19.暗殺事件その後
騎士団が活躍するお話です。
街の建物を監視中の第二騎士団
「シーゲル団長、またタレコミですか。」
「そうだ。」
「あの建物か、前回は大成功でしたからね。
ばっちり見張ります。」
「あ、女が出てきました。尾行を?」
「尾行だ。」
「了解。」外の男に合図を出す。
「さっきの女、例の侍女の証言に出た女に似てましたね。
それに城へ向かってます。」
「まだ証拠がないからな、城へ向かったなら何か出るかもな。」
「城へ入るつもりかな随分と大胆な。」
「まだばれてないと思ってるのだろうな。
何かあるなら第一騎士団が見つけるだろう。」
◇
城内の一室
「団長ー、第二から連絡が。例の侍女らしき女が城へ入ったと。」
「なんだと、随分と大胆だな。」
「第二が監視中の建物から真っすぐここへ来てます。」
「状況は?」
「監視してます。」
「こっそり顔を確認するか。侍女を連れていこう。」
「あれか。どうだ? あの女か?」
「あ、あの女、あいつだ間違いありません。」
「ん、あの女今何か棚から小さい容器を取って服に入れたような。」
「なんだと、小さい容器は厨房へは持ち込み禁止だぞ。」
「ええ、随分前からそうなってます。小さい容器はここには無いはずです。」
侍女は飛び出した。
「そこのあなた! 今服に何か隠したわね。」
「え、何の事ですか?」
「とぼけても無駄よ、ちゃんと見てたんだから、出しなさい。」
「しかたない今やるしかないか。」
「動くな、第一騎士団だ。」
「そこの女を調べろ。」
「了解。」
「妙な容器を持ってました。」
「ほう、これだけでも十分だな。」
「城で働く者は全員知ってるはずだが。
服に隠せるような小さな容器は厨房へは持ち込みが禁止となっている。
これは暗殺を防ぐためで違反するものは暗殺者とみなされる。」
「連れていけ。」
「これで私の疑いが晴れる。やっと・・・やっと。」
「良かったな。」
「あの容器の中身を調べるから一緒にきたまえ。」
「はい。私も知りたいです。」
調査の結果、小さな容器の中身は毒だった。
「容器の中身はやはり毒だった。」
「やっぱり、あの女。あいつのせいで私が疑われて苦しかった。
でもあの綺麗な女性が無実だと言ってくれてそれでなんとか踏ん張れた。」
「すまんな、これも仕事なんだ。」
「いえ、わかってます。大丈夫です。
必要な事を聞かれただけですから。」
「第二騎士団に直ぐ伝えろ。」
「了解。」
◇
街の建物を監視中の第二騎士団
「そうか女は拘束されたか。」
「毒の入った容器を服に隠し持っていたそうです。」
「女が捕まったとなると建物の中の連中がどうでるか。」
「踏み込みますか?」
「証拠を消される前に踏み込むか。
よし一気に行こう。」
◇
第三騎士団の詰所
「エレーヌ、実行犯とその関係者を捕まえたそうだ。」
「そうですか、良かった。あの侍女さんの疑いは晴れたのですね。」
「ああそうなった。今背後関係を調べているところだ。
そこはまだ時間がかかりそうだ。」
結局お金で雇われた人達で依頼した人物はわからなかった。
◇
「ルーメル団長、情報提供感謝する。」
「シーゲル団長、またお手柄ですね。」
「あの情報で直ぐ監視出来たから証拠を消される前に逮捕できた。
だが背後のやつがわからなかった。すまない。」
「それはしょうがない。」
「次こそは裏に隠れた奴を捕まえてやる。」
「お疲れ様。」
「第一騎士団は今躍起になって調べている。
以前の事件もこの連中の仕業かもしれんからな。」
「あれは彼らにとって長い間屈辱だったから。
解決するといいが。」
「国の治療師も協力するそうだよ。」
「それはまた、捕まった奴に同情するな。」
「ああ、尋問と治療が繰り返される。長い間続くだろう。」
「国の治療師にとっては心の傷を植え付けた連中だからな。」
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