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 年を越し、グラシアンお兄様が学園へと入学された。そのため、お母様と共に領地から王都へと居住を移し、そこから通うそう。そのため、王都の屋敷には人が追加で雇われ、私が王都に行った際も不自由は少なくなっていた。まぁ、お茶会に参加する格好を落ち着かせていったから、だいぶ負担は減ったと思うわ。

 落ち着かせ第一回目は今までの感覚が残ってしまっていた分、落ち着かせられなかったのよね。化粧自体は落ち着いた化粧でできたのだけれど、王都の屋敷においてあるドレスがあまり落ち着いてなかったというか。結局お茶会だというのに夜会に行くようなドレスになってしまった。それでも、やはり印象というのは変わるようで、擦れ違う方に首を傾げられたり、門番に止められてしまったりなどというプチハプニング的なことが起こってしまったのよね。殿下は目を大きく見開いて驚いたようだけど、すぐに笑みを浮かべて、いいねとおっしゃられた。えぇ、大失敗だったわ。やはり、夜会用の衣装だということもあったし、派手好きなイメージをつけてしまったのね。別に派手なのが悪い訳ではないのだけど、私好みではないのよ。

 その後、何度目かのお茶会で落ち着いた。落ち着いたというか、殿下が不機嫌そうな顔を見せることが多くなった格好を好んでするようになったというべきかしら。


「ん、あぁ、ローズ、来てたのか」

「えぇ、お茶会だったもの」


 サロンでお茶をもらいながら、考え事をしているとお兄様が顔を見せてくれた。本当なら、すぐにでも帰る予定だったのだけど、支店の用事があるためこうして滞在している。それは多分、お兄様にもすぐわかったことだろう。支店、そう、王都に小さいながらも我が商会の支店ができた。まぁ、九割はお母様と言うべきかしら。森の民(エルフ)であるルヴェールを獲得してから、化粧品作りは波に乗った。むしろ、ここまで早い段階でお母様の熱望する化粧品ができるとは思わなかったわ。フォルジュ曰く森の民(エルフ)は調合が得意なのだとか。そのおかげもあって、今現在レンズの製作が試行錯誤されている。ガラスの器なんかは早い段階から商会に卸され、販売されているのだけど流石にレンズはそう簡単にはできなかったのよね。ただ、ガラスもガラスで調合を自在にできるようになったこともあって、以前よりも断然いいものが作れているらしくルヴェールはとても楽しそうに過ごしている。そして、その分、私に還元しようとレンズ製作に力を入れてくれてる。無理はしないでほしいけど、その気持ちは嬉しいわよね。

 で、資金も潤沢になり、支店を出そうとなって、お母様が王都に出してちょうだいと一言。これで、決定されたの。言ってくれたら送るのにと言ったのだけど、宣伝ならば店を利用する方が効果的でしょとの言葉に負けた。確かに娘が贈ってくれたのと言うよりもどこどこで買ってるのよと言われた方が、どこで売ってるのかわかりやすいし、紹介の方に興味を持ってもらいやすい。お母様の負担も考えたいけど、商売人として、お母様の提案はすごく嬉しかったのよね。

 お母様のおかげもあって、支店も順調に名前を広げているらしい。本当にお母様様ね。


「今年の夜会はどうするんだ?」

「どうするも何も仕事次第ね」


 そういえば、デビュタントしてなかったわね、私。正直なところ今更なところもあるし、別に興味はないのよね。だから、仕事の方を取れば、お兄様は苦笑い。多分、お父様も領での仕事をとると思うのだけど。


「いや、うん、ローズは父上の子だよ」

「あら、当然でしょ。何を突然」

「いや、常々思ってたことだよ。それよりも、噂話は聞いた? お喋り雀達は中々面白い話をしてたぞ?」

「あぁ、あれね、聞いたわ」


 お兄様のいう噂というのは私に関わること。その噂というのはジラルディエール公爵令嬢は婚約解消されたのではないかという話。全然されてませんけど? されるようにしてるのに進展してないのだけど? 言いたいことは多いけれど、そう噂される理由は私が落ち着いた格好をするようになったということにある。同一人物って思われてないのよね。最初の方は門番の方に何度も尋ねられたわけだし。


「そもそも、隠してもないのだから馬車の紋を見ればわかるでしょ」

「紋を見ても公爵家の馬車としかわからないからじゃないか。中身が何かなんて降りてこないとわからない」

「あら、他人に貸すほど紋入りの馬車って安くないはずよ?」

「そうだよ。当然じゃないか。紋入りの馬車というのは家の顔でもあるからな。それがわかってないんだ」


 別の背格好の似た女性を紋入り馬車で送り届ける。下手すれば王家を謀る、侮辱行為と言われてもしょうがないこと。それらを噂話としてピーチクパーチク囀るもの達がいる。お喋り雀の存在は知ってるけど、随分と暇人よね。それでお金をもらってるのもあるでしょうけど。


「黙らせるのなら、夜会に出席した方がいいと思うが」

「あら、勝手に囀らせておけばいいんじゃないかしら。後でバカを見るのは信じた方よ」


 まさかの夜会に出させるための口実に噂を使ってくるなんて思わなかったわ。でも、そこは勝手にすればいいと思うの。だって、後になっていかに公爵家をコケに、侮辱していたか知っても遅いんだもの。


「まぁ、それもそうだな。うん、お前を夜会に出そうとするのは諦めよう。代わりに面白いものが見られそうだし」


 ソファに体を沈め、笑うお兄様。え、なに、面白いものって。気になるのだけど、そこを聞いたら、負けな気がするのよね。

 結局、夜会には出られなかった(・・・・・・・)。領と商会でいろんなことがあったのよ。あったから、その後始末に追われて、私とお父様は出席することができなかった。


「いやー、あそこまで陛下と殿下がしょんぼりするとは思わなかった」


 そう言うのはお父様の代わりに出席したお兄様の談である。

ここまで、読んでいただきありがとうございます。

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ローズモンドやエルキュール、イニャスのイメージ画を以下においてあります。エルキュールとイニャスはサイズの関係でミニキャラでお送りします。等身はTwitterもといXにございますので興味がある方は覗いてやってください。
















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ローズモンド・ジラルディエール
ココナラで四月とを様に書いていただきました。




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エルキュール・ヴェルディエ
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イニャス・ギルメット
ココナラでアトリモコ様に描いていただきました。
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