21
男爵区に再度の訪問。まぁ、今回は男爵の屋敷に一直線なのだけど。馬車は勿論、罪人を運ぶ護送車もあってか、道行く人たちは少々ばかし私たちが気になる様子。護送車の中では襲撃犯たちがゲラゲラと笑っていると報告を受けている。薬でもやってるのかしら。
「それでは、いきましょうか」
屋敷に到着すると当然ながら、門番に停められる。
「男爵様にお会いしたいのですが、よろしくて?」
「先触のないものを通すわけにはいかん」
「まあ、当然ですわね。でも、そうね、赤毛の娘が来たとでも伝えてくださる?」
「……伝えたところで通さんぞ」
「構いませんわ。伝えていただけるだけで十分ですもの」
ふふふと笑う私を不審に思いながらも門番の一人が男爵に伝えに行く。多分、男爵も私に会いたいと思ってくれているはずだからとしばらく門の前で待っていると伝えに行った門番が戻ってきて、通れという。
「男爵様が寛大なことに感謝することだ」
「あらあら、そうですわね」
普通、子供にそんなことを言ってもしょうがないでしょうに。まぁ、喋りや立ち方振る舞い方でそうは思えなかったようね。子供らしくなんてできないもの。
ひとまず、許可も得たということで馬車をつれ、護送車も共に敷地内に入る。護衛たちに襲撃犯たちを下ろしてもらい、彼らも連れて屋敷に入る。中で執事が私の顔を見てギョッとしていたけど、シーッと人差し指を唇に当てれば、恭しく頭を下げられた。優秀な人材はいたのね。きっと彼だけでは止められなかったのかもしれないわ。でも、その点は終わってから要調査ね。
「こんにちわ、赤毛のお嬢さん」
「初めまして、男爵様」
簡単なカーテシーを披露して、応接室で待っていた男爵に挨拶をする。うん、しっかり搾取しているようでとっても肉つきがいいわ。
「ちょうど、お嬢さんを探していたので来てくれるなんて嬉しいよ」
「あら、探されてましたのね。それは失礼致しましたわ」
「ああ、不当に工房の人間を連れ去ってくれたようでね」
「彼らのことかしら?」
ニコニコというけれど、あれね飛んで火に入る夏の虫とでも思ってるのかしら。残念ね、どちらかというと虎穴の方ね。
工房の人間をということで、襲撃犯たちを前に出したのだけど、彼らじゃありませんと返答。愕然とする襲撃犯。そりゃそうよね、ずっと信じてたもの。まぁ、男爵からしたらこんな下っ端よりルヴェールの方が重要なんでしょう。
「罪人という人物をご存知でしょう」
「罪人? あぁ、ルヴェールのことね。彼がどうかして?」
「惚けるのもいい加減にしなさい。彼を誘拐したのはお前だろうが!!」
「いいえ、誘拐だなんてとんでもないわ」
本性を出してきたわね。私に怒るさまは鬼のようだわ。でも、その表情に驚きはしたものの私は普通に答える。だって、誘拐なんてしてないもの。
「どうせ、工房のご主人もいらっしゃるのでしょう」
そういうと男爵の合図で長椅子の後ろから主人も出てくる。その瞬間、襲撃犯たちが「頭っ!」と叫ぶのが聞こえた。頭、頭って、盗賊団じゃないんだから、せめて長にしなさいよ。はぁと溜息を吐きたくなるのだけど向こうは平然としてるからいつものことなのね。
「ご主人も出てこられたことですし、お話しましょうか。そもそもですね、なぜ、誘拐になってるのでしょう? 私はきちんと手順を踏んで彼を貰い受けたのだけど?」
「そんなのは知らん。男爵様、この娘が現れてからアイツがいなくなったんだ」
「こっちはこう言っているが? 儂は勿論、我が領地の民を信じる」
にちゃあと笑う男爵。もしかして、ここを男爵領だと思われてる? ただの任された土地なのに。
「貴方の領地? 不思議なことをおっしゃいますのね」
「何も不思議なことはない! ここは儂のものだ! 儂が何をしようとしても許される!」
「許されるわけがないだろう。ここは私の領地だ」
低い声が応接室に響く。
「お父様、早いです」
「すまんな、聞いてられなくなった」
「まぁ、領主としては当然の反応ですわ」
私の影からぬっと現れたのはお父様。その背にはキバチが隠れてたけど。なぜ、お父様がキバチのスキルと同じことができるかというと、キバチの固有スキルは熟知が上がると触れている人も共に潜むことができるようになるみたいなのよね。だから、今回はそれを利用させてもらった。
領主という言葉に襲撃犯と工房の主人は首を傾げている。そして、男爵は目を見開いてお父様を見ていた。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!!
お、わ、ら、な、い







