20.夢の中
閑話休題。
「俺が1番だ。」
「いや俺が先だ。」
目の前には目が血走った男達、ヤバイ回される人生最大の危機。
何故こんな事になったのか。
そうだ、あれは。
◇
宰相から頼み事があるとの事で呼び出された。
「王都の学院で女性が何か被害にあったようなんだが。」
「何かと言うと?」
「それが分からんのだ。
当の女性が口をつぐんでおる。」
「はあ。」
「そこで君に調べてもらいたい。」
「私に? 捜査を? 専門外ですが。」
「他に適任者がおらんのだ。」
「はあ、仕方ないですね、やってみましょう。」
学院か、私が生徒で通るのか?
行って見てダメなら帰ろう。
◇
王都の学院
「きたきたー。なかなかいい感じの女が入って来たぞ。」
「やあねー、あいつらまた狙ってるんじゃ、変態どもが。」
「やあ君、新人さんだね。」
「はい。」
「名前は。」
「エレーヌと申します。」
「君があれを持つと似合いそうだ。」
「あれと言うと?」
「実はね新人さんは強制参加のイベントがあってね。」
「そんなのがありましたか? 入学の説明では聞いてませんが。」
「ああ、これは生徒で決めた事だから。」
「そうなんですか。」
「夕方、大ホールへきたまえ。」
「はい。」
普通なら避けるべきだが捜査の為に参加を決めた。
◇
夕方、大ホールへきてみると何人か男子生徒が集まっていた。
「やあ、待ってたよ、女王様。」
「は? 女王様?」
「まだ揃ってないから少し待ってくれたまえ。」
暫くしたら集まった男子生徒が10人以上になった。
なんか多いな、やばそうだが捜査の為様子を見よう。
「さて諸君、集まったようだから始めよう。」
集まった男達の目が血走ってる。やばそう。
「俺が1番だ。」
「いや俺が先だ。」
目の前には目が血走った男達、ヤバイ回される人生最大の危機。
「落ち着きたまえ諸君。」
「まずはプレゼントだ。これを受取りたまえ。」
ムチを渡された。
「おー似合う、女王様だ。」
「女王様?」
「われわれは女王様を崇めるグループを結成したのだ。
そして女王様を求めている。」
「へっ変態?」
「違うぞ新たなる女性像を求めてるんだ。」
「いやだだの変態じゃん。」
「おーその目つき、ゴミを見るような目、まさに理想の女性。」
「うわっ気持ち悪っ。」寒気がしてきた。
「女王様、さー、そのムチで、さー。」
「近寄るな。」バシッ。
「いい。最高だ。」
「気持ち悪っ。だから近寄るなっ。」バシッ。
「あー。」
男達の目がおかしい。
「うわっ最悪、寒気がしてきた。」
◇
王都にあるルーメル男爵家
第二騎士団団長アレン・ルーメルの妹とエレーヌの会話
「へんたい?」
「そうでっしょう? 寒気がするでしょ。」
「いや、あなたの事よ。」
「えっ私?、だって何か面白い話をしろっていうから。
普段の出来事は話せない事が多くて。」
「だからってその話?」
「さっき夢の話がどうとか言ってました。」
「将来の夢の話よ、変な夢の話じゃなくて。」
「違いましたか。」
「やっぱりお兄ちゃんはあげられないわ。」
内容は外してしまったが若い女性とのガールズトークは新鮮でいい。
◇
帰りの馬車の中
「妹と何の話をしたの?」
「それは女性同士の会話なので。」
「妹も黙ってるんだよな。」
そりゃそうだ、私も男相手には話さない。
「女性には秘密が多いんです。聞くのは野暮ってものですよ。」
「そういうものか。」
「そういうものです。」
「話は変わるけどもうすぐ遠征があるけど同行するかい?」
「ええ行きます。」
「あれですよね、ニール様が張り切って準備している作戦。」
「そうなんだよ、ニールが張り切ってるんだ。」
「上手くいくといいですね。」
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