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もしも死んだなら

作者: くろたえ

黒森 冬炎 さま企画

「劇伴企画」


「G線上のアリア」と共に


彼が言った


もしも自分が死んだなら

葬式無用

戒名不要

墓いらぬ

寺の坊主を喜ばせるな


身体は良く焼けと言っておけ

灰はどこぞの海に撒けばいい



彼は言った


もしも自分が死んでも

参列者不要

涙無用

飯いらぬ

酒など出して喜ばすな


寝床は段ボールで良い

どうせ焼け消えるものだ



お前が泣いてくれれば

それだけでいい

そして火葬場でG線上のアリアを流しておくれ


絶対会おう

来世で会おう

もっと早く会おう


そして長い時間をその世界では共に過ごすのだ



私は願う

その時が少しでも長く後に来れば良いと

願う私はあなたを苦しめているのだろうか


G線上のアリアを聞くあなたを

心を乱して見ているだけ






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― 新着の感想 ―
[良い点] 古い歌ですが、さだまさしの「関白宣言」をちょっと思い出してしまいました。 でも、勿論、「G線上のアリア」で読みましたし、すごく合っていると思います。 ひょっとして、この主人公は亡くなった直…
[良い点] 去る者ももちろん寂しいのだけれど、残される者はもっと寂しいんですよね。
[良い点] はじめまして。 黒森 冬炎様〜劇伴企画〜より参りました。 夫婦二人の互いを思いやる気持ちに心が締め付けられました。 G線上のアリアが脳内再生され、思わず涙が。 素敵な作品を読ませていた…
2021/06/30 06:39 退会済み
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