お嬢、すまねェな」

「領地の問題でもあるもの、気にしないでちょうだい。そもそも、貴方たちが早く気づいてくれたからこうして対処できるんだもの」


 適当な魔法薬を空け、私は土釜の内へと足を踏み込んだ。警鐘がかなり響くわね。それだけ充満しているということなのか、それだけ土が汚染されてしまっているのか。様々なことを考えながら奥に進むと倒れた翼人たちがいた。


「……さ、れ。くる……な」


 私が近づいてきたことに気づいたのね。頭に羽飾りをつけた青年が苦しそうに顔を歪めながら、そう私に向けて告げる。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


天の民との出会いはもう少し続きます。

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ローズモンド・ジラルディエール
ココナラで四月とを様に書いていただきました。




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エルキュール・ヴェルディエ
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イニャス・ギルメット
ココナラでアトリモコ様に描いていただきました。
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