2.過去
2.過去
女神
「私の本当の名前は大賀根 望代って言うの。
私の両親は大賀根病院という結構大きな病院を経営していたわ。
父親が院長で母親は理事長をしていたの。
私が小学6年生の時に事件は起きた。
私は両親に隠れて一人でよく院長室で遊んでいたの。
その日も院長室で遊んでいたら両親と、お客さんの男2人が入って来たわ。
私は咄嗟に隠れた。
4人は私に気がつかないで話を始めたわ。
内容はガンの新薬をウチの病院で先行契約したい、って言う事だったの。
男達はデータと新薬を持って来ていたわ。
そのデータには素晴らしくいい実験結果が記載されていて父親と母親はビックリしていたわ。
それで、両親は何の疑いもなく多額な金額で契約をしたの。
だけど、そのガンの新薬は患者さんに半年間投与しても何の効果もなくて…両親は怒って2人を呼び立てたの。
両親の怒りは凄まじかったわ。
私は見た事もない両親の怒っている姿に縮こまって話を盗み聞きしていたわ。
でも2人の男は笑っていたの。
激怒した父親が立ち上がった時、男2人が両親に向けて催涙スプレーを浴びせたわ。
その後クロロホルムを嗅がせて両親を眠らせた。
そして…病院に火を放ったのよ!
男2人は笑いながら病院を出て行ったわ。
私は必死に両親を揺すり起こしたけど…二人は起きてくれなかった。
火の廻りが思った以上に早くて…私は遠ざかる意識の中で両親の復讐を誓ったわ!
あれから私は憎い男二人を探した。
そして見つけたの。
1人は橋本会社の社長、橋本 亘。
お嬢さん!アナタの会社の社長よ!
そして、もう1人は…安野 丈 の父親よ!」
香
「そ、そんな…ウチの会社の社長と安野さんのお父さまが。
そんな、そんな酷い事を。そんな…そんな…」
女神
「あら。私が嘘を言っているとでも思っているのかしら?失礼ね。
アナタに同情してもらいたくて作り話をするような、そんなセコい真似はしないわ。
それに、もう一人、証人がいるわ。ねっ臨。いえ!岡 絵理」
香
「証人?ど、どう言う事?!」
伊井 香 は臨を見た。
女神
「私と絵理は姉妹なのよ!」
香
「えっ?!」
伊井 香 は分からないと言った様子で再び臨を見た。
臨は静かに頷いた。
轟刑部
「おいおい、まず、お前は女だったのかよ!?」
臨
「えぇ。私の名前は岡 絵理って言うの。女神、いえ 望代が言っている事は本当。
私達は姉妹。望代は私の4歳上の姉。だけど私は大賀根の院長の愛人の娘だけどね。
私の母さんは病院が火事なのを知って私を連れて直ぐに大賀根病院に駆け付けた。
しかし病院は殆ど全焼。望代の父さんと、母さんは残念ながら焼死していた。
その中で全身に火傷を負いながらも奇跡的に望代は助かった。
だけど意識は無かった。そんな望代を私の母さんは懸命に看病をしたの。
当時、母さんは大賀根病院の看護師だったから。
その看病の甲斐が有って望代は意識を取り戻し、それから私達姉妹は一緒に暮らし始めたわ。」
女神
「絵理も絵理のお母さんも私に本当に優しく接してくれて、その頃は本当に楽しかったわ。
復讐なんて忘れていたぐらいよ…だけど…再び 丈 の父親と出会ってしまったのよ!」
つづく