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数日、男爵区で過ごした。理由はあるのよ。調査という理由が。まぁ、あとはルヴェールの身なりなんかも整えてあげたかったのもあるわね。
「今日もうろついてるわね」
「えぇ、向こうとしてはどうにかして取り戻したくてたまらないのでしょう」
泊まっている部屋の窓から外を覗けば、こちらをジッと窺っている影。数日前にみた工房の主人の姿も時折彼らに合流しているのが見えたから、工房の人間であるのは間違い無いでしょうね。まぁ、彼らからしたら折角の金蔓がいなくなってしまったのだから当然と言えば当然ね。でも、こちらとしたら鬱陶しいことこの上ないのもまた事実。
姿を変えてなくてもそれほど人目に出ることはなかったから気づかないのね。多分、そこらにいる商人の娘もしくは赤毛の娘ぐらいにしか思ってないのでしょう。まぁ、ネタバラシはまだするつもりはないのだけど。
「工房のやつが何度か男爵邸に出入りしている。そこで赤毛の娘がだのと話していたから繋がっているのは間違いない」
「あら、そう。助かるわ」
キバチもある程度の情報を仕入れてきたことだし、そろそろここは引いたほうがいいわね。そうと決まればさっさと帰りましょう。もう、ここにはお父様とくるだけでいいわ。
お父様たちが屋敷に帰宅。私はお父様に留守の際にあったことを報告する。まぁ、ギーあたりから報告はいっているでしょうけれど、私の口からも大事よ。
「男爵区の工房より引き取ったルヴェールは現在フォルジュに指導を受けています」
フォルジュというのは我が商会のもつ工房を仕切ってくれている幻獣種土の民。体型はよくあるイメージのずんぐりむっくりな体におヒゲもじゃもじゃ。髪は一般的によく見かける焦げ茶。ただ、目は土の民特色らしくアンダリュサイトのような色がくるくるの変わる不思議なもの。そんなフォルジュにルヴェールを紹介したら「お嬢は幻獣種に好かれるんスな」と豪快に笑われた。どういうことか尋ねればルヴェールはフォルジュと同じ幻獣種とされる森の民なのだとか。なるほど、だから、試しにガラスを作ってもらった時とか魔法の使い方が人間離れしていたわけね。それに今思えば目がフォルジュのように不思議だった。彼が幻獣種であることも勿論、お父様に報告した。頭を抱えられていたわ。
「幻獣種を不当に扱っていたとはな」
「まぁ、私も幻獣種とは戻るまで分かりませんでしたし、世間一般の認識では分かりづらいのでしょう」
「いや、不当にというのは名前で縛っていたということだ。彼らは名前で縛られるとそこから動けなくなる」
「なるほど、そういうことでしたか。であれば、縛っていた名というのは“罪人”ということでしょうか」
「恐らくそうであろうな」
「それはなんで解除されたのでしょう? 私は特に何もしておりませんが」
首を傾げた私をお父様はちらりと見て、大きな溜息を吐く。それ、少々、失礼ではありませんか?
「お前の固有スキルだ」
「はい? 発現した記憶がないのですが」
「記憶がないのは当然だろう。恐らく発現したのは高熱で魘されている時だ。主治医がもしかしてと鑑定をしたら、でていたらしい」
「私には知らされておりませんが? 普通、本人にいうべきものではありませんこと?」
「まぁ、そうなのだがな。お前のは正直言うと、王家が喉から手が出るほど欲しがるものだ」
ひくりと口の端が引きつった気がした。王家が欲しがるということは解消の道がなくなることを意味するもの。当然の反応でしょう。でも、王家が欲しがる能力って?
「まぁ、この際だ、知っておいたほうがいいだろう。ローズ、お前の固有スキルは常時発動式の毒、呪い無効だ。対象はローズ自身とローズが触れているもしくはローズに触れているものだ」
「…………最悪じゃないですか」
ここまで読んでいただき、ありがとうございますヽ(=´ω`=)ノ
昨日、嘘言った。ごめんなさい。もう一話ほど続くわ。幻獣種とローズの固有スキルを入れてたらわかってたことだけど増えた。
ちなみにこのローズの固有スキルがあったために00ではエルキュールに魅了がかかってませんでしたまる







