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8.そんな装備で大丈夫か

危険な状況に置かれている事を告げられてショックを受けるお話です。

第一王女も登場します。

 第三騎士団団長と宰相との会話


「作戦は旨く行ったのだな。」

「上手くいきました。盗賊23名を討伐し3名を捕獲しました。」

「よくやった、戦果として発表しよう。前回と合わせ盗賊対策は順調だな。

 それにしてもあの娘たった数日で結果を出すとはすごいな。」

「今後も分析を続けますがばれて対策を取られないように極秘にします。」

「うむ、盗賊に対策されては厄介だ、極秘に進めよう。」

「それであの娘の給金がまだ決まってないようですが。」

「そうだった、すまんがまずは君と同額にしよう、それから少しずつ上げていく。」

「わかりました。」

「あの娘の価値はもっと高いのじゃ私と同額でもおかしくない。」

「理解しています。」

「商人なら私の数倍を提示するだろうな。」

「それほどですか。」

「そういうものだ、それと陛下の許可は下りた彼女の保護は陛下の勅命じゃ。」

「害なすものは反逆者となりますね。」

「そういうことだ、貴族だろうが彼女に害なすものは切り捨てろ。」

「わかりました、では失礼します。」

「ああ待て会計の所へ一緒に行こう彼女の給金を渡す準備金としてすぐ渡そう。」



「ニール、勅命が下りた彼女の保護は陛下の勅命だ。

 それと今後もエレーヌに協力しろ、極秘にだぞ。」

「前回は大成功でしたからね了解です。」

「エレーヌは?」

「また資料とにらめっこしています。」

「そうか話があるから呼んで、いや私が行こう。」



「エレーヌ、資料とにらめっこか頑張ってるな、だが少し肩の力を抜いていいぞ。

 それとこの件は引き続き極秘で頼む。」

「はい、わかりました。」

「それと君の給金が決まった、私と同額だ。」

「えっ団長と同じ?」

「ああだがその後も少しずつ上げていく予定だ、君の価値はもっと高い。

 ちなみに決めたのは私ではなく宰相だ、当分はこの額で我慢してくれ。」

「我慢だなんて、多くてびっくりです。」

「いずれは宰相と同額くらいにはなるだろう。」

「そんなに、ありがとうございます。」


 宰相って結構偉いんだよな。官房長官みたいな感じかな?

「金額はみんなには内緒にしてくれ。」

「そうします。」

「これは準備金だ、次からは給金を毎月渡す。」

 金貨の詰まった袋を渡された、すごく重い。

「ありがとうございます。」


「それにしても君は自分の価値を知らないな、この際だから説明しておこう。

 例えば貴族の跡取り息子がひとりしかいなくて大怪我をしたとする。

 そうすると家を維持するため大金を払ってでも治療を受ける。

 つまり治療師を囲っているともうかる。

 それだけじゃない逆らえなくなるから権力もついてくる。」

「そうか、お金と力が手に入ると。」

「そうだ厄介な奴が君を手に入れたら国が混乱してしまう。

 それを防ぐために君を保護しているんだ。」

「そんな事には関わりたくない、お金と力の為に利用されるなんていやです。」


「あとはもっと重要なことがある。

 既に治療師を囲っている者にとって君は邪魔なんだ命を狙われる。」

「ええー最悪、知らなかった私ってばそんな危険な状況だったんだ。」

「だから油断しないほうがいい。怪我人だからと不用意に近づくと危ない。

 怪我人に偽装して暗殺しようとする輩もいるからね。

 国の治療師は暗殺を恐れて王宮の奥に引きこもっているよ。」

「気軽に散歩できなくなったんですね。」

「そろそろ君のことは噂になってきている。

 外出時は特に気を付けたほうがいいな。」

「外出の時はフルプレート着用ですか。」

「皮の手袋とフード付きコートを用意しよう。」

 そんな装備で大丈夫か?

「子供の暗殺者もいるから注意して、目の前で子供が転んでも近づいたらだめだ。」

「とにかく暗殺者は弱いものに偽装することが多い。

 怪我人、病人、老人、子供、女性、油断したら死ぬ。」


「いろいろ言ったが君は騎士団が保護するこれは陛下の勅命だ。

 つまり貴族だろうと強引にここへは入ってこれない。

 護衛の邪魔をするのは反逆罪になりかねないからな。

 ここなら安心だ。」

「ここなら大丈夫そうですね。」

「こんどから外出は馬車を利用してくれ、散歩したいなら王宮の庭園とかどうだ?

