21.おとり作戦
今回は騎士団の遠征に同行するお話です。
ニール提案のおとり作戦が実行されます。
第三騎士団団長アレン・ルーメルの執務室でふたりで秘密の会話をしている。
「話というのは?」
「以前に釘を刺された件についてです。」
強力な魔法を持っているとしたらばれないようにと以前に釘を刺された事が有る。
「あれか、君の力についての借りの話か。」
「それです。いい方法がないかなと以前から考えてました。
それで遠征も近いので試すのにいい機会かなと。」
「何か方法があると?」
「私が直接力を行使するのが良くないと思うので代わりにやってもらう方法です。」
「具体的に話してくれ。」
「騎士の誰かに身体能力を上げる魔法を使います。
すると2割程度上がるので強くなります。」
「なるほど、そうすれば君が直接何かしなくても済むと。」
「はい。そう考えてます。」
「それは誰に対してでもできるのか?」
「それが、人にはやったことが無いので。」
「問題がありそうかな。」
「調子に乗って動きすぎると後で筋肉痛が起きるくらいです。」
「試してみるか。訓練場へ行こう。」
◇
騎士団の訓練場
「ニール今からやることは秘密だ。」
「了解。」
「エレーヌ、ニールにかけてくれ。」
「はい。」『フィジカルアップ』
「お、なんか力が湧いてきたような。」
「さーニール試してみよう、こい。」
アレンとニールが木剣で打ち合っている。
「うおっ、これはっもしかして初めて団長に勝てるんじゃ。」
「くっ。」
アレン団長が押されているみたいだ。
しばらくして。
「やったー初めて団長に勝ったー。」
「ニール調子に乗るなエレーヌの魔法のおかげだ。」
「確かにそうですけどやはり初めてなんで。」
「しかし効果は高いようだな、後は時間だな。
ニール効果の続く時間を確かめてくれ。」
「了解、しばらくここで素振りしてます。」
ニールは木剣で素振りを始めた。
◇
執務室でお茶を飲んで待ってるとニールが来た。
「団長ー筋肉痛がひどいっす。」
「やっぱりか。」
「え、こうなると知ってたんすね。」
「治療しますから。」
ニールを治療してあげた。
「それで時間は?」
「一時間ぐらいです。」
「短期決戦でなら使えるな。機会があれば現場で試してみよう。」
「はい。」
◇
今日は騎士団の巡回遠征に出発する。
ニール提案のおとり作戦を実行する予定だ。
普通の馬車を使用し普段の騎士の服装をやめて街の人や冒険者に変装するなど
結構細かい所まで気を使っている。
同士討ちを避ける為に腕や首に色付きのスカーフを巻いている。
「行くぞ。」
「はい。」
「ニール様、上手くいくといいですね。」
「僕が考えた作戦だよ、盗賊はまとめて退治してやるさ。」
「ニールはそれでいい。」
意気揚々と王都を出発した。
ちなみに別の班は普段通りに騎士として別方向へ出発した。
◇
遠征3日目
お昼になり昼食を食べている。
昼食はいつも簡単なものでパンと干し肉だけというのが普通で、
時間をかけてスープなどを作るのは夕食のみだ。
馬を休ませる為に何度も休憩するが、
休憩する時は人数を少なく見せる為交代で半数は馬車で休憩している。
おとり作戦には凄い気の使いようだ。
そのかいあって、ついにその時がきた。
マップに赤い点がぽつぽつ現れこっちへ近づいてくる。
待っていた盗賊が来たようだ。
「ルーメル様、盗賊が来たようです。」
「そうか、分るのか。」
「はい。」
「よっしゃ、きたきた。馬鹿が引っかかった。」
「エレーヌ、私とニールに例の強化を頼む。」
「はい。」『フィジカルアップ』ふたりに身体強化の魔法をかけた。
「おい、おまえら、命が惜しいなら荷物は置いていきな。」
「そうだぞ、命はひとつしかないぞ、がはは。」
「それはこっちのセリフだな。」
「そうだぞ、命が惜しいなら抵抗するな。」
馬車から降りた騎士が横へ回り込む。
「頭ー、人数で負けてます。」
「ええいうるさい、人数が多いくらいでびびるな。」
「ほーこの人数に勝てるつもりなのか感心だな。」
「われわれは第三騎士団だ、おとなしくしろ。」
「何っ騎士団! ちくしょう騙された。」
「なんだ今頃気づいたのか。」
「ちくしょうめ、おまえら気合いれろ! 捕まったら同じだやるぞ。」
「はーまたかよ、たまには大人しくしろよ。」
「捕まったら極刑だからな、いつも通りだ。」
「この人数を連行するのも面倒だ、都合がいいか。」
「くそっ言いたい放題言いやがって、やるぞー。」
私は後ろで見ている、横には護衛の騎士がひとり立って。
そして戦いが始まったが騎士の方が倍の人数なので余裕で戦っている。
アレンとニールは子供でも相手にしているかのように戦っている。
「おいおい、ぜんぜん手応えないぞ。」
「そう言うな、こっちは倍の人数だ。」
「ちょっとかわいそうかな、おっと危ない。」
「気を付けろ。」
「余裕っす、それっ。」
「ぐはっ。」
「次はって、いないっす。もう終わり?」
「後始末が残ってるぞ、良かったな。」
「仕方ない早く終わらせて休憩するか、人数はえっと10人か。」
「エレーヌ来てくれ。」
「はい。」
「盗賊だがこいつを治療してくれ。」
「ニール直ぐにロープで縛れ。」
「了解。」
盗賊をひとり治療すると直ぐにニールが縛り上げた。
「いろいろ聞いておいてくれ。」
「了解。」
「ニール様、上手くいきましたね。」
「俺の作戦だよ当然さ。この調子でドンドンいくよー。」
「エレーヌ、ご苦労さん。」
「いえ、みなさんお疲れ様です。」
「今日はここで野営する。」
「それならお茶の用意をしなくちゃ。」
今日はこのまま野営することになったので少し街道から奥へ移動し分担して野営の準備も始まった。
「ニール様お茶をどうぞ。」
「ありがとう。」
「筋肉痛は大丈夫ですか?」
「大丈夫っす。」
「今日はそれほど動いてないから。」
「はー相手が大したこと無かったから物足りないっす。」
「そうか、次『ビーストタイガー』が出たらニールに任せよう。」
「う、あれをひとりは厳しいっす。」
「ところで連中のアジトは分かったか?」
「はい、吐きました。」
「今日はもう遅いな、明日はアジトの捜索をしよう。」
「あいつに案内させるっす。」
「それにしても例の強化はすごいっす。」
「ああ体が軽い。」
「みんなにかけたら『ビーストタイガー』も怪我無く退治できるかも。」
「4人くらいでいけると思う、他は後ろで支援してもらおう。
だめなら人数を増やす。」
「そうですね、人数多すぎるとかえって動きにくいから。」
「あれを使うなら人数を絞ったほうが効果は高い。」
「賛成っす。」
「今日はゆっくり休憩して明日は早くから捜索に出よう。」
「了解。」
ブックマークと評価をお願いします。
タイトルを一時変更したら逆効果だったので元に戻しました。
試行錯誤してますが難しいです。




