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1.平穏な時間

1.平穏な時間


伊井 香 は迷っていた。

会社に出勤する時間なのだが…過去を少し変えてしまったから。

しかも橋本会社の社長 橋本 亘と安野 丈 の父親が轟刑部に逮捕されてしまったから橋本会社が存在するのかも分からない。心を寄せる安野 丈 は社員として存在するのだろうか…とにかく不安だった。

しかし考えていても仕方がない。勇気を出して出勤してみた。

会社は存在していた!

15階建てで色も形も全く同じだ。

しかし…名前が違う。

「吉田製造会社」と書いてある。

伊井 香 は歩道の真ん中で、その看板を眺めながらボーっと立っていた。


真理

「ちょっとアンタ、なに田舎モンみたいに上を眺めて突っ立ってるのよ!普段は陰が薄いのに道の真ん中で邪魔よ!」


と小田 真理が伊井 香 を詰りながら吉田製造会社と看板が掲げられた、その建物の中に入って行こうとした。


「あっ!小田さん。」


真理

「なによ!気安く呼ばないでよ。」


「ゴメン…なさい。あっ、あの…。」


真理

「もう、なによ!言いたい事があるならハッキリ言いなさいよ。」


「あっ…ごめんなさい。私…私は…ここの会社の社員ですか?」


真理

「はっ?アンタ、頭は大丈夫?陰が薄くてもアンタは、ここの社員よ!先週も吉田(ヨシダ) 清蔵(セイゾウ)社長と会議をしたでしょ!どーでもいいから、さっさと中に入りなさいよ。」


と言いながら入って行った。

その後、直ぐに浦道 徹も入って行った。

伊井 香 は吉田 清蔵社長って誰?と思いながら続いて中に入って行こうとした。すると後ろから声を掛けられた。安野 丈 だった。


「伊井さん。おはよう。今日の夜って空いてる?」


「えっ!?」


伊井 香 は突然の事にビックリして立ち止まった。

安野 丈 は先にエレベーターに乗ると伊井 香 を手招きして伊井 香 が乗ったのを確認すると6階のボタンを押した。

エレベーターの中は二人きりで伊井 香 が恥ずかしそうに俯いていると安野 丈 が話し掛けてきた。


「伊井さん。今日の夜って予定ある?もし予定がなくて空いてるなら一緒に食事でもどう?」


「えっ?!わ、わ、私と食事?…みんなと?」


「ううん。俺と伊井さんの二人きりで。嫌?ダメかな?」


「い、い、いえ、いえ、嫌じゃないです。わ、わ、私でよ、良ければ。」


伊井 香 は心臓が爆発してしまいそうなくらいドクドクと早くなって頭の中が真っ白になっていた。


「本当!良かった。断られたら、どうしようかと思ったよ。それじゃ会社が終わってから5時半に会社の1階で待ち合わせしよう。」


「は、は、はい。わ、わ、わ、分かりました。」


「じゃあ今日の新作RPGの完成発表会は頑張るよ。」


「ゲーム?うちの製薬会社で?」


「ん?製薬?伊井さん…大丈夫?うちの会社はゲームソフトの会社でしょ。まだ寝ぼけてるの?」


安野丈は笑いながらエレベーターを降りて広報課と書かれた部屋に入って行った。

伊井 香 は周りをキョロキョロと見渡した。前と変わらない見覚えのある配置だった。

違うのは周りの壁に全く見たことの無いゲームソフトのポスターが貼られている事だった。

伊井 香 は、まるで浦島太郎になった様な気分だった。

でも仕事を始めたら全く分からない仕事なのに…体が勝手にテキパキと仕事を熟していった。

伊井 香 は、そんな仕事の傍ら安野 丈 に二人きりで食事に誘われた事を考えると最高に嬉しかった!


しかし平和は長くは続かなかった…災難は突然やって来る。

誰かが廊下で騒いでいる。

その男は、よりによって広報課の部屋に入って来た。


「チキショー!この俺をバカにしやがって!爆発させてやる!この会社を爆発させてやる!この会社の人間は全て殺してやる!よくも、この俺を不採用にしやがって!全て壊してやる!」




つづく


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