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ソラとシロ  作者: なたでここ
11/12

侵入者(続き未定)

 旅の途中で、旅商人から珍しい花が咲くと言われた代物を頂いた。

 旅商人はもらったものを使って栽培しようと試みたのだが、うまくいかなかったという。このまま持っていても売れるかどうか定かではないのでということなので、俺達がもらうことになった。

「うまく咲いたら高く買ってやるから」

 そう言って、旅商人と別れた。

 次回に会うのは相当先だろう。なぜなら、泊る予定だった町から入れ違いになる形で出て行ったのだ。旅商人の仕事時間は終了し、次の町へ向かった後、俺たちはしばらくこの町で滞在することになるため次に会うのはいつごろかというわけだ。


 シロたちが滞在予定となった町は田んぼや畑が7割を占め、建物が白く豆腐のようなつくりで町の中心に集合する形で存在していたのだ。

 シロたちはその町で最初に尋ねたのは宿屋だ。

 農作物の土地で今まで、宿屋があったところは一件から二件と少なく、どこかしらも二人で泊まるには狭くて落ち着きがいかなかったからだ。

 ここも、そうでないことを祈りながら宿屋に訪問した。


 すると宿屋の主人は心ゆく部屋を案内され、二人ともあってかツインと呼ばれる二人部屋に案内された。そこは窓辺でベランダもある。風呂とトイレ付きの少しゴージャスな部屋だった。

「しばらく泊まりたいんだが、お代はいくらだ」

「一泊70ベルだ。何日ほど泊まる?」

「七日だ。できれば十日ほど泊まりたい。できるか?」

「ああ、構わない。700ベルだ。前払いだ」

「わかった」

 700ベル支払い、部屋についた。


 窓辺に買ったばかりの鉢植えに主人からもらった栄養豊富な土を20ベルで購入し、ソラが嬉しそうに窓辺に飾りながら準備をしていた。

 シロは荷物を整え、部屋にあったタンスの中へしまい込み、ソラに声をかけた。

「仕事探してくる。用があったらテレパシーで伝えてくれ」

「わかったー!」

 部屋から出たシロは一階にいる主人のもとへ向かった。

 鍵を閉め、ひとり部屋に残るソラを心配しつつシロは旅の終点までの費用を稼ぐために出て行った。


 シロが就いた仕事は、畑を荒らす害獣の駆除だった。

 主なモンスターの名前は上げられないが、それはとても繁殖力が高く、一日でも目を離しただけで90メートル以上の畑が食われてしまうらしい。そんな害獣を駆除しつつ、食糧費と宿代を浮かすためにシロは魔法を躊躇なく使った。


 この町はまだ魔女や魔法使いの恐ろしさは伝わっていなかった。

 それは暇になったソラが宿屋の主人に尋ねたことで初めて知ることになった。

「この町はね、山付近にあることもあって毎晩モンスターが行列になって町を襲ってきていたんだ。主に農作物を狙ってね。ある時、モンスターの被害を聞いた魔女がこの町にやってきたのさ。魔女はフゥーと息を吐くとたちまち町は結界に覆われ、モンスターたちが攻めてこなくなった」

「いい魔女さんだね」

「そうだとも。それで、魔女を称えて銅像を作った。その後、魔女の噂を知った騎士や魔法使いが訪れたが、騎士は魔女を称えるのはよくないと批判してきた。一方で魔法使いは魔女の後見人ともいわんばかりに魔法を使って豊かにしようとしてきた」

「それでどうなったの!?」

「騎士は証拠がないからと言って、この町から去った。魔法使いたちは魔法を使っていろいろとこの町にとって嬉しいことを施してくれた。旅芸人のようにね。おかげでこの町は今でもモンスターに襲われずに済んでいる。まぁ、外部からの侵入はないが……」

