別れの夢
家紋 武範様主催『夢幻企画』投稿作品です。
思い付き短編! 字数的に私の最短記録ではないでしょうか。
夫婦ものです。私の作品を知る方なら『お、また甘々か?』と思われる事でしょう。ふふふ……。
ちょっとした合間に読めるストーリーになっていますので、よろしければお暇つぶしにお使いください。
「君の事が好きだ」
「僕と、結婚、してくれないか?」
「……愛してる」
「仕方がないんだ、分かってくれよ……」
「じゃあな」
私はそこで目が覚めた。
隣の冷たさに夫のいない現実を突きつけられる。
幸せの思い出、そして別れの場面。
これじゃあまるで走馬灯だよ。
夫はその一言だけ残して、三日前に家を出て行った。
毎日見てるはずの扉が、やけに冷たく見えた。
待って、行かないで。
あの背中に泣いてすがっていたら、何か変わったのかな。
そんな事言えるはずもない。
あの人の事情だって分かっている。
だからこそ辛い。
この気持ちはわがままだと分かっているから。
会いたい。触れたい。
離れたからこそはっきり分かった。
大好き。愛してる。
あの人なしの人生を生きていける自信がない。
「!」
扉が開く音! 夫だ! 帰って来てくれた!
寝巻きのままでベッドを飛び降りる!
言おう。伝えよう。この気持ちを。
三日振りのその胸に飛び込んで!
「お帰りなさい! 会いたかった! 愛してる!」
私の涙ながらの言葉に、夫は呆れたような声を出す。
「おいおい、二泊三日の出張がそんなに寂しかったかい?」
読了ありがとうございました。
はい、大方の予想通り甘々でした。
「騙された!」でも「やっぱりな!」でも書き手としては嬉しいので大丈夫です。無敵です。
企画のテーマがシンプルなのを良い事に、好き勝手書き散らしてる感もありますが、またお付き合い頂けたら有り難いです。
よろしくお願いいたします。