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毒、呪い無効。
王家が欲しがる理由がわかるわ。体の一部さえ触れさせておけば、毒を入れられても無効化できるし、呪われても効かない。王や王太子など守るのにこれ程適したスキルはないでしょう。
伴侶がこのスキルを持っていれば、ずっと触れていても不思議なことではない。そう、ずっと触れていても不自然じゃない。
「まだ、まだ、王家には知られてませんよね」
「まだ、な。しかし、それも時間の問題だろう」
「いえ、それまでに解消してもらえば、大丈夫でしょう」
じゃなきゃ、私の精神が保たない。というか、そう言うことね。なぜ、ずっとルヴェールが手を離さないのだろうと思ってたけど、また呪縛に囚われるのを嫌っていたからだったのね。恐らく、彼は無意識だったのだと思うけど。
「まぁ、この話はひとまずおいておこう」
「おいておかれたらも困る話ではあるのですけど」
「先にするべきことはしなければならんだろう?」
「そうですわね。鉄は熱いうちに打てと言いますし」
「そう言うことだ」
実はというと男爵区からの帰宅途中、我が馬車は襲撃された。勿論、私やルヴェールたちには傷は一切ない。けれど、襲撃されたのは事実。当然ながら犯人たちは捕縛し、牢へと入れた。男爵には任せられなかったので本区の牢。だって、口裏を合わせられると困るし。牢に入れられた襲撃犯たちはこう言った。
『商人ごときが俺たちを牢に入れるなんて、男爵様が黙ってないぞ』
そう、ね。でもね、普通に襲撃されたら商人であろうとなかろうと襲撃犯を牢に入れるでしょう。どれだけ男爵とやらかしてきたのかしら。どう考えても余罪は多そうね。だからこそ、お父様の言うように今がちょうどいいというわけで。
「ひとまず、私が先に乗り込みますね」
「待ちなさい。乗り込むな。先んじて話し合いにとでも言いなさい。まぁ、概ねそれで構わないのだが。必ず騎士を連れて行くように」
「えぇ、勿論ですわ。冒険者の格好でもさせておきます」
「いや、そこまでやる必要はないだろう」
「そうです? でも、攻め手が多いほどいいじゃありません?」
「うーん、まぁ、そうなんだが。そうだな、騎士たちが良いと言うのであればそうしなさい」
「はい、お父様。承知いたしましたわ」
彼らが良いと言うのであればと言ったけど、連れて行くのは元冒険者の騎士たちだもの、無理とは言わないでしょう。
「昔の服、着れっかなぁ」
「大丈夫大丈夫、らしく見えてりゃわからんて」
ノリノリで準備してくれるみたい。流石ね。それから、数日後には牢から襲撃犯たちを出す。そうすると彼らは出されることが当然だと笑った。あら、何を勘違いしてるのかしら。
「これから男爵区へと向かいます。男爵様が助けてくれるといいわね」
「ははは、小娘にはわからんだろうが、男爵様は助けてくれる。商人のお前なんかよりも偉い貴族様なんだからな」
ふふふと私が笑えば、虚勢だと思ったのだろう彼らはより胸を張る。貴方たちが慕う貴族様より私の方が偉いのだけど。後ろでは冒険者に扮した騎士たちが苦笑いを浮かべていた。そうでしょうね、彼らは私がどういう位置にいるのか知ってるんだもの。一応、この世界では貴族の子息子女であってもそれなりの地位がある。公爵家の子供となれば伯爵くらいの立ち位置になる。つまりこの時点でも私の方が立場が上なの。まあ、貴族名鑑には王族であれば子供の頃から名前や肖像画が記録されるだろうけど、公爵家以下は子供の詳細は出されない。様々な要因で増えたり減ったりするからみたいだけど。だから、男爵が私を知らなくても当然と言えば当然。でも、公爵領の一部とはいえ、土地を任されているのだから、把握していてもおかしくはない。
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おっかしいなぁ。なんでだろう。