 意味深な締めくくりにソラは頷いた。シロが仕事と言っていた点に少し思い当たる節があることに気づいたからだ。

 それから兄弟の話へと流れていった。

「二人は兄妹なのかい?」

「そーだよ。でもね、正しくは違うの。ママが一国の師範代だったの。その師範代に唯一弟子だったシロ。ママいわく、『兄妹みたいだ』って言ったことから兄妹になったの」

「ふーん…なるほどね。それで今は旅をしている理由を聞いてもいいかな」

「本当はシロがダメだって言っていたんだけどさぁ。裏切りがあって、国を他の国から滅ぼされそうになったの。危機を知ってかママとシロは、遠い場所まで逃げてきたの。でもね、ママは裏切り者を始末するって言って、それっきりなの」

 深刻そうな顔になりつつ主人は皿を拭きながら聞いた。

「寂しくないのかい?」

「寂しいよ。でもわがままは言えない。わがまま言ったらシロが困ってしまう。あたいは約束したんだ。シロとママは今は連絡が取れない状態だけど、いつかきっと会えるからって。それにね……」

 開いた口が間を開けて閉じた。

「……言いたくなかったら別に無理に話さなくてもいいさ」

 食器を引き出しにしまい込み、主人はジュースを奢ってくれた。

「人には何かと隠し事があるし、寂しい事なんてザラだ。シロっていう兄もきっと…」

 ジュースに口を当て、飲む。

 ゆっくりと口の中に甘く酸っぱい味が広がっていく。

「大変だーー!!」

 扉を大きく開け、若い男が慌ただしく入ってきた。

「どうした!?」

「モンスターが侵入してきた――」

「なに――!?」


 モンスターが侵入してきたことなんて五十年なかった。結界が穴が開いたことなんて一度もない。だが、どこから入ってきたのか定かではない。

 主人とともに若い男の人が宿屋から出て行った。ソラはシロに言われたとおり、宿屋から出ることはせず、部屋に戻り植木鉢を覗き込んだ。

 そこには蕾ができていた。まだ植えて間もないというのに。


 主人たちが向かった先はシロが仕事をしている反対方向の南側だった。

 そこは山から流れる川があり、そこから侵入したのではないかという若い男の推測だった。

「ここから侵入した形跡があります」

 地面に濡れたモンスターの足跡がくっきりと残されていた。その足跡は5,6体ほど。倒したとされた数は4体ほど。まだ1,2体は残っているということだ。

「このことは、皆に知らせたのか!?」

「はい。みんなは各自畑に見に行っています。北側は魔法使いがいるので、何ともないと言っていましたが……」

「不吉だ」

「はい?」

「すぐに戻って会議だ。今晩は、旅で疲れているかもしれないがあのシロとかいう魔法使いも呼んでくれ。一大事だ」

「わ、わかりました!」


 その夜、急きょ会議となった。

 時間は夜の10時を回っていた。

「みな、済まない。一大事だ」

「その話は聞いているよ。俺のところにも報告があった」

「川からモンスターの侵入があった話だろ」

「そうだ。話は早い。魔法使いさん。急きょこのような場所に呼んですまなかった。俺らとで重大なことなんで、いま解決できるのはあんたしかないからな」

「できれば、ソラにも話してもらっていいか?」

「ソラ…ああ、あの子かい。でもいいのか? 妹なんだろ」

「本当の兄妹じゃないし、それに、あの子の方が俺よりも数十倍強いからな」

 誇らしげにシロは語った。あの子がどれくらい強いのかを。

 その場にいた住民たちに説得するに至ってはその子を否定するものはいないぐらいだった。

 ソラを会議室に呼び、話しを続けた。

「モンスターの種族を知りたい、見たという人は手を挙げてくれ」

 真っ先に手を挙げたのはシロだった。

 侵入してきたモンスターを倒したのはシロではなく町の警護していた者たちだ。それなのに、”川”という単語だけで手を上げるとは、魔法使いの知識は豊富であることを痛感した。

「魔法使いさん、どうぞ」

「呼び捨てで言い」

「わかりました。それでは、シロ。モンスターの種族と特徴を教えてくれ」

 シロは話した。

 侵入してきたであろうモンスターの種族と名前を、どこから何の目的で来たのかを話した。その相手がとてつもなく面倒な相手であろうと、シロは淡々と語っていた。


~続き未定

サハギン

バロメッツ

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