1.過去
1.過去
牧刑事
「おい!本当に伊井 香 をそっちに連れて行けば真理に逢わせてくれるんだろうな?真理を蘇らせてくれるんだろうな?」
牧刑事は伊井 香 の頭に銃を突き付けて女神に叫んだ。
女神
「あら、本当よ。この私が嘘を言うわけないじゃない。早くお嬢さんを、こっちに連れていらっしゃい!そうしたら直ぐに小田 真理に逢わせてあげるわ。」
臨
「騙されちゃダメよ!幻想を見せるだけ」
牧刑事
「うるさい!お前は黙ってろ!」
臨の言葉を遮るように牧刑事は臨に怒鳴り前の結界から伊井 香 を連れだした。
女神
「牧さん、あなたは本当に良い人ね!幻想じゃなくて本当に小田 真理を今、蘇らせてあげるからね。」
女神は優しい微笑みを浮かべながら牧刑事に言った。
牧刑事は恍惚な表情を浮かべ素直に頷いた。
そして女神が小田 真理を蘇らせようとした時、前が結界を解いて臨、在、陣が攻撃を仕掛けた!
直ぐにパーァンという音が響いた!
臨達は攻撃を直ぐに止めた…
牧刑事が伊井 香 に発砲していたのだ!
伊井 香 は崩れた…
牧刑事は凄い形相で怒鳴った!
牧刑事
「お前等!なんで邪魔をするんだ!次は本当にコイツを殺すぞ!」
伊井 香 を撃った弾は脇腹を掠めただけだったが顔は激痛で歪んでいた。
そして牧刑事は嘘じゃない、と言わんばかりに、また銃を伊井 香 の頭に突き付けた!
そこへ直ぐさま黒づくめのエリートサラリーマン風の男が前に攻撃をしかけて来た。
前は一瞬の出来事に動けずに、その場に倒れた。
臨
「…前!」
陣
「前?!」
在
「…?…?!」
前の全身は何万匹もの黒い虫に覆われていた。
前は激しく藻掻いていたが、直ぐにピタリと動かなくなった…
轟刑部
「な、な、なんだ?!この得体の知れない虫は?!…いつ、どこから湧いて来たんだ?」
轟刑部は前の一番近くにいたにも関わらず何が起きたのか全く分からなかった。
一体、エリートサラリーマン風の男は何をしたのか?
エリートサラリーマン風の男と前の距離は、かなり離れている。
むしろ臨達の方がエリートサラリーマン風の男に近い。
臨
「前!今、助けてやるから!」
陣
「臨!動くな!」
陣は臨を制した。
臨達の足元に一般には見えないが、何やら動めく物が無数にいた。
見えないのではなく保護色になっているのだ。
足元の正体は前を覆った黒い虫だった。
エリートサラリーマン風の男
「フッフッフ。どうだ俺が作った虫は!可愛いだろう。コイツらは敵に襲われないように、どんな所でも保護色になるのさ。でも獲物に食らい付いたら黒くなっちまうのさ。コイツらの毒は強力だぜ!一匹でスズメバチの一千倍の毒を持ってるからな。少しでも噛まれたらアナフィラキシーショックを起こして死ぬのさ。最高だろう!」
エリートサラリーマン風の男の言葉に誰もが沈黙していた。
そんな中、伊井 香 が苦痛に顔を歪ませながら女神に問い掛けた。
香
「なぜ?なぜ、あんな事をするの?アナタは本当に素晴らしい能力を持っているじゃない!なにが目的なの?」
女神
「復讐よ!」
香
「復讐…?、何に?誰に?」
女神
「良いわ。話してあげるわ。私の過去を…」
つづく