 大金かけて整備されているからなかなかのものだぞ。」

「王宮の庭園かちょっと散歩してみたいですね。」

「そこなら護衛はふたりで十分だろう。」

「王宮なのに護衛がつくのか、私も自衛用の剣がほしいです。」

「用意しよう、だが王宮には持ち込めないぞ。」

「小さめで良いのでお願いします。」

「今日はもう上がりにしていい、ゆっくり休め。

 それとも王宮の庭園に散歩にいくか?」

「いいんですか?、いきます庭園。」

「ニールに伝えておこう。」

「はい、ありがとうございます。」

 準備金はアイテムボックスに収納した。

 お金は素直にうれしいが自分を取り巻く状況の変化についていけない。



「ニール、彼女を王宮の庭園に案内してくれ護衛は君ともうひとりつれていけ。

それと後で彼女に皮の手袋とフード付きコート、皮の鎧を用意してくれ。」

「了解、注文しておきます。」

「もうひとつあった、宰相はこう言っていたぞ

『貴族だろうが彼女に害なすものは切り捨てろ』だ。」



 王宮の入り口で身分証を提示したら変な顔をされた。

「第三騎士団所属? 女性が? あれか保護された人か。

 ふたりも護衛付きなら納得だな、通っていい。」

「はい。」

「庭園はこっちだ。」

 横にニール、後ろにひとりの護衛をつれて庭園についた。

 さすが王宮の庭園は大金がかかっているだけあって凄いに尽きる。

「すごーい、豪華な庭園。」


 色とりどりの花が咲き別世界を歩いているような気がする。

 そんなすごいとこにいるというのにニールの視線はこっちをチラチラ。

 お前は花よりおっぱいか。

 コイツが護衛で大丈夫か心配になってきた。

 あれ、誰かいる、豪華なドレスの女、女王様かな? 引き返した方が良さそう?


「ニール様、誰かいます戻りましょう。」

「そうだね。」

 しかし戻りかけた時声がした。

「そこの者待ちなさい。」

 う、やばっ。

「はい。」

「名はなんという。」

「第三騎士団所属のエレーヌと申します。」

「ふむ、平民か。第三騎士団? 女性が?」

「はい。ふたりは護衛です。」

「私は第一王女ミレイ・デルアンテである。私を見て引き返すなど無礼であろう。」

「大変申し訳ありません、わたしは平民の身、貴族の作法など身に着けておりません。

 失礼のないように身を引きました。」


「王女様失礼いたします、第三騎士団ニール・ベンテンスと申します。

 われわれは陛下の勅命に従いエレーヌ様を護衛しております。

 これ以上の咎めたてはご容赦ください。」

「なっまだ話は終わっておらん。」

「それでは陛下の勅命にしたがって護衛しているわれわれにあだなすと?」

「貴様は王女に害をなすつもりか?」

「われわれはエレーヌ様に害するものは誰であろうと切り捨ててよいと命令を受けております。

 陛下の勅命は絶対であり命令を遂行するのが騎士です、

 陛下の勅命を軽んじると反逆罪に問われます、よくお考え下さい。」


「これはいったいどうしたことかな? 王女殿下。」

「おお、宰相殿いい所へきたこやつら私にあだなすつもりのようじゃ、

即刻捕らえよ。」

「君らは第三騎士団かな?」

「はい。第三騎士団ニール・ベンテンスと申します。

 陛下の勅命に従いエレーヌ様の護衛を致しております。」

「君がエレーヌか一度会いたいと思っていた、挨拶が遅れて申し訳ない。

 私は国の宰相を務めているシュバルツ・レーギンと申します。

 以後おみしりおきを。」

「エレーヌと申します。」


「さて王女殿下、彼ら騎士団は陛下の勅命に従って動いております。

 勅命に従っている限り私も彼らの邪魔はできません。

 王族であるあなたが勅命を軽く扱うのは陛下の顔に泥を塗るようなものです。

 勅命に従い動いている彼らを罰するなど陛下でもできないことです。

 そんなことをすれば勅命という伝家の宝刀が錆びてしまいます。

 そうなったらどうやって国を動かしていけば良いのでしょうか。

 おわかりいただけましたか?」


「わからん。」

「そうですか、では陛下に直接おっしゃって下さい。

 さて第三騎士団の諸君再度申し渡す、陛下の勅命に従いエレーヌ様を護衛するのだ。

 エレーヌ様を害する者は誰であろうと切り捨ててよい。」

「はっ了解しました。」


「さて王女殿下の教育係は誰であったか。

 勅命の意味も教育できないような無能だとわかったからには追放しなければ。」

「なっ教育係を追放だと。」

「ええ王女殿下が勅命の意味をまったく理解できていないのですから当然でしょう。

 そいつのせいで陛下の顔に泥が塗られたのだ本来なら打ち首にするところである。」

「それはやめてくれ。あれはいいやつじゃ。」

「人となりは関係ありません、教育係は教育ができるかできないかそれだけです。」

「では失礼します。」


「助かったー、宰相さん有能だね。」

 宰相さんは政治家として誠実で信用できそうだ。

 そして意外だがニールも王女相手に頑張ってた。

 今日までのセクハラは許してやろう。

「はーもうダメかと思った。」

「ニール様頑張ってました、カッコ良かったです。」

 たまには誉めてやろう、騎士の看板は伊達ではなかった。

「やっと俺様のカッコよさに気づいてくれたんだー。」

 おいおい調子に乗るな。

「今日はもう戻りましょう。」

「そうだねー疲れちゃった。」

「ホント疲れましたね。」



 王都内某所の一室での会話


「それでどうだ。」

「ええ、噂は順調に広まってます。」

「ばれないようにしているな。」

「もちろんです、金を握らせたら理由も聞かずやる連中ですよ。

 でもこんな噂でなんとかなるので?」

「ただの噂だから対処しようがないと言うものだ。

 うまくいけばもうけもの、だめでも王派閥に少しはダメージがあるだろう。」

「そんなものですか。」

「くだらない噂だが効果はある。」


